アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Mauro Pagani /
Domani (2003) NUN Entertainment, NUN 0149192.
(全13曲)
元PFMで、Fabrizio De André
などとのコラボレーションでも有名な Mauro Pagani
の純粋なソロ・アルバムとしては実に12年振りとなるニュー・アルバム。これまでの彼のキャリアを俯瞰するような汎地中海的な要素をふんだんに盛り込みながらも、各要素が見事に昇華し溶け合った独自のサウンドを披露しています。今回もヴァイオリンこそ弾いていませんが、フルートやブズーキなど多種の楽器を縦横無尽に操り、相変わらずのマルチ・プレーヤぶりを見せつけてくれます。静謐なピアノの調べで始まるタイトル曲
"Domani"
は深みを感じさせるしゃがれたヴォーカルが魅力的なメロディを紡ぎ出すバラードとなっています。続く
"Per sempre"
は北アフリカをイメージさせるような打楽器によるリズミカルなバックの上をうねるようなコーラスが被さるエスニック色の強い曲です。"Nessuno"
ではアラビアン・モードを用いたブズーキの調べが印象的で、呟くようなヴォーカルを引き立たせています。"Fino
febbraio" では Ligabue との男臭いデュエットを聴かせ、PFM
つながりの Vittorio Cosma
がハモンド・オルガンなどで的確にサポートしています。全体的に派手さはあまりないものの、イタリアという土地柄を反映させた重厚な作品に仕上がっています。初回限定盤はデジパックサイズのスリット・イン・タイプの紙ジャケ仕様で、写真などを含む40ページを越えるブックレット付きとなっています。
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Eros Ramazzotti /
9 (2003) BMG US Latin, 82876 62045-2. (全13曲)
[CCCD]
既にベテランの域に達している人気カンタウトーレ Eros
Ramazzotti
のタイトル通り9枚目となるオリジナル・ニュー・アルバム。今回は夏らしい軽快な曲が多く、彼の持ち味である軽やかさが強調された爽やかなアルバムに仕上がっています。オープニングの
"Un attimo di pace"
は初夏を思わせる乗りのいい曲で、伸びのあるヴォーカルと彼自身の弾くスパニッシュ・ギターが印象的です。ピアノをバックに切々と歌い上げるバラード
"Solo ieri"
では彼の特徴のある声が湿り気の少ない爽やかな風を届けてくれます。ギターの爪弾きが印象的な
"Il buio ha i tuoi occhi"
ではほのかな哀愁を漂わせたヴォーカルが叙情的なメロディを歌い上げています。"Mamarà"
ではトロピカルな感じの軽快なリズムに乗せて、肩の力の抜けた楽しげなヴォーカルを聴かせてくれます。アルバムの最後は憂いのあるメロディが印象的な
"C'è una melodia"
で締めくくっています。私が購入したのはBMGのインターナショナル盤ですが、今回から残念なことに悪名高いコピー・コントロールCD
仕様となってしまいました。
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Dodi Battaglia /
d'assolo (2003) CGD east west, 5050466683922.
(全10曲)
Pooh の不動のギタリスト Dodi Battaglia
の約8年振りとなるセカンド・ソロ・アルバム。今回は全編アコースティック・ギターによるインストゥルメンタルで占められています。粒立ちのいいギターの爪弾きで始まる
"Primavera a New York"
は軽快ななかにもさり気なく高度なギター・テクニックを盛り込んだオープニングにふさわしい曲になっています。"Corazon"
ではボサノバのリズムに乗せて哀愁のあるフレーズを紡ぎだしています。"Treno
per il mare"
はタイトル通り海への列車からの風景を思わせる爽やかなメロディが印象的です。"Nordinfesta"
では PFM の Franco Mussida (g)
がクレジットされており、イタリアを代表するアコースティック・ギターの名手2人の共演を聴くことができます。一つ残念なのは収録時間が35分弱と短いことですが、ほとんどアコースティック・ギターのみのインスト作品なので、私のようにコアなファン以外には多分妥当な線なのでしょう。全体的に音の分離が良く、輪郭がはっきりした録音となっているため、目の前で
Dodi
がギターを弾いているような錯覚さえ感じる出来になっています。
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Francesco Baccini / La
