いよいよ寒い季節になってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。今回は秋から晩秋にかけてのリリース・ラッシュの中から待望の
Pooh のライブ盤や久しぶりの Gianni Togni の新作、PFM
の映像とのコラボレーション作品などを中心にお送りします。
アルバム・カバー
|
アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
|
|
Pooh / Noi con
voi - Pooh Live 2006 (2006) Atlantic, 5051011821820.
(CD全26曲 DVD全31曲) CD+DVD
イタリアの国民的ロック・バンド Pooh
のデビュー40周年を記念して敢行された La Grande Festa Tour
2006 の模様を収録したCD&DVD
のライブ盤。CDの方は50回を数える公演からのベスト・テイク24曲に、新曲
"Il cielo non finisce mai" と "L'amore costa"
を加えた全26曲。DVDは9/22に Padova の Prato della Valle
で行なわれた公演から31曲が収録されています。CDとDVDを併せるとツアーで演奏された曲のほとんどを聴くことができます。CD,
DVDともにドラマティックな "Rotolando respirando"
で始まり、本編ラストの会場のコーラスが盛り上がる "La grande
festa"、アンコール終盤の Chi fermerà la musica" から
"Goodbye"
への流れなど基本的にライブの進行に合わせた構成になっています。CDの方には
"Io sono vivo" から始まるポップな曲のメドレーや "Noi due nel
mondo nell'anima" "Nascerò con te"
といった'70年代前半のドラマティックな曲が収録されるなど実際のライブの半分程の収録時間ながらメリハリのある構成になっています。CDに収録されている新曲
"Il cielo non finisce mai"
はギターのアルペジオで静かに始まり、徐々に盛りあがっていく展開の大きな曲で、"L'amore
costa" はギターのリフが印象的な軽快で爽やかな曲です。DVDには
Red のベース・ソロで始まる幻想的な "Il ragazzo del cielo
(Lindbergh)" や "La gabbia〜Risveglio〜Parsifal (parte2)"
のインスト・メドレー、アンコール冒頭での今年のW杯で優勝したイタリア代表の公式応援ソング
"Cuore
azzurro"、さらにCDでは半分に編集されたアンコールでのメドレー8曲が全曲収録されています。収録時間の関係かCD,
DVD単体ではややライブの全貌を把握しづらい部分もありますが、録音状態も非常に良く、臨場感のあるライブならではの迫力のある作品に仕上がっています。パッケージは3面開きのデジパック仕様となっています。
|
|
Gianni Togni / La vita
nuova (2006) Acquarello, ACQ 0001. (全10曲)
CCCD
ここ数年はミュージカルやプロデュースなど裏方としての活躍が多かったベテラン・カンタウトーレ
Gianni Togni の実に9年振りとなるニュー・アルバム。全曲 Togni
自身の作曲で、詞は大部分 Carla Di Riso
の手によるものです。ギターのカッティングに乗せて囁くように歌われるオープニングの
"Oggi di più" からサビでの伸びのある特徴的な歌い回しによる
Togni
節全開で、9年振りの復活を高らかに宣言しているかのようです。ギターを中心にしたアコースティックなアレンジによる
"Quello che so"
ではゆったりとしたリズムに乗せて語りかけるような歌い出しから、コーラスを伴ったサビでの盛り上がりに一気に向かっていく所が彼らしいです。"Appena
puoi portami via"
はギターのコードカッティングに乗せて哀感のある伸びやかな歌声で歌い上げる叙情的な曲です。タイトル曲の
"La vita nuova"
ではゆったりとしたリズムをバックにサックスによるオブリガートを伴った叙情的なメロディを染み入るように歌い上げています。"Splendida
giornata"
はブルース・フィーリング溢れた曲で、ゆったりとしたリズムに乗せた伸びのある歌声と時折絡んでくるハーモニカの調べが印象的です。英詞によるコーラスで始まるラストの
"Before the end" (歌詞はイタリア語です)
では軽快なリズムをバックに弾むような楽しげなメロディを気持ちよさそうに歌い上げています。ブックレット内部を見ると以前よりややふっくらした感じではあるものの相変わらずの男前で、以前同様に優しく伸びのある歌声と人懐こいメロディは健在なので安心して聴くことができます。ちなみにケース裏の曲順の表記が間違っており、実際には4曲目が
"Pazzo di te" で5曲目が "La vita nuova"
の順で収録されています。パッケージはプラスチック製透明スリップ・ケース入りとなっています。
|
|
Premiata Forneria
Marconi (PFM) / Stati di immaginazione (2006)
Aereostella, 88697003152. (CD全8曲 DVD全8曲)
CD+DVD
今年の来日公演も大盛況だった PFM こと Premiata Forneria
Marconi
の約1年振りとなるニュー・アルバムはイメージ映像と音楽のコラボレーションによる完全なインストゥルメンタルのCD+DVDという意欲作となりました。今回は
Flavio Premoli
は曲作りには参加しているもののレコーディング・メンバーからは外れ、正式メンバーは
Franz Di Cioccio (vo, ds, per), Patrick Djivas (b), Franco
Mussida (g, vo) の3人になっています。ゲストでお馴染みの
