アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Ivano Fossati /
L'arcangelo (2006) Columbia, 82876779342.
(全11曲)
元 Delirium のベテラン・カンタウトーレ Ivano Fossati
のライブ盤を挟んで約3年振りとなるオリジナル・アルバム最新盤。本作でもほぼ全曲彼自身の作詞作曲で、演奏でもピアノ、ギターにハーモニカと大活躍しています。ここ数作でのジャズ的なアプローチによるクールな作風は控え目となり、イタリアらしい熱い歌を聴かせるカンタウトーレ作品に仕上がっています。オープニングの
"Ho sognato una strada"
から幾分しゃがれた歌声でフォークロック色のある曲を高らかに歌い上げています。続く
"Denny"
はピアノとオルガンによるバッキングに乗せて語りかけるように切々と歌われます。ボサノバ調のゆったりとしたリズムに乗せた
"L'amore fa"
では日だまりを思わせる暖かなヴォーカルが印象的です。
パーカッションに導かれて始まるタイトル曲 "L'arcangelo"
では軽快なサンバのリズムに乗せて渋いヴォーカルを聴かせてくれます。"La
cinese"
はレゲエのリズムに乗せてタイトル通りの中華風のメロディが展開される変わった曲で、合いの手のような女性コーラスも印象的です。"Aspettare
stanca"
はジャズ的なアプローチによる落ち着きのあるアダルトな雰囲気の曲に仕上がっています。全体的に収録されている曲もバラエティに富んでおり、リズム・アプローチも多彩なカラフルな作品となっています。パッケージは初回盤はデジパック仕様となっています。
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Francesco De Gregori /
Calypsos (2006) Caravan, 82876793712. (全9曲)
ローマ派カンタウトーレのベテラン Francesco De Gregori
の前作 "Pezzi"
から1年もしないうちにリリースされた最新作。相変わらず詞曲ともに全曲彼自身が手掛けています。端正なピアノに導かれるオープニングの
"Cardiologia"
から彼の優しく包み込むようなヴォーカルによるしっとりとした歌を堪能できます。一転してフォークロック調の
"La linea della vita"
では畳み掛けるようなリズムに乗せての女性コーラスとの掛合いが印象的です。"La
casa"
はピアノとストリングスによる包み込むようなバッキングを受けて語りかけるように歌われる叙情的な曲です。Lucy
Campeti とのデュエットによる "L'angelo"
は軽快なリズムに乗せたトロピカルな雰囲気を持った曲になっています。乗りのいいロック・ナンバー
"Mayday"
ではブルース色のあるギターに乗せて渋めのヴォーカルを聴かせてくれます。
吹き抜ける風のような響きを湛えたオルガンのバッキングが印象的な
"L'amore comunque"
では彼の語りかけるようなヴォーカルを楽しむことができます。アルバムラストは女性コーラス隊との掛合いも楽しい軽快なリズムの佳曲
"Tre stelle"
で締めくくられています。ジャケット・デザインも含めシンプルな作風ながらもベテランならではの非常に趣の深い作品に仕上がっています。
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Gianna Nannini /
Grazie (2006) Polydor, 9876805. (全10曲)
今やイタリアのみならずヨーロッパを代表する女性ロッカーとなった
Gianna Nannini
の最新アルバム。前作が過去の代表曲をストリングス・アレンジに乗せて情感豊かに歌い上げるある新録によるベスト盤であったため、純粋なオリジナルとしては約4年振りの作品となります。前作からの影響かストリングスが大胆に導入され、豊穣な音空間を作り上げていますが、その分以前のような骨太のロック色は後退しています。包み込むようなストリングスが印象的なオープニングの
"Sei nell'anima"
からゆったりとしたリズムに乗せてドスの利いた歌声で語りかけるように歌い上げています。乾いた音色のギターに導かれる
"Possiamo sempre"
ではロック色の強い演奏に乗せた力強いヴォーカルと切り込んでくるストリングスとの対比がスリリングです。アルバム・タイトル曲
