Musicadentro

第7号 (15/01/1999)

新年一発目の更新です。今年もよろしくお願いします。今回も新譜などの新ネタ不足なので、旧譜およびメディアシフト盤(CD再発)を中心に紹介します。旧譜の中には現在では入手困難なものが含まれているかも知れませんが、ご了承下さい。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

Essere

Paolo Vallesi / Non essere mai grande (1996) CGD east west, 0630 14025 2. (全11曲)

1990年代初頭から活躍するカンタウトーレ Paolo Vallesi のベストアルバムを挟んでの4枚目のオリジナルアルバム。タイプとしては若き日の Claudio Baglioni に近く、特に3枚目までは Baglioni 似の歌い倒すような熱唱を聴かせていました。今作では幾分落ち着いた AOR タイプの曲が増え、その点が賛否が分かれるところでしょうが、作品の出来は非常に良いです。本人がピアノも担当しており、全体的にイタリアらしい熱い歌を聴くことができ、勢いのある作品に仕上がっています。 "Grande" "Non Andare via" "Tutto va bene" のような以前の作風を継承した曲が特に魅力です。"Non credo" のような新境地を開いた曲も出来が良かったことから、新作のリリースが待たれるところです。

Mia Martini / è proprio come vivere (1974) BMG Ricordi, 74321573752. (全10曲)

1970年代初頭から活躍するベテラン女性シンガーの '74年の作品のCD再発盤('98年リリース)。本名は Mimí Berté といい、実妹の Loredana Berté が女性を強調したセクシー路線なのに対し、知的で落ち着いた作風を得意としています。本作ではかすかにトラッドの香りの残る曲が特徴的で、1曲目の "Inno" が特に秀逸です。歌声にはこれと言って特徴がないのですが、逆に非常に落ち着いた声なので安心して聴くことができます。全体的に曲調は地味なのですが、現代的なイタリアンポップスの立役者である Dario Baldan Bembo と Maurizio Fabrizio が作曲と演奏で参加しているために、ゴージャスな音作りになっています。

Canto

Dario Baldan Bembo / Il canto dell'umanità (1996) Pull, 484400 2. (全13曲)

上記の Mia Martini の項でも名前の出た Dario Baldan Bembo の最新アルバム。彼は、どちらかというと作曲やアレンジャーとしての方が有名ですが、シンガーとしても割りとコンスタントに作品を発表しています。今作では他のアーティストに提供したものを含め、旧曲をリアレンジした再録もので構成されています。2曲目の "Tu casa fai stasera" は日本盤も発売された Riccardo Fogli のアルバム "Compagnia" にも収録されている曲なので当時を知っている人にはとても懐かしいのではないでしょうか。6曲目の "Soleado" はプログレファンには有名な Ciro D'ammicco が参加していた Daniel Santacruz Ensemble の曲で日本でもヒットしたので聴いたことがある人も多いことでしょう。そのほか初期のアルバムからの "Aria" "Crescendo" など聞きどころがいっぱいです。

Casa

Formula 3 / La casa dell'imperatore (1994) Carras, CRR 475909-2. (全10曲)

1990年代に入って再結成されて以来、Battisti の曲の再録ばかり発表している Formula 3 のオリジナル曲で構成された数少ないアルバム。オリジナルメンバーの Toni Cicco と Alberto Radius に、Stefano Previsti と Mauro Gazzola の二人のキーボーディストを加えた編成になっています。半数の曲で以前紹介した Mario Castelnuovo が曲作りに参加しており、このアルバムでは彼の存在が重要な鍵となっているようです。1曲目のタイトル曲では Cicco の美声を十分に堪能でき、3曲目の "Chiara dei lampi" では Cicco と Radius のヴォーカルの掛け合いを聴きくことができます。全体として、タイプの異なる Cicco と Radius のヴォーカルをうまく対比させて配置させているために、メリハリのはっきりとしたアルバムに仕上がっています。

Bella

Homo Sapiens / Bella da morire (1995) CGD east west, 0630 12582-2. (全14曲)

1970年代後半に活躍していたラブロックグループ Homo Sapiens のベストアルバム。1曲目の "Bella da morire" は1977年のサンレモ優勝曲で、このため日本でも幾分知名度があります。2曲目の "Un' estate fa" は Steely Dan の曲で日本でもサーカスが「ミスターサマータイム」のタイトルでヒットさせたもののイタリア語バージョンです。どの曲も典型的なラブロックサウンドで、同系統のグループとの差別化は難しいのですが、曲・演奏ともに安定していたので、この手のグループとしては割りと長続きしており、ヒット曲にも恵まれていたようです。アルバムは5枚 (Homo Sapiens, Tornerai Tornerò, Parcos Bill, Bella da morire, Due mele) 発表しているので、出来ればオリジナルアルバムの再発を期待します。

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