Lucio Fabbri (vln, key) が、サポートで今年の来日公演でも
Premoli の代役を見事に果たした Gianluca Tagliavini (p, org,
key) が参加しています。オープニングの "La terra dell'acqua"
ではこれまでスタジオ盤では見せることのなかったダークな雰囲気を持ったインプロヴィゼーションを中間部に配し、艶やかなバイオリンやハードなギターをフィーチャーした展開の大きなシンフォニック・ロックに仕上がっています。"Promenade
the puzzle" のイントロで始まる "Il mondo di testa"
はリズミカルなクロス・オーヴァー・サウンドを聴かせるテクニカルな楽曲です。"Cyber
Alpha" では畳み掛けるリズム隊をバックに Mussida
が縦横無尽なギター・ソロを聴かせてくれます。"Il sogno di
Leonardo" では Mussida
お得意のアコースティック・ギターの爪弾きに牧歌的な Djivas
のリコーダーが絡み、大空を飛翔するようなキーボードの音色が印象的なスケールの大きい叙情的な雰囲気が楽しめます。"La
conquista" では中期 Camel
を思い起こさせるような疾走するギター・ソロがフィーチャーされたテクニカル・シンフォニック・ロックを聴かせてくれます。"Agua
azul"
は雄大な大地を想わせるような映像的な曲想で、艶やかな音色のバイオリンや畳み掛けるリズムがイマジネーションを掻き立ててくれます。"Nederland
1903"
はギター・バイオリン・ピアノによるアコースティック色の強い叙情的な小品となっています。ラストを飾る
"Visioni di Archimede"
ではロングトーンを多用した叙情的なギター・サウンドを大々的にフィーチャーし、迫力のあるリズムをバックにテクニカルな演奏を聴かせるドラマティックなシンフォニック・ロックに仕上がっています。
|
|
Massimo Priviero /
Dolce resistenza (2006) MBO Music, MBO 3006984.
(全12曲) CD-Text
'80年代終盤から活動を続けるロック系中堅カンタウトーレ
Massimo Priviero
の3年振りの8作目となるニュー・アルバム。Luigi Tenco
のカバーとなる "Ciao amore ciao (Li vidi tornare)"
以外の大部分の曲を彼自身が作詞・作曲しており、演奏でもアコースティック・ギターとハーモニカを担当しています。きらびやかなピアノの音色と共に始まるドラマティックなオープニングのタイトル曲
"Dolce resistenza"
からややしゃがれ声のヴォーカルが力強く歌い上げるロック色の強い曲に仕上がっています。続くカバー曲
"Ciao amore ciao"
でもかなりロック色の強いアレンジで、力の入ったシャウトを聴かせてくれます。ハードなギターのリフをバックにした
"Italia libera"
でも力強いリズムに乗せて独特のしゃがれ声で高らかに歌い上げています。きらびやかなキーボードとコーラスで始まる
"Clandestina"
ではスピード感のある曲に乗せて熱唱しています。アコースティック・ギターの爪弾きに乗せて始まり絞り出すように歌われる
"Ragazzino"
では後半に向けて徐々に盛り上がっていく様が印象的です。トラディショナルな雰囲気を持ったリフに導かれた
"Vincere"
では大地を踏みしめるようなリズムに乗せてしゃがれ声でシャウトする勢いを感じさせる曲に仕上がっています。7分を越えるラストのキーボード・オーケストレーションによる荘厳な調べをバックに切々と歌われる
"Pane giustizia e libertà"
では染み入るような叙情を感じさせてくれます。最後にはシークレット・トラックとして
"Ciao amore ciao" の別バージョンが収録されています。
|
|
Modà / quello che non
ti ho detto (2006) Around the Music, 0176592ERE.
(全13曲) CD-Text
2003年にデビューを飾ったポップ・ロック・バンド Modà
のフル・アルバムとしては2作目となる2年振りのニュー・アルバム。メンバーは
Francesco "Kekko" Silvestre (vo), Matteo "Tino" Alberti
(ac-g), Diego Arrigoni (el-g), Stefano Forcella (b), Manuel
Signoretto (ds) の5人編成で、全曲 Francesco
が作詞・作曲しています。今時の若者といった風貌ながらもノスタルジックな雰囲気に満ちたポップ・ロックを演奏している所に好感が持てます。弾むようなリズムに乗せて切々と歌われるオープニングのタイトル曲
"Quello che non ti ho detto (Scusami...)"
から切なくなるような叙情を感じさせてくれます。端正なピアノをバックに優しい歌声で囁くように歌われる
"Ti sento parte di me"
もノスタルジックな雰囲気に包まれた佳曲です。ギターのコードカッティングをバックにした
"Grazie gente"
ではゆったりとしたリズムに乗せて高らかに歌い上げています。軽快なギターのリフに導かれた"Sogno
misfatto"
では勢いのあるポップ・ロックを聴かせてくれます。きらびやかな音色のピアノに乗せて歌われる
"Semplice"
ではマンドリンのトレモロがバックを飾り、弾むような楽しげな雰囲気のある曲です。流麗なピアノに乗せて切々と歌われる
"Spirito libero"
では艶やかなストリングス・アレンジも手伝ってこみ上げてくるような叙情を感じることができます。タンゴのリズムに乗せた
"Malinconico a metà"
では多数のゲストを迎え、スパニッシュ風の哀愁を感じさせる曲を力強く歌い上げています。端正なピアノに導かれた
"Inverno a primavera"
では囁きかけるような歌い出しから徐々に盛りあがっていくしっとりとした歌声を聴かせてくれます。
|