第71号
(04/12/2005)
いよいよ寒さも増してきましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか?今回はこの秋の新譜を中心にお送りします。
アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Pooh / La grande
festa - edizione speciale (2005) Atlantic,
5051011133121. (CD全33曲 DVD全20曲)
CD+DVD
デビュー40周年を記念するベストアルバム。新曲 "La grande
festa" と "Destini"
を冒頭とラストに配し、それ以外は年代順に全33曲を収録した2枚組CDと'79年の
"Io sono vivo" から最新シングル曲の "La grande festa"
までの全20曲のビデオクリップを収録したDVDのセットによる限定盤。CD1には'90年までの17
曲が、CD2には'90年以降の16曲が収録されており、これまであまりベスト盤に収録されなかった
"Cosa dici di me" や "Tu dov'eri"
なども選曲されています。新曲 "La grande festa"
はファン60人のコーラスをフィーチャーした軽快な8ビート・ナンバーとなっています。また、ラストの
"Destini"
はリード・ヴォーカルを次々と繋いでいくミディアム・テンポの曲で、アルバムとしっとりと締めくくっています。DVDは'79年以降のビデオ・クリップの他、当時のライブ映像4曲を含むなど貴重な映像も含まれています。この限定盤のパッケージは4面開きのスリット・イン・タイプのデジパック仕様となっています。
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Eros Ramazzotti /
Calma apparente (2005) Ariola, 82876738492. (全13曲)
CD-Text
もはや世界的なビッグ・スターとなった Eros Ramazzoti
の2年振りとなる最新アルバム。通常盤の他にDVD付きの Dual Disc
仕様とデジパックに写真集が付いた限定ボックスセットもリリースされています。オープニングの
"La nostra vita" からいつもの Ramazzotti
節全開で、ゆったりとしたスケール感のある曲調に独特の歌声が重なると否が応でも期待が高まってしまいます。"L'equilibrista"
ではシンプルなピアノをバックに歌い上げ、包み込むようなオーケストレーションが重なったときの消え入るような哀愁感が印象的です。アップテンポの
"Bambino nel tempo"
では大陸的な広がりを感じさせる軽快な歌声を聴かせてくれます。"Sta
passando novembre"
では切々と訴えかけるようなヴォーカルとピアノによるバッキングが胸を締めつけるような哀感を醸し出しています。Anastasia
とのデュエット曲 "I belong to you (Il ritmo della passione)"
ではパワフルで押し出しの強い Anastasia
のヴォーカルとの絶妙のコラボレーションによるスケールの大きいバラードを聴かせてくれます。彼の場合、声や歌い回しの個性が強いためどの曲を聴いても同じ印象になりかねない危険があるのですが、収録曲全ての完成度が高く、曲調のバリエーションも多岐に渡っているので非常に楽しめるアルバムに仕上がっています。
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Conqueror / Storie
fuori dal tempo (2005) Ma.Ra.Cash, MRC 006 CD.
(全6曲)
若手シンフォニック・ロック・バンド Conqueror
の2年振りとなるセカンド・アルバム。Simona Rigano (vo, key)
と Natale Russo (ds, per)
の2人を残し大幅なメンバーチェンジを行ない、Tino Nastasi (g),
Sabrina Rigano (fl, sax), Fabio Ucchino (b)
を加えた5人編成となっています。名前からすると Sabrina は
Simona
の姉妹でしょうか?前作と比較すると管楽器奏者が入ったこともあり、よりクラシカルな雰囲気がアップしています。きらびやかなピアノのアルペジオで始まるインスト曲
"Ouverture"
から畳み掛けるようなリズム・セクションに舞い上がるようなフルートの調べなどシンフォニック・ロックとしての要素がてんこ盛りです。"Mosaico
di colori" は Simona
の繊細なヴォーカルとクラシカルな管楽器のフレーズとの相乗効果で気品溢れる楽曲に仕上がっています。"No
photo"
では所々にフルートによるエキゾティックなフレーズが挟まれ、囁きかけるようなヴォーカルと相まって神秘的な雰囲気を醸し出しています。30分を越える6部構成の大作
"Morgana"
はピアノとフルートによるアコースティック感覚を生かしたクラシカルなフレーズを交えながら緻密に構成された華麗にして繊細なシンフォニック組曲として高い完成度を誇ります。
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Dolcenera / Un mondo
perfetto (2005) Amarena Music, 0163962ERE.
(全12曲)
2003年の San Remo
音楽祭の新人部門で優勝した若手女性カンタウトリーチェ
Dolcenera
のセカンド・アルバム。大半の曲を彼女自身が作詞・作曲し、ピアノやオルガンも演奏しています。Lucio
Fabri
がプロデュースを含め全面バックアップをしています。オープニングの
"Mai più noi due"
は卓越した歌唱力を生かしたバラードで、幾分ハスキーな歌声が切なさを感じさせます。語りに近い歌い出しで始まる
"Sei bellisima"
では中低音部に特徴のあるドスの利いた歌声でダイナミックに歌い上げています。タイトル曲の
"Un mondo perfetto"
はドライブ感のあるロック色の強い曲で、力強い歌声を聴かせてくれます。"Passo
dopo passo" では軽快なリズムに乗せて HIP HOP
の影響を感じさせるヴォーカル・ワークが印象的です。囁きかけるようなヴォーカルで始まる
"Pensiero stupendo"
はピアノによるシンプルなバッキングに乗せて熱唱する情熱的な佳曲です。シングル・カットされた
"Continua"
はハスキーな歌声が生かされたダイナミックなロック・バラードです。アルバム・ラストは
"Mai più noi due"
のピアノの弾き語りで、シンプルながらも情感溢れるバージョンに仕上がっています。
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Baustelle / La
malavita (2005) Atlantic, 5051011016028. (全11曲)
2000年にデビューした若手バンド Baustelle
の2年振りとなるサード・アルバム。メンバーは紅一点の Rachele
Bastreghi (vo, key) をはじめ Francesco Bianconi (vo, g,
key), Claudio Brasini (g, b), Claudio Chiari (ds, key)
の4人で各メンバーが複数の楽器を担当する変則的な編成となっています。メインのコンポーザーは
Rachele と Francesco で、メインのヴォーカルは Francesco
が担当し、曲によって Rachele がリードをとっています。
サスペンス映画のタイトルバックに流れるようなインスト曲
"Cronaca nera" で始まり、続くタイトなリズムに乗せた "La
guerra è finita" では分厚いキーボードをバックに Francesco
のジェントリーなヴォーカルを堪能できます。押し寄せるようなキーボードオーケストレーションで始まる
"Revolver" では Rachele
の囁きかけるようなアンニュイな歌声によりミステリアスな雰囲気が漂っています。"Il
corvo Joe" ではシンプルなバッキングに乗せて Francesco
がじっくりと歌い上げるのが印象的です。Rachele と Francesco
のツイン・ヴォーカルによる "A vita bassa"
では映画の一場面を見ているかような映像的な音作りがされています。イタリア色が高いとは言えないものの、ヨーロッパならではの色彩感覚を備えたサウンドに特徴があるバンドとして今後が楽しみです。
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