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New Trolls / Concerto
Grosso - The Seven Seasons (2007) Aereostella, 0182912AER. (全15曲)
近年は La storia dei New Trolls として活動していた Vittorio De Scalzi
チームが交通事故のあと長期リハビリを経て復帰した Nico Di Palo を迎えて復活 New Trolls として発表した New
Trolls 名義としては11年振り、Concerto Grosso としては31年振りとなるニュー・アルバム。メンバーは Vittorio
De Scalzi (vo, p, classic-g, fl), Nico Di Palo (vo, key), Alfio Vitanza
(ds, vo), Andrea Maddalone (g, vo), Mauro Sposito (el-g, vo), Francesco
Bellia (b, vo) の6人で、オーケストラの指揮は Stefano Cabrera
と今年4月の来日公演と同じメンバーで制作されています。今回はアルバム全編を使って14楽章からなる Concerto Grosso
が繰り広げられ、よりロック色の強いダイナミックな演奏と NewTrolls
らしい美しいヴォーカル・ハーモニーを聴くことができます。オープニングの "The knowledge - Overture"
から艶やかなストリングスと荒々しいフルートの対比が印象的です。続くバラード "Dance with the rain"
では美しいヴォーカル・ハーモニーとそれを盛り立てるオーケストラの調べが叙情的なメロディを浮き上がらせています。"High education
- Cello cadenza" では来日公演でもその腕前を披露した Stefano Cabrera
のチェロが大胆にフィーチャーされ、ロック・パートのせめぎ合いによるスリリングな演奏を堪能ことができます。ラスト には "Dance with
the rain" のイタリア語バージョン "So che ci sei" もボーナス・トラックとして収録されています。
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Teresa De Sio / Sacco e
Fuoco (2007) C.O.R.E., 0181822ERE. (全11曲)
ナポリの歌姫 Teresa De Sio
の約3年振りとなるニュー・アルバム。今回もほとんどの曲を詞・曲ともに彼女自身が手掛けています。オープニングを飾る Musicanova
時代の盟友 Carlo D'Angio のペンによる "A morte e zi' frungillo"
ではパーカッションをバックに泥臭いトラッド色の強いシンギングを聴かせてくれます。アルバム・タイトル曲の "Sacco e fuoco"
では弾むようなリズムをバックにトラッドの薫り高い独特の歌い回しによりエキゾチックなメロディを歌い上げています。うねるようなリズムに乗せた
"Amen"
では低音部を生かした大地を踏みしめるような力強い歌唱とレゲエとトラッドを融合させたようなリズムの対比が印象的です。カズーの音色と男声コーラスで始
まる "Due ore al giorno"
では中低音部を曲調した奔放なヴォーカルがイスラム圏からの影響を感じさせるエキゾチックなメロディを盛り立てています。"Ninna nanna"
では珍しく高音域を生かした透明感のある歌声を披露し、穏やかなメロディをしみじみと歌い上げています。Domenico Modugno 作の
"Tamburreddu" はよりリズミカルで賑やかなアレンジにより、弾むようなダンス・チューンに仕上がっています。アルバム・ラストの
"Brigate di frontiera"
では力強いリズムに乗せて歌われる彼女独特のトラッド風味のヴォーカルと哀愁を帯びた艶のあるバイオリンの調べとの絡みが絶妙です。全体的にシンプルな作
りながらも素のメロディの良さが浮き立ってくるような作品に仕上がっています。なお、初回盤はデジパック仕様となっています。
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Negramaro / la finestra
(2007) Sugar, 8033120980732. (全15曲)
Sugar レーベル代表 Caterina Caselli のお気に入りの若手バンド Negramaro
の約2年振りとなる待望のニュー・アルバム。メンバーは Giuliano Sangiorgi (vo, g, p), Emanuele
Spedicato (g), Ermanno Carlà (b), Andrea Mariano (p, org, synth),
Danilo Tasco (ds), Andrea "Pupillo" De Rocco (samp, organetto)
の不動の6人編成で、プロデュースは前作同様 Conrrado Rustici が担当しています。アルバム1曲目の "La
