前回から2ヶ月ぶりの更新となってしまいましたが、皆さんいかがお過ごしですか?今回は待望の Pooh の新作をはじめベテラン勢の最新作を中心にお送りします。
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数) |
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Pooh / Ascolta (2004) CGD east west, 5050467349124. (全14曲) イタリアの国民的ロック・バンド Pooh の前作から約1年半振りに発表された最新作。波の音に導かれて始まり、重厚なコーラスとリードを執る Roby のヴォーカルの間を駆け抜ける Dodi のギターが印象的なシンフォニック・ナンバー "Ascolta" によって幕を開け、続く先行シングルにもなったコーラスを挟みながらメンバーが歌い継いでいく軽快な "Capita quando capita" では彼ららしいヴォーカル・アンサンブルが堪能できます。ほぼ全編コーラスで彩られている "Vivi" や Dodi のソロ・ヴォーカル曲 "Scusami"、Red のヴォーカルが心地よい "Io e te" や "Quando anche senza di me" など、各人の特徴を生かしたバリエーション豊富なヴォーカル・アンサンブルを楽しむことが出来ます。また、スパニッシュ風のギターが活躍する "Per dimenticare te" や Roby がしっとりと歌い上げる "Cosa sarà di noi"、マカロニ・ウェスタンを想わせるイントロを持つハード・ナンバー "Stella" や Stefano がリードを執り、ブラス・セクションが活躍する "Dove sono gli altri tre" など曲もバラエティに富んでおり、それでいてアルバム全体を独特のカラーが貫かれています。また、いつも以上に Dody のギターがフィーチャーされており、曲毎に異なったスタイルの多彩なギタープレイを聴くことが出来ます。最後は Pooh らしいスケールの大きなバラード "Domani" で締めくくられています。 |
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Ron / le voci del mondo (2004) le foglie e il vento, LFV 515129 2. (全9曲) [CD-Text] ローマ派カンタウトーレのベテラン Ron のニュー・アルバム。Robert Schneider 作の同名小説にインスパイアされて制作されたそうです。今回もほとんどの曲を共作を含め彼自身が作詞・作曲しており、さらに得意のピアノとギターを演奏しています。リリカルなピアノに導かれて始まるオープニングの "Lisa" から少ししゃがれた声で切々と歌い上げる彼のヴォーカルが哀愁を感じさせます。激しいリズムの連打で始まる "Non ti credo più" ではスピード感のある畳み掛けるような展開で、ドラマティックなヴォーカルを聴くことが出来ます。"Ma quando dici amore" はゆったりとしたリズムに乗せてメロディを噛みしめるように歌うさまが印象的です。タイトル曲の "Le voci del mondo" は地の底から沸き上がってくるように徐々に盛りあがっていく重厚なナンバーになっています。"Il profondo dell'azzurro del mondo" では大空を思わせる叙情的なメロディをスケールの大きいヴォーカルで聴かせてくれます。ラストはしっとりとしたピアノの弾き語りの "Perso" で締めくくられています。 |
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Delta V / le cose cambiano (2004) Ricordi, 82876599552. (全14曲) [CCCD] 3人編成のクラブ系グループ Delta V の約3年ぶりの4枚目となる最新アルバム。残念ながら BMG Ricordi からの新譜なのでCCCD仕様になってしまっています。メンバーは前作同様 Carlo Bertotti (key, ac-g, vo), Flavio Ferri (thermin, synth) と女性ヴォーカリストの Gi Kalweit で、初めて同じメンバーで2枚のアルバムを制作したことになります。オープニングのきらびやかなキーボードに導かれて始まる "La costruzione di un errore" から中低音部に特徴のある Gi のヴォーカルを生かした、ミステリアスなアレンジが施されたサスペンス調の曲を聴くことが出来ます。続く Battisti の名曲 "Prendila cosi" のカバーではメロディは原型を崩していないものの、アレンジ面では Club Mix といっていい彼らの個性が感じられる作品に仕上がっています。Carlo のヴォーカルによる HipHop 調の "Il senso falsato di un mondo migliore" は彼らの持ち味であるリゾート感覚溢れる曲になっています。タイトルのない12曲目は数秒間の静寂のみとなっており、続く1 曲目のリミックス "La construzione moonbase rmx" への橋渡しの役目を果たしています。最後は電話の発信音と台詞が延々と続く "In picchiata (home sweet home)" により幕を閉じます。 |
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Roberto Vecchioni / Rotary Club of Malindi (2004) Columbia, COL 515032 2. (全11曲) [CD-Text] ベテラン・カンタウトーレ Roberto Vecchioni の2年ぶりとなるニュー・アルバム。前作同様、Mauro Pagani がプロデュースとアレンジを担当しており、近作で見られたトラディショナルなアプローチがなされていますが、今回はテーマに取り上げられている東アフリカ (Kenya) の影響からエスニック色の強い曲も含まれています。オープニングは Mauro Pagani との共作の "Nini Kuna?" で、アフリカを思わせるパーカッシブな演奏に乗せた軽快な歌声が印象的です。続く "L'uomo che vorrei" は一転してアコースティック・ギターの爪弾きをバックに囁くように歌うボサノバ調のムーディな曲になっています。タイトル曲の "Rotary Club of Malindi" ではエスニック調のコーラスを伴ってリズミカルで楽しげな歌声を聴くことが出来ます。モノローグで始まり、次第にメロディが付いてくる "Il libraio di selinunte" ではバックを盛り立てる控え目なストリングスが曲に厚みを与えています。"Tango in rango" ではアコーディオンの絶妙な伴奏を得て、哀愁溢れるヴォーカルを聴かせてくれます。ラストのギターの爪弾きに乗せた語りかけるような "E invece non finisce mai" の後、しばらくの静寂に続いて女性ヴォーカルによるシークレット・トラックが収録されています。派手さはないものの、完成度の高い大人の作品集に仕上がっています。 |
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Dik Dik / LIVE ingresso gratuito... (2004) IdEA, SIAE COM135. (全21曲) イタリア最古参バンドの一つ Dik Dik の最新ライブ・アルバム。2002年の Lignano Sabbiadoro と2003年の Venezia でのライブ音源から収録されています。メンバーは Pietruccio (Pietro Montalbetti), Lallo (Giancarlo Sbriziolo), Pepe (Erminio Salvaderi) の3人となってしまいましたが、5人のサポート・メンバーを加えた手堅い演奏と息のあったヴォーカル・ハーモニーを聴かせてくれます。Battisti - Mogol のペンによる "Uno in piu'" で幕を開け、"Sognando la California" や "Volando" といったカバー曲や古くからのレパートリーである "Dolce di giorno" "10 ragazzi" "Il vento" など、彼らの代表曲を万遍なく網羅していますが、最大の聴き所は Eagles の "Hotel California" に始まり、Beatles, Led Zeppelin, Pink Floyd, Deep Purple の'70年代ロックのカバー・メドレーだったりします。最後は Procol Harum の " A Whiter Shade Of Pale" (青い影) のカバー曲 "Senza luce" で締めくくられています。 |
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