Musicadentro

第3号 (02/11/1998)

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

Risposta

Laura Pausini / La mia risposta (1998) CGD east west, 3984 24719 2. (全13曲)

今やイタリアを代表する歌姫に成長した Laura Pausini のオリジナルとしては4枚目、通算5枚目の最新アルバム。前作同様、スペイン語バージョンも同時リリースとなっています。デビュー当時(なんと19歳)からその歌唱力には定評があった彼女ですが、スケールの大きいバラードを歌わせたら世界でもトップクラスの実力に成長し、技術と情感の幸福な出会いを聞くことができます(褒めすぎ!)。ほとんどの作詞に彼女自身が参加しており、またラストの "Looking for an angel" は Phil Collins が彼女のために書き下ろしたオリジナル曲が収録されています。前作が「ローラの休日」というタイトルで国内盤が発売された彼女ですが、本作も11月26日に国内盤が発売される予定だそうなので、輸入盤が入手しにくい場合や対訳付きの解説が欲しい場合は国内盤を待つといいと思います。

Gommalacca

Franco Battiato / GOMMALACCA (1998) Mercury, 558 907-2. (全10曲)

イタリアの大御所、Franco Battiato の最新アルバム。本作も実験的要素を巧みに折り込みながら、なおかつポップでしかも完成度がとても高いというとてつもない偉業を成し遂げています。彼の場合、イタリア云々という枠を遥かに超え、唯一無比のサウンドを作り上げており、今回もその巨大な感性の塊のような作品となっています。今作ではわりと陰影に富んだ作品が多数収録されており、一聴しただけでは多少地味な印象を受けるかも知れませんが、聞き込むと実に手の込んだ作品に仕上がっているのが分かると思います。イタリアでは珍しく非常にクールなヴォーカルを聞かせる彼ですが、ライブ映像(そのうち紹介します)を見るとまるで大学教授が派手なパフォーマンスを交えながら講義を行なっているかのようで興味深いものがあります。

oro e ruggine

Eramo & Passavanti / oro e ruggine (1998) Genius Records, 74321563212. (全13曲)

ヴォーカルの Eramo (女性)とキーボードの Passavanti による男女ユニットのたぶんデビューアルバム。新人ながら、インテリジェンス溢れる作品に仕上がっており、タンゴなどの各種音楽要素を巧みに折り込みつつ、ノスタルジックな雰囲気がよく出ています。半分以上の曲で彼ら自身が曲作りに参加しており、また10曲目の "In mivimento" は Pat Metheney に捧げられており、12曲目の "Acqua Dolce" は Ivan Lins の作品で彼自身がヴォーカルで参加しています。イタリアではわりと珍しいタイプのサウンドを聞かせるユニットなので今後の活躍に期待が高まります。

Cuore

Gianna Nannini / Cuore (1998) Polydor, 559 113-2. (全12曲)

イタリアのみならずヨーロッパを代表する女性ロックシンガーとなった Gianna Nannini の約3年ぶりとなる最新アルバム。私自身彼女の作品を聞くのは久しぶりだったのですが、若い頃のがなり立てるような歌い方と較べると、非常に円熟したヴォーカルを聞かせるのには驚きました。1曲目の "Un giorno disumano" からパワー全開で、低音の響きが安定した迫力のあるヴォーカルを聞くことができます。全曲、彼女自身が曲作りに参加しており、またアレンジも各曲をうまく盛り上げていてドラマチックなロックサウンドに仕上がっており、表現の幅が広がっているのが感じられます。9月にイタリアに行ったときにテレビの音楽番組に出演している彼女を見たのですが、とても楽しそうに歌っているのが印象的でした。

 Robin

Consorzioacquapotabile (CAP) / Robin delle Stelle (1998) Kaliphonia, KRC012. (全5曲)

1970年代から活動を続ける CAP のオリジナルとしては2枚目となる最新アルバム。ギターとキーボードが2人ずついる8人編成のバンドで、サウンドの方は典型的なシンフォニックロックになっています。活動歴が長いだけあって安定した演奏を聞くことができ、また大編成を生かして、緻密なアンサンブルを披露してくれます。このバンドは歌メロがしっかりしており、ヴォーカリストの力量も十分以上なのでシンフォニックロックにありがちな不自然なヴォーカルラインに煩わされることがほとんどありません。さわやかなコーラスから始まる1曲目の "Signori del tempo" からラストの "Robin ......again" まで一気に聞かせる構成力も兼ね備えており、完成度はかなり高いと思います。ちなみに本作には、全曲の歌詞と使用楽器が記載されたリーフレットとボックスケースがセットになった特別仕様盤も用意されています。

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