Musicadentro

第9号 (12/02/1999)

今回はメジャーバンドの割りと知名度の低いアルバムを中心にお届けします。中にはすでに入手困難になっているものがあるかも知れませんが、その際にはご容赦下さい。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

Dove

Matia Bazar / Dove le canzoni si avverano (1993) DDD, 74321-13560-2. (全8曲)

ヴォーカルが Antonella Ruggiero から Laura Valente に替わって2作目となるアルバム。前作の "Anime Pigre" は国内盤も出たので多少なりとも知名度があるものの、新加入の Laura が今一つバンドに馴染んでいない印象があったのですが、今作では Laura のヴォーカルがバンドと一体化しており、曲の出来もいいことから現体制の Matia Bazar としての最高作だと思います。曲の傾向は Antonella 体制後半のエレクトロポップ路線は完全に後退し、ヨーロッパらしいポップロックとなっています。ダイナミックなヴォーカルを聴かせるオープニングの "Dedicato a te" に始まり、リズミックな "Chi vuol essere lieto sia" ピアノが印象的なバラードの "Tra i pini di mare" と続き、ラストの "Cercheremo (Più di così così)" まで全8曲全く捨て曲がない素晴らしい内容です。ところで残念なことに、今作で結成当時から魅力的なギターを聴かせていた Carlo Marrale が脱退してしまいました。

Singoli

Gianni Togni / Singoli (1992) DSB, TDSBCD 157. (全10曲)

1988年のアルバム "Bersaglio mobile" 以来、長い沈黙を続けていた Gianni Togni がレーベルをCGDからDSBに移籍して久々にリリースしたアルバム。CD にリリース年が記載されていないため断言はできませんが、確か1992年のリリースだったと思うので前作から約4年ぶりの新作でした。"Singoli" "Cindy Crawford" といったアップテンポの曲や "La pioggia sul mare" "Anna ti guardo stasera" "Fare finta di volersi bene" "La fine del 900" などのバラードが秀逸で、長いブランクを感じさせないとても彼らしいアルバムに仕上がっています。この後再びCGDレーベルに復帰し、1996年に新曲を含むベストアルバム "Cari amori miei" を、また1997年にオリジナルアルバム "Ho bisogno di parlare" をリリースしています。

Biancaneve

Le Orme / Biancaneve (1994) Replay Music, RMCD 4034. (全10曲)

コンピレーションアルバムでタイトルが "Biancaneve" となっていますが、実は1982年にDDDレーベルからリリースされたアルバム "Venerdì" と同一内容です。ジャケットも変更され、'70年代の写真が使われています。前作の "Piccola rapsodia dell' ape" (1980) から2年たち、ギターの Germano Serafin が抜けて再び3人編成になっています。本作のタイトルにもなっている一曲目の "Biancaneve" をはじめ同時期の Matia Bazar を彷彿とさせるエレクトロポップを聴かせ、インストの "Venerdì" 1982年のサンレモ音楽祭参加曲 "Marinai" など明るめの佳曲が含まれています。プログレを期待されると完全に肩透かしをくらいますが、エレクトロポップとしては十分に水準以上だと思いますし、Orme らしいメロディーを聴くことができます。この後長い沈黙を続け、1990年に同じメンバーで再結成されて、アルバム "Orme" を発表、再び長い沈黙を続けて1996年にメンバーチェンジを経て再び再結成され現在に至ります。

Che

Mia Martini / Che vuoi che sia...se t'ho aspettato tanto (1976) RCA, ND 74845. (全10曲)

ベテラン女性シンガー Mia Martini の1976年のアルバムのCD再発盤。アレンジは New Trolls や Osanna のアルバムでも有名な Luis Enriquez Bacalov で、曲によっては作曲に Amedeo Minghi や Dario Baldan Bembo の名前を見ることができます。タイトル曲 "Che vuoi che sia...se t'ho aspettato tanto" では Dario Baldan Bembo と Maurizio Fabrizio が演奏に参加しており、Bacalov のオーケストラアレンジと相まってとてもドラマティックな曲に仕上がっています。また、"Se mi sfiori..." では Bacalov の弾くキーボードの上を Martini の繊細なヴォーカルが歌い上げる素晴らしいバラードになっています。何曲か軽めの曲があるものの、彼女の代表作の1つであることには間違いはないでしょう。

25 anni

Formula 3 / 25 anni di Lucio Battisti visio da noi (1993) RCA Italiana, 74321-17295-2. (全18曲)

昨年亡くなった Lucio Battisti の歌手デビュー25周年を記念して彼の愛弟子である Formula 3 が彼の代表曲をカバーした1993年リリースのトリビュートアルバム。'90年代に入って再結成された Formula 3 ですが、前作まではオリジナルメンバーだったものの、今作からはキーボードの Gabriele Lorenzi が抜け、Stefano Previsti とMauro Gazzola の2人のキーボーダーが参加して4人編成になっています。"La canzone del sole" "Il mio canto libero" "Una donna per amico" "Emozioni" "Una giornata uggiosa" "Ancora tu" など Battisti の代表曲が網羅されており、Formula 3 の安定した演奏と主にヴォーカルをとる Tony Cicco の歌声が改めて Battisti の曲の良さを実感させてくれます。Formula 3 はこの後もオリジナルアルバムはあまり発表せず、Battisti のカバーアルバムを現在までに多数発表しています。

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