"Grazie"
は壮大なストリングスをバックに情感豊かに歌い上げる曲で、彼女のしゃがれ声と艶やかなストリングスが見事なコントラストを描いています。歪んだギターに導かれて始まる
"Babbino caro"
はヘヴィなロック・サウンドに乗せてシャウトする曲で、エンディングでの女の子達によるコーラスが爽やかな印象を残します。なだれ込むようなピアノのリフに導かれるエンディングの
"Alla fine"
ではシンプルなピアノの調べに乗せて叙情的なメロディを切々と訴えかけるように歌い上げています。傑作となった前作ほどの感動はないものの、イタリアの女性ロックヴォーカル物としては非常に高水準の作品に仕上がっていると思います。
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Grazia Di Michele /
respiro (2005) Rai Trade, RPT 081. (全11曲)
ほのかにトラッドの香り漂う作風とアンニュイな歌声で人気のカンタウトリーチェ
Garzia Di Michele
の単独では約5年振りとなるオリジナル・アルバム。ブズーキの音色が印象的な1曲目の
"Habi" はDaniela Iezzi
とのデュエット曲で、2人のボーカルの絡みやコーラスにより多少エスニック色のある曲を盛り上げています。フォーク色のある
"Cammineremo sulle acque"
ではゆったりとしたリズムに乗せて落ち着きのある彼女のヴォーカルがしっとりと歌い上げています。ギターの爪弾きに導かれた
"Le donne d'autunno"
では彼女のアンニュイな歌声とそれに絡みつく Daniela Iezzi
のヴォーカリゼーションが哀愁を感じさせます。"La storia di
Irene"
はトラッド色のあるリズミカルな曲で、ヴォーカルに寄り添うようなアコーディオンの響きが印象的です。ナポリ・トラッド界の歌姫
Piera Montecorvino とのデュエット曲 "Volubile"
では彼女の繊細な歌声とドスの利いた Piera
のヴォーカルとのコントラストにより優しさと力強さを兼ね備えたトラディショナルなメロディが紡ぎ出されています。アルバムラストは彼女自身が奏でるギターの爪弾きに乗せてしっとりと歌い上げる
"Amore di passagio"
で締めくくられています。イタリアでは数少ないしっとりとした歌を聴かせるいわゆるフィーメル・ヴォーカル作品としてお薦めです。
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Equ / Equ
(2005) Maccaja, 3298678042. (全13曲)
CD-Extra
昨年デビューを果たした若手ロックバンド Equ
のファースト・アルバム。メンバーは Gabriele Graziani (vo),
Daniele Boscherini (g), Vanni Crociani (key), Roberto
Olivetti (ac-g), Alessandro Fabbri (b), Tommaso Anagni (ds)
の6人編成となっています。ざっくりとしたギターのコードカッティングに導かれて始まるオープニングの
"In genere sogno"
からいわゆるオルタナ系の内省的なロック・サウンドを聴かせ、神秘的な響きを湛えたピアノがアクセントとなっています。軽快なリズムに乗せて歌われる
"Cecilia"
はサビの部分でコーラスを多用した明るい雰囲気の曲となっています。デビュー・シングルとなった
"L'idea"
は語りかけるような導入部からたおやかなメロディを持ったサビのフレーズへの展開が印象的な曲です。"La
creazione"
はHIP-HOP調のオープニングから哀愁を感じさせるメロディアスな歌メロへと移っていき、サビのコーラスで盛り上げる構成が見事です。アコースティック・ギターのコードカッティングをバックに切々と歌い上げる
"Carezze di passaggio"
は叙情的なフォーク・タッチの曲に仕上がっています。クラシカルなピアノに導かれる
"Emozioni bianche"
はゆったりとしたリズムに乗せて歌われる哀愁感をにじませる切ないメロディラインが印象的です。ボーナスとしてシングル曲
"L'idea" と "La creazione"
のビデオ・クリップが収録されています。
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