Musicadentro

第15号 (27/06/1999)

今回はバンド物ばかりになってしまいました。基本的にはソロアーティストのものより、演奏面の充実したバンド編成の方が好みなので、しばらくこのパターンが続くかも知れません。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

Stard'ust

Üstmamò / Stard'üst (1998) Virgin, 8 45168 2. (全10曲)

女性ヴォーカル Mara Redeghieri を擁する5人組バンド Üstmamò の最新アルバム。'90年代初頭から活躍する彼らですが、本作は5枚目にあたるようです。1曲目の "Cosa conta" はフレンチポップスのようなオシャレ系サウンドで、続く "Nostre altre vite" はオリエンタル風なイントロに導かれたトロピカルな印象の曲です。また、5曲目の "Open cojon" はトラッドのアレンジ物で、ヴォーカルは男性メンバーがとっています。4曲目の "Mai piu'" は虫の音のSEに導かれるアンニュイな雰囲気の曲で、Mara 嬢のヴォーカルの魅力を堪能できます。ラストの "Stardust" は8分を越える大作で、特に "Stardust" はスペーシーな感覚に溢れた曲で本作のハイライトと言っていいでしょう。全体的にリラックスしたサウンドを得意とするグループのようで、洗練された美しさをも兼ね備えています。

senzatempo

Timoria / senzatempo: DIECI ANNI (1998) Polydor, 557 064-2. (全19曲)

前回紹介した Timoria が1998年に発表したデビュー10周年を記念したベストアルバム。新曲2曲にライブバージョン5曲、さらにアルバム未収バージョン多数収録で、オリジナルアルバムを全て持っている人でも十分楽しめる作品に仕上がっており、もちろん入門用にも最適です。1曲目の "Cuore mio" は新曲で、ダイナミックなロックサウンドが特徴的です。5曲目の "Sud Europa" はライブバージョンで、Hip Hop を取り入れたファンキーな仕上がりとなっています。この他にも4曲ライブバージョンが収録されており、どの曲でも彼らの演奏力の高さを実感できる出来となっています。10曲目の "Io vagabondo" は Nomadi の Augusto Daolio のトリビュートアルバムに収録されていた曲で、Gianna Nannini とのデュエットになっています(以前紹介した Nomadi のライブアルバムにも収録されている Nomadi の代表曲)。1枚物ですが収録時間が非常に長いので、とりあえず1枚という人に特に最適です。

Ballate

Stadio / Ballate fra il cielo e il mare (1999) EMI, 7243 4 99666 2 8. (全16曲)

'80年代から活躍するロックバンド Stadio の新曲4曲を含む新録バラードベストアルバム。全体的な印象はバラード集ということもあり、Alunni del Sole ('70年代に活躍したラブロックグループ)を洗練させて現代的なアレンジを施した感じです。叙情的でソロヴォーカルが切々と歌い上げるタイプの曲が多い所が共通点です。1曲目の "Lo zaino" はオーケストラがドラマチックに盛り上げる美しいバラードで、このアルバムのベストテイクの1つだと思います。3曲目の "Universi sommersi" は印象的なピアノのイントロから始まり、少ししゃがれたヴォーカルが曲を盛り上げる佳曲です。6曲目の "Sembra quasi che non c'è" は特に Alunni del Sole を思わせる曲で、シンプルなアレンジの上をヴォーカルが切々と訴えかけるように歌うのが印象的です。いい曲が揃っているので、お買得感が高い1枚です。

ogni

Finisterre / In ogni luogo (1999) irIdea, THX 1138. (全10曲)

叙情派プログレバンド Finisterre の最新アルバム。これまでの Mellow Records からのリリースではなく、フランスの Musea レーベル傘下の irIdea からのリリースとなっています。本作では4人編成(g, ds, key, b)になっており、女性ヴォーカルとフルート・バイオリンがゲスト参加しています。リリカルな曲が多く、わりと映像的なサウンドを得意としているバンドで、ゲストヴォーカルが参加している2曲を除いてほぼ全面的にインストゥルメンタルです。1曲目の "Tempo moderni" は流れるようにスムーズなギターが印象的な曲で、2曲目の "Snaporaz" はイタリア語による会話入りであるにも関わらず、まるでフランス映画のサウンドトラックのようなしゃれた仕上がりになっています。5曲目の "Coro elettrico" はゲスト参加のバイオリンが大活躍する曲で、本作中最もスリリングな演奏が楽しめます。

Pazzo

Stranafonia / Per un vecchio pazzo (1997) Lizard, 5490062. (全9曲)

若手シンフォニックロックバンド Stranafonia のデビューアルバム。4人編成(g, ds & perc, key & vo, b)で、ドラマー以外はヴォーカルを兼任しています。非常にイタリア色の強いサウンドで、Semiramis, Museo Rosenbach, Nuova Era などのヘヴィーシンフォニックロックの系譜のイタリアでしか出てこないような音を得意としています。1曲目のタイトル曲 "Per un vecchio pazzo" は典型的なヘヴィーシンフォニックロックで、畳みかけるようなイントロから叙情的なヴォーカルパートへなだれ込み、その後曲がさらに盛り上がる展開が印象的で、疾走感がある演奏と相まって往年の名作を思わせるものがあります。3曲目の "Io sono lo zar" は3人の登場人物によるシアトリカルなヴォーカル曲です。5曲目の "Sulla baia" はゲスト参加のオーボエが美しい小曲になっています。曲のバリエーションもあり、シンフォニックロックとしては水準以上の出来だと思います。

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