distrazione"
からハードな音色のギターを従えて力強いヴォーカルを聴かせ、これまで以上にロック色の強いスピード感のある曲に仕上がっています。続く
"Giuliano poi sta male"
では一転して弾けるようなリズムをバックにとびきりポップなメロディをファルセットを多用した楽しげな歌声で聴かせてくれます。ギターの爪弾きに導かれて
始まる "Un passo indietro"
では切なさが滲み出るような哀愁を帯びたメロディをしっとりとそしてダイナミックに歌い上げています。タイトル曲の "La finestra"
ではチープな音色のキーボードをバックにスクラッチ音を多用した導入部からサビに向かって一気に盛り上がっていく瞬発力を見せるドラマティックな曲です。
リリカルなピアノの伴奏に乗せてしみじみと歌い上げる "Quel posto che non c'è"
では柔らかい音色のストリングスが哀愁を帯びたメロディを包み込んでいく様が印象的です。軽快なストリングスをバックにしたアルバム・ラストの "E'
così" の後にお約束のシークレット・トラックが今回も収録されています。パッケージは初回限定の4面開きデジパック仕様になっています。
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Morgan / Da A ad A (teoria
delle catastrofi) (2007) Ricordi, 82876883472. (全11曲) CD-Text
現在は活動を休止している Bluvertigo の中心人物 Morgan こと Marco Castoldi
のソロとしては約2年振りの4作目となるニュー・アルバム。とは言っても前作 "Non al denaro, non all'amore nè
al cielo" は Fabrizio De André の同名作のリメイクだし、その前の "Il suono della vanita'"
はサントラだったので、純粋なオリジナル作としてはソロ・デビュー作以来4年振りの作品となります。オープニングの "Amore assurdo"
ではノスタルジックな音色で紡ぎ出されるドリーミィーなメロディを囁きかけるようなヴォーカルで歌い上げています。アルバム・タイトル曲の "Da A
ad A"
ではミステリアスな響きを湛えたオーケストラをバックに憂いを感じさせながらも軽やかな歌声を聴かせてくれます。古いイタリア映画を思わせるような穏やか
なメロディを持った "Animali familiari"
ではバスクラリネットとメロデオンによるアンサンブルが印象的です。時計の秒針の音に導かれて始まる "Tra 5 min."
は艶やかなストリングスをバックにストレートなロック色のあるヴォーカルを聴かせるスピード感のある曲です。沈み込むような音色のストリングスに乗せた
"Una storia di amore e di vanità"
では哀しみを湛えたメロディを憂いを帯びたヴォーカルで聴かせてくれます。ラストは彼らしい実験精神が炸裂したカオスティックな10分を越える大曲
"Contro me stesso" で締めくくっています。
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Francesco Baccini / dalla
parte di caino (2007) Target, TARG 1807. (全10曲)
Genova 出身の中堅カンタウトーレ Francesco Baccini
の通算11枚目となるニュー・アルバム。力強い歌声で始まるアルバム1曲目の "Il topo mangia il gatto"
からトロピカルなリズムに乗せて風変わりな歌詞を楽しげに歌い上げています。アコーディオンとスパニッシュ風のギターが哀愁を感じさせる
"Giulia già se ne va"
では畳み掛けるリズムと切れのある歌声が醸し出すエキゾチックな雰囲気が遠いノスタルジィを感じさせます。端正なピアノに導かれたタイトル曲
"Dalla parte di Caino"
ではしっとりとした中にもダイナミックさを感じさせるスケールの大きいヴォーカルを聴くことができます。"Il cielo di Milano"
ではリリカルなピアノとストリングスの調べが哀愁を帯びたメロディを盛り立て、彼の野性味溢れるヴォーカルを引き立たせています。"Al centro
commerciale"
では裏打ちを多用したうねるようなリズムをバックにまくし立てるようなヴォーカルを聴かせてくれます。オルゴールを思わせるきらびやかな音色に導かれた
"la donna dei sogni"
では切れ込んでくるストリングスをバックにスケールの大きいメロディを伸びのある艶やかな歌声で歌い上げています。ボサノヴァのリズムに乗せた
"Primi in tutto" ではギターの紡ぎ出す穏やかなリズムに乗せて軽やかな歌声を披露しています。ラストの "Magnetico"
ではリリカルなピアノをバックに切々と歌い上げ、オブリガートを奏でるチェロとの相乗効果による染み入るような哀愁が印象的な仕上がりになっています。
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