第62号
(25/01/2004)
寒い日々が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?今年最初の更新となりますが、今回はライブ・アルバム2種とプログレ系の新譜を中心にお送りします。
アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Ligabue / Giro
d'italia [Edizione Limitata] (2003) Wea,
5050466957924. (全32曲)
今やイタリアを代表するロックン・ローラーとなった Ligabue
こと Luciano Ligabue
のセミ・アコースティック・ツアーの模様を収録した最新ライブ・アルバム。通常盤は2枚組ですが、こちらは限定盤の3枚組で窓付きの紙製ケース入りのスリット・イン・タイプのディスク・ホルダーにステージ写真を満載したブックレットが付き、Ligabue
が撮影したフォト・カードまで封入された豪華なデジブック仕様で、外側のケースの底面にシリアル番号が付いたスペシャル・パッケージとなっています。彼自身がアコースティック・ギターを弾いているほか、近年活動を共にしている
Roberto Pellati (ds), Antonio Righetti (b), Mel Previte (g,
sax), Federico Poggipollini (g), Fabrizio Simoncioni (key)
の5人に加え、スペシャル・ゲストとして Mauro Pagani
がバイオリン・フルートなどで参加しています。いつもはライブで骨太のロック・サウンドを披露している
Ligabue
ですが、今回はアコースティック・ギターの弾き語りを基調とした繊細なアレンジで彼の代表曲の数々に新たな息吹を吹き込んでいます。多分ステージ上の動きは少ないのでしょうが、是非とも映像版もリリースして欲しいところです。
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Fabio Concato /
Voilà CONCATO LIVE (2003) Mercury, 9810028.
(全16曲)
既にベテランの域に達しているカンタウトーレ Fabio Concato
の初めてのライブ・アルバムとなる新譜がリリースされました。2003年5月16・17日の両日に
Emilia - Romagna 州の Cervia の Teatro Comunale
で行なわれたコンサートから16曲が収録されています。バックのメンバーは
Bruno Zucchetti (p, key), Toti Panzanelli (g), Luca Trolli
(ds), Francesco Puglisi (b)
の4人が務め、彼自身もギターを弾いています。また、Anna Oxa,
Lucio Dalla, Samuele Bersani, Stefano Di Battista
の4人がゲスト参加しています。オープニングを飾るアルバム・タイトル曲
"Voilà"
から彼の得意とするほのかにジャズの香りのするAORサウンドを堪能できます。続く
"Giulia" は軽やかな彼のヴォーカルとStefano Di Battista
の奏でるサックスが印象的な曲です。Anna Oxa
とのデュエットを聴かせる "In trattoria"
ではハイトーンの彼と低音を利かせた Anna
のヴォーカルの対比が印象的です。カバー曲となる "Tutto il
sentimento (todo o sentimento)"
ではピアノによるシンプルなバッキングに囁くような情感に満ちた歌声を聴くことができます。Lucio
Dalla とのデュエット曲 "051/222525"
では声質の違う2人によるしっとりとしたコラボレーションを楽しむことができます。Samuele
Bersani とのデュエットを聴かせる "Gigi"
ではリラックスした2人の歌声が軽やかなジャズ・テイストを醸し出しています。本来ならば2枚組くらいのコンプリートで出して欲しいところではありますが、約74分のライブ・アルバムに彼の魅力が凝縮されています。
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Conqueror /
Istinto (2003) Conqueror, CNQ CD 001. (全8曲)
シンフォニック・スタイルの新人プログレ・バンド Conqueror
のデビュー・アルバム。とは言っても自主レーベルからのリリースとなっています。メンバーは紅一点の
Simona Rigano (key, vo) を中心に Gaetano Scarcella (g),
Natale Russo (ds, cho), Tony Rose (b)
の4人編成となっています。きらびやかな音色のキーボードと重厚なベースに導かれて始まる
"Storie di favole" から多彩なプレイを披露する Gaetano
のギターと Simona
のキーボードとのせめぎ合いが堪能でき、時折聴かせる Simona
のヴォーカルも決してうまいとは言えないもののいい味を出しています。ピアノによるイントロが印象的な
"Quartar"
では'90年代以降のイタリアのバンドに見られるキーボード・ソロのパートに歌詞を乗せたようなヴォーカル・メロディと切り返しの多い曲調が楽しめます。流麗なピアノに導かれる
"Pensieri fragili"
では軽快なキーボード・オーケストレーションと力強いヴォーカル・パートとの対比が印象的で、起伏に富んだ曲構成に好感が持てます。"La
strada del Graal" では Gaetano
による多彩なギター・プレイとしっとりとしたヴォーカルが曲を盛り上げ、曲後半に聴ける
Simona
のキーボード・ソロも迫力満点です。ヴォーカル中心の小曲となる
"In the cave"
でも華麗なキーボードとギターの掛合いを聴くことができ、派手な仕掛けが施されています。ラストはミステリアスなキーボード・ラビリンスが繰り広げられる9分に及ぶインストの
"Entropia"
で締めくくられています。とても自主制作とは思えない非常にハイレベルな作品に仕上がっています。
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Randone / NUVOLE DI
IERI Suite da un Viaggiatore (2003) Electromantic
Music, ART411. (全18曲)
2002年にソロ・デビューしたカンタウトーレ Nicola Randone
を中心に結成された新人プログレ・バンド Randone
のデビュー・アルバム。メンバーは Nicola Randone (vo, 12
strings g), Marco Crispi (g), Riccardo Castone (ds, perc)
の変則トリオ編成で、ゲストにレーベル主催者の Arti &
Mestieri の Beppe Crovella (key) と Daniel Martinez (b)
が参加しています。18のパートからなる組曲形式の一人の男の旅を巡るトータル・コンセプト・アルバムとなっています。Nicola
Randone による元 Van Der Graaf Generator の Peter Hammill
の若い頃を思わせるシアトリカルでエキセントリックなヴォーカルを中心にアバンギャルド色の濃いプログレッシブ・ロックを演奏しています。引きずるようなギターの音色とハモンド・オルガンのうねりが印象的な
"Preludio"
に導かれて始まる一大叙事詩が繰り広げられています。パート毎に曲調はコロコロ変わりますが、全体のイメージは一貫しており
Beppe Crovella
のプロデュースにより手堅くまとめられている印象を受けます。Beppe
Crovella
によるヴィンテージ・キーボード群がサウンドに華を添えており、Nicola
Randone
のソロ作品に較べて力強さが増し、よりダイナミックなロック色を持ったバンドとしての一体感を感じることができます。
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Arti & Mestieri /
PROGDAY special (2003) Electromantic Music, ART 4101.
(全4曲)
1999年に再結成されたシンフォニック・ジャズ・ロックバンド
Arti & Mestieri が昨年アメリカのプログレ・イベント
PROGDAY
に参加したのを記念してリリースされたミニ・アルバムでスタジオ・ライブ録音となっています。今回はスケジュールの都合でオリジナル・メンバーは
Furio Chirico (ds) と Beppe Crovella (p, key)
の2人だけで、後は若手の Roberto Cassetta (b, vo), Corrado
Trabuio (vln), Slep (g, cho)
がサポートしています。バイオリンの艶やかで切れ味鋭いフレーズとなだれ込んでくるような
Furio のドラミングが印象的なファーストからの "Articolazioni"
で始まり、Beppe
のキーボードとバイオリンの掛合いが素晴らしいセカンドからの小品
"Dimensione terra"
、荒々しいギターが暴れまくる初期の曲で英詞のヴォーカルが聴ける
"Comin' here to get you"
、縦横無尽に駆け回るキーボードに絡み合うバイオリンが印象的な再結成後の
"murales" からの "2000"
が収録されており、卓越した演奏技術に裏打ちされた高度な音楽性を再認識することができます。昨年は噂に終わった来日公演を是非とも今年は実現して欲しいものです。
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