約3ヶ月半振りの更新となってしまいましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?今回は巨匠 Franco Battiato の新譜や Ivano Fossati の最新ライブ盤を中心にお送りします。
アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数) Franco Battiato /
Dieci Stratagemmi (2004) Columbia, col 518565 2.
(全10曲) CD Text 現代イタリア音楽界の巨匠 Franco Battiato
の最新オリジナル・アルバム。オープニングの "tra sesso e
castità"
から中世と現代が混じり合ったような不思議な音空間と作り出す
Battiato
節が全開で、独特の美意識に基づく音世界が繰り広げられています。続く
"le acquile non volano a stormi"
では三味線の音色に乗せて中国の詩人の詩を基にした歌詞が歌われ、中間部では日本語詞の朗読が挿入されるなど東洋テイストに彩られています。"odore
di polvere da sparo" は勢いのある Battiato
流ロックン・ロールで、名作 "L'imboscata"
に近い音作りとなっています。"conforto alla vita"
では艶やかなストリングスと無機的なリズムの対比が印象的です。"23
coppie di cromosomi"
ではモノローグをバックにサウンドコラージュをちりばめながら中東風のフレーズを挿入するなどアバンギャルド色の強い音作りをしています。2部構成になっているラストの
"la porta dello spavento supremo"
ではリリカルなピアノの調べに乗せて囁きかけるようなヴォーカルが静かな叙情を醸し出しています。収録時間が35分強と短いのが唯一残念ですが、その分ビデオ・トラックが充実しています。 Onde Radio Ovest (ORO)
/ Liberi (2004) Carosello, CARSH 115-2. (全11曲) ORO こと Onde Radio Ovest
の本当に久々となるオリジナル・ニュー・アルバム。この間、メンバーは
Valerio Zelli (vo) と Mauro Mengali (cho)
の2人になってしまいましたが、オリジナル・メンバーの Mario
Manzani
がプロデュース/アレンジを担当している上に全曲のギター・ベース・キーボードで参加しており、大部分の曲の作詞・作曲にも絡んでいるので事実上3人のユニットと言っていいでしょう。オープニングのタイトル曲
"Liberi"
から従来通りのメリハリのあるラブ・ロックとでも言うような叙情性とポップ感の同居したサウンドを堪能できます。"Ti
amo"
では切なさがこみ上げてくるような哀愁漂うヴォーカルを聴かせてくれます。"Insieme"
ではギターのストロークに乗せてほのぼのとしたメロディを2人のヴォーカル・ハーモニーで聴かせてくれます。激しいラテン調のリズムが印象的な
"Agosto"
ではかつてのロック色が強かった頃を思い起こさせる勢いを感じます。パーマネントなバンド編成ではないため以前のような切れ味鋭い一体感のある演奏は望めないものの、久しぶりに切ないメロディとメリハリのある演奏を伴う
ORO サウンドの復活作となっています。 Ivano Fossati / Tour
Acustico DAL VIVO VOLUME 3 (2004) Il Volatore, COL
518965 2. (全14曲) CD Text ベテラン・カンタウトーレ Ivano Fossati
のライブ・アルバム第3弾。今回はアコースティック編成でのライブ・ツアーからの収録となっています。アコースティック編成といってもハモンド・オルガンやローズ・ピアノなどは使用されており、総勢7名のメンバーにより厚みのある演奏が繰り広げられています。オープニングを飾る
"I treni a vapore"
ではアコーディオンと彼自身が奏でるピアノを中心とした堅実な演奏をバックに説得力のある渋いヴォーカルを聴かせてくれます。"Smisurata
preghiera"
では唸りを上げるハモンド・オルガンに乗せて早口のヴォーカルが印象的な勢いのあるナンバーとなっています。"C'è
tempo"
ではヨーロッパらしい消え入るような叙情性が漂い、語りかけるような渋いヴォーカルが曲を静かに盛り上げています。Fiorella
Mannoia も最新ライブ・アルバムで取り上げている "Oh che
sarà"
はアダルトなテイスト溢れるムーディな曲で、大人のためのスタンダードといった雰囲気が漂っています。一聴すると派手さはないものの緻密なアレンジと堅実な演奏を伴うベテランらしいツボを押さえた大人のためのライブ・アルバムに仕上がっています。 Randone /
...ricordo (2004) Electromantic Music, ART414.
(全6曲) 2002年にソロ・デビューしたカンタウトーレ Nicola Randone
を中心に結成されたプログレ・バンド Randone
のセカンド・アルバム。メンバーは前作からの Nicola Randone
(vo, ac-g, key), Marco Crispi (g), Riccardo Castone (ds,
perc) の3人に Livio Rabito (b, cho), Maria Modica (vo, cho)
を加えた5人編成となっています。また、前作同様 Beppe Crovella
(key)
がプロデュースおよび演奏で参加しています。前作では18のパートからなる組曲形式をとっていましたが、今回は大曲を冒頭に配し小曲を従えるプログレの王道的なアルバム構成になっています。ハモンド・オルガンに導かれて始まる大曲
"Jill" では Beppe Crovella
が奏でるビンテージ・キーボード群をバックに時に叙情的に、時に唸りを上げる多彩なギター・プレイを間に挟みながらシアトリカルな
Nicola
のヴォーカルが炸裂する典型的なシンフォニック・ロックを堪能することが出来ます。曲構成もよく練られており、22分弱の長さを全く感じさせないドラマティックな展開も好印象です。アルバム後半の小曲も
Nicola
の個性的なヴォーカルを生かした曲が並び、彼らの叙情的な面が強調された構成になっています。イタリア色はあまり強くないものの完成度の高いシンフォニック・ロック作品に仕上がっています。 Mango / TI PORTO IN
AFRICA (2004) Wea, 5050467333826. (全10曲) ベテラン・カンタウトーレ Mango こと Giuseppe Mango
の最新アルバム。今回は全曲彼自身が詞・曲ともに手掛けています。アフリカの大地を想わせるオープニングで始まる1曲目の
"Francesco"
から得意のファルセットを多用した軽やかなヴォーカルを聴かせてくれ、奥様の
Laura Valente (元 Matia Bazar)
をはじめとしたコーラス陣が曲を盛り上げています。タイトル曲の
"Ti porto in Africa"
では軽快なギターのリフと艶やかなストリングスをバックに囁きかけるようなヴォーカルが印象的です。"Eccoti,
folle d'amore"
はスパニッシュ風のギターに乗せた勢いのあるナンバーで、力強いリズムに乗せた爽やかな彼のヴォーカルが印象的です。"Se
con un t'amo"
では叙情性溢れるピアノの調べに乗せて切々と語りかけるようなヴォーカルを聴くことが出来ます。Lucio
Dalla とのデュエット曲 "Forse che sì, forse che no" では
Dalla の低音と Mango
の高音のヴォーカルの対比が印象的で、互いに語りかけるような掛合いが絶妙な間を生んでいます。シンプルなピアノの弾き語りによる
"Io ti vorrei parlare"
では消え入るような哀愁を感じさせる訴えかけるようなヴォーカルを堪能することが出来ます。
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