イタリアでは San Remo 音楽祭の時期を迎え、参加アーティストの新譜もリリースされ始めていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?今回は大物アーティストの新譜などを中心にお送りします。
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数) |
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Angelo Branduardi / altro ed altrove parole d'amore dei popoli lontani (2003) EMI, 724358139723. (全14曲) [CCCD] 吟遊詩人タイプのベテラン・カンタウトーレ Angelo Branduardi のオリジナル・ニューアルバム。今回は時代や地理的に遠く離れた世界各地の愛の詩に彼が曲を付けた作品を集めたものになっています。とは言っても原語で歌っているわけではなく、ラテン語のものを除いて彼の妻の Luisa Zappa Branduardi がイタリア語に翻訳し手を加えたものなので素材による制約もなく、曲調も世界各地の音楽要素を消化した彼独自のワールド・ミュージックとなっており、いつもの Branduardi 節が楽しめます。オープニングの "Laila, Laila" はネパールの伝承詩を元にした曲で、Branduardi の柔らかい声で語りかけるように歌われる佳曲です。アメリカ・インディアンの詩を用いた "Notturno indiano" ではボレロのリズムと重厚なストリングスが印象的です。奈良時代の日本の詩を元にした "L'ambasciata a Shiragi" では女声ソプラノを加えおごそかな雰囲気を演出しています。前作の "Futuro Antico III" から立て続けのリリースにもかかわらず、非常に充実したアルバムに仕上がっているのはさすがとしか言いようがありません。カラーイラストをふんだんに盛り込んだ豪華ブックレットを綴じ込んだデジパック仕様。 |
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Ivano Fossati / > Lampo Viaggiatore (2003) Columbia, COL 510540 2. (全10曲) ベテラン・カンタウトーレ Ivano Fossati のニューアルバム。前作がインストゥルメンタルだったので歌入りの作品としては約3年振りとなります。オープニングの "La bottega di filosofia" はせっつくようなギターのカッティングと彼自身が奏でるハーモニカの絡みに乗せてまくし立てるようなヴォーカルが印象的です。"Pane e coraggio" では渋めのヴォーカルをアコーディオンの弾き語りスタイルで聴かせ、落ち着いた大人の雰囲気を漂わせています。レゲエのリズムに乗せた "Lampo" では軽やかなヴォーカルとそれに寄り添うようなサックスの絡みが美しい佳曲です。ピアノの伴奏に乗せて語りに近いヴォーカルを聴かせる "C'è tempo" では中盤以降のストリングスとアコーディオンを中心としたバッキングがいかにもヨーロッパらしい叙情を醸し出しています。"Il bacio sulla bocca" はしっとりとしたバラードで、艶やかなストリングスと哀愁を帯びたアコーディオンの調べが彼の情熱的なヴォーカルを盛り上げています。全体的にベテランらしい落ち着きのある作品となっており、ヨーロッパ物特有の渋めの情感が堪能でる仕上がりとなっています。初回は歌詞などのリーフレットを封入したデジパック仕様となっています。 |
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Arti & Mestieri / Live/1974-2000 (2003) Electromantic Music, ART 4078. (全28曲) 1999年に再結成されたシンフォニック・ジャズ・ロックバンド Arti & Mestieri のライブ・コンピレーション・アルバム。タイトルにあるように以前 Vinyl Magic から出ていた1974年のライブをリマスターして3曲追加したものと1999年と2000年のライブを収録したものの2枚組となっています。1974年の方はデビュー直前のライブのもので、ファースト・アルバム "Tilt" 収録曲を中心に曲によってはまだタイトル・詞共に英語のものもあります。音質は元が劣悪なブートレグ並だったものがリマスターによりかなり改善されていて熱のこもった演奏が楽しめます。また、1999-2000年の方は "Tilt" "Giro di valzer per domani" といった初期のアルバムの曲に加え、最新作 "murales" からの曲もたっぷり演奏されており、新旧の代表曲が円熟味を帯びたクールでテクニカルな演奏に乗せて披露されています。こちらは音質の良い輪郭のはっきりした録音がなされており、高度な演奏技術を堪能できるライブ・アルバムとなっています。 |
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Fiamma / contatto (2002) Mescal, MES 510127 2. (全12曲) イタリアン・ケルティック・ユニット Fiamma Fumana のヴォーカリスト Fiamma のソロ・デビューアルバム。バックには Lady Jessica Lombardi (b), Medhin Paolos (electronics) と Fiamma Fumana の中心メンバーの Alberto Cottica (accord, p, ac-g) に加え、多数のゲストミュージシャンが参加しています。Fiamma Fumana がアンビエント色のあるトラッドをベースにしていたのに較べるとこのソロアルバムではトラッド色があまりないのが特徴です。広い音域を使ったエキセントリックなヴォーカル・スタイルは Kate Bush や Susanna Parigi を想起させるもので、ダイナミックな唱法とパワーみなぎる声が非常に個性的です。1曲目の "Mantra" からおごそかな雰囲気を漂わせた中にも自由度の高いヴォーカルが炸裂しています。"My world" ではリバーブのかかったピアノの音色をバックに切々と歌い上げ、美しいヴォーカルを聴かせる佳曲となっています。"Haiku" では木魚のような単調なリズムの上を駆けめぐるダイナミックなヴォーカルが印象的です。ラストの "Non c'è tempo (moo jikanwa nai)" ではお経のような雰囲気を持った日本語詞を聴かせてくれます。 |
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La Sintesi / l'eroe romantico (1999) NOYS, COL 494322 2. (全10曲) 昨年のサンレモ音楽祭の新人部門に参加していた若手バンド La Sintesi のデビューアルバム。メンバーは Lele Battista (vo, g, key), Giuse Sabella (b), Giorgio Mastrocola (g), Michelino Sabella (ds) の4人で、プロデュースは Bluvertigo の Morgan が、アレンジはバンドと Morgan が共同で手掛けています。以前紹介したポップ色の強いセカンド・アルバムとは異なり、プロデューサーの Morgan の影響かエレクトロニクス色の濃い'80年代のニュー・ロマンティックのような耽美的な雰囲気が強く出ています。1曲目の "L'abbraccio" からエレポップ風のバッキングの上をミステリアスなヴォーカルが絡みつくヨーロピアン・サウンドが楽しめます。"Tempo alle mie voglie" では軽快なリズムに乗せて巧みなコーラス・ワークを聴かせてくれます。"Sbalzi d'amore" ではきらびやかな音色のピアノを主体にしたバッキングに乗せた物憂げなコーラス中心のヴォーカルが印象的です。ラストの "Fine millennio" はパワー・ポップ路線の力強い曲で、サビのコーラスが印象的です。また、曲が一旦終わってから長い無音部分が続き、最後に音がして終わるという仕掛けがあります。 |
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