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Timoria / Live
- Generazione Senza Vento (2003) Polydor, 9809991.
(全31曲)
既に15年のキャリアを誇る社会派ロック・バンド Timoria
史上初となる2枚組ライブ・アルバム。2001年の El Topo
Electrico Tour と2002年の Treno Magico Tour
の音源から合わせて31曲を収録しています。ツアー・メンバーは
Diego Galeri (ds, vo), Enrico Ghedi (key, vo), Illorca (b,
vo), Omar Pedrini (g, vo), Sasha (g, vo), Filippo Ummarino
(per, vo) の6人に加え、ゲスト・プレーヤーとして James
Thompson (fl, sax) が参加しています。収録曲の多くは近作の
"El Topo Grand Hotel" と "Un aldo qualunque sul treno
magico"
のものが中心で、ライブならではのワイルドな臨場感が溢れています。重厚なベースのリフに乗って歌われる
"Un altro giorno (senza te)"
ではメンバーの息のあったコーラスを含め、ライブらしいノリのいい演奏を聴かせてくれます。ほとんど全員がヴォーカルを取れるという特徴を生かした叙情的なナンバー
"Fresco"
ではメンバーによる巧みなコーラスワークが印象的です。きらびやかなキーボードによるアルベジオで始まる
"Un volo splendido"
ではオリジナルを遙かに越えた疾走感のある演奏が繰り広げられています。列車のSEに導かれて始まる
"Treno magico"
ではギターのリフが生み出す軽快なリズムに乗せた巧みなコーラスワークが冴え渡っています。実力派ライブ・バンド
Timoria
の本領が発揮されたすばらしいライブ・アルバムに仕上がっていると思います。
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Edoardo Bennato /
L'uomo occidentale (2003) Wea, 5050466486424.
(全15曲)
ナポリ出身のベテラン・カンタウトーレ Edoardo Bennato
の最新アルバム。オープニングの "Stop America"
ではブルース色の濃いソウルフルな歌声を聴かせてくれます。"A
cosa serve la guerra"
はフォークロック調のメッセージ色の強い曲で、彼の兄弟でトラッド界の大御所
Eugenio Bennato が詞を書いています。レゲエ調の "Bambina
innamorata"
は効果的な男女のコーラスを伴ったトロピカル色の強い仕上がりになっています。端正なピアノに導かれて始まるバラード
"Non c'è tempo per pensare"
では彼の訴えかけるようなヴォーカルを盛り上げる艶やかなストリングスが印象的です。"Si
scrive Bagnoli" では4人組のロック・バンド Velvet
を従えて勢いのあるロックンロールを聴かせてくれます。"A me mi
piaci così"
は軽快なダンス・チューンでリズミカルなサックスが曲を盛り上げています。アルバム・ラストの2曲はカバー曲で、レゲエの大御所
Bob Marley の "'O sarracino"
では呪術的とも言えるヴォーカルを聴かせ、Elvis Presley の
"Love me"
では甘く囁きかけるような歌声を聴かせてくれます。また、"Love
me"
の後にアカペラで始まるフォークロック調のシークレット・トラックが収録されています。
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Anna Tatangelo /
attimo x attimo (2003) EMI, 5906342. (全12曲)
[CCCD]
2002年のサンレモ音楽祭の新人部門でグランプリを獲った(当時弱冠15歳)期待の若手女性ヴォーカリスト
Anna Tatangelo
の待望のファースト・アルバム。プロデュースとアレンジは Pooh
でもお馴染みの Fio Zanotti
が担当し、叙情的なイタリアン・ポップスの王道的な作品に仕上がっています。オープニングの
"Corri"
からダイナミックなヴォーカルを聴かせ、歌唱力の高さが堪能できます。今年のサンレモ参加曲で
Federico Stragà とのデュエット曲 "Volere volare" は若々しい
Anna の歌声と落ち着きのある Stragà
のヴォーカルとの絡みが絶妙で、しっとりとした曲になっています。Gigi
D'Alessio とのデュエット曲 "Un nuovo bacio"
ではアコースティック・ギターの爪弾きに導かれて哀愁漂うヴォーカルの掛合いを聴くことができます。昨年のサンレモ新人部門の優勝曲
"Doppiamente fragili"
ではスケールの大きなバラードを叙情的に歌い上げています。収録されている各曲のクオリティが高く、楽曲を生かした絶妙なアレンジを施された高水準の作品になっていますが、残念なことに悪名高きCCCD仕様の上に、ジャケットデザインに直接その旨が直接印刷されているという暴挙が行なわれており、このような無粋な仕打ちはどうにかならなかったのでしょうか
EMI Italiana?
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Paolo Vallesi / Best
of (2003) CGD east west, 5050466722324. (全16曲)
中堅カンタウトーレ Paolo Vallesi
の久々のアルバムは3曲の新曲を含む、旧曲の新バージョンを中心としたベスト・アルバムとなっています。オープニングの新曲
"Disegno libero"
は哀愁を感じさせるメロディと彼らしい情熱的な歌い回しが印象的な曲に仕上がっています。しっとりとしたバラード
"Se" ではスケールの大きいヴォーカルを聴かせてくれます。"Un
giorno normale"
は彼には珍しいリズミカルなヴォーカルが印象的な軽快な曲です。旧曲の方はほとんどが新バージョンもしくは新たなミックスが施されており、オリジナルとはかなり印象が異なる仕上がりになっています。"La
forza della vita"
はエレクトリック色の強いアレンジにより、しっとりとしたヴォーカル・ナンバーに変貌しています。"C'è"
は Mara
とのデュエットで、彼女のパートはスペイン語で歌われています。"Grande"
は Alejandro Sanz
とのデュエットで、スペイン語バージョンとなっています。"Veleno"
は Alejandro Sanz の曲(原題は Quiero morir en tu
veleno)で、彼と一緒にイタリア語でデュエットしています。旧曲の新バージョンの方にかつてのような勢いが感じられないのが少し寂しい気もしますが、新曲の出来が結構いいので早く新曲のみによる新作のリリースを期待したいです。
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Umberto Balsamo /
...vorrei aprire il cielo sabato sera a spina di rosa
(2003) L'angelo Azzuro, LA-CD 101. (全11曲)
シチリア出身のベテラン・カンタウトーレ Umberto Balsamo
の約11年振りとなる最新アルバム。リズム・プログラミングを
Aldo Banfi
が担当していて現代的な感覚を持ち込んでいますが、本質的な部分では何ら変わることがないしっとりとした
Balsamo
ワールドが繰り広げられているので長年のファンの方も安心して聴くことができます。1曲目の
"Vorrei aprire il cielo"
から南イタリアの陽光を想わせるような穏やかで包み込むような優しい歌声が堪能できます。"Spina
di rosa" ではフランスの Yves Duteil
とも共通するような南ヨーロッパ独特のかわいらしいフォーク風舞踏曲を披露しています。Aldo
Banfi の紡ぎ出すリズミックなバックに乗せた "Nessun'altra"
でも彼の語りかけるようなヴォーカルは不変で、哀愁を感じさせるメロディが際立っています。軽快なリズムに乗せた
"Ritornelli"
ではまくし立てるような勢いのあるヴォーカルが印象的です。列車の音に導かれて始まるラストの
"E tu ... l'amuri"
は南イタリアの情景が想起されるような穏やかさを伴った曲で、コーラスを生かしたサビでの盛り上がりはまるで'70年代のラブロック・グループのようです。多少現代的な味付けはされているものの、いつもと変わらない叙情的な歌物の力作に仕上がっていると思います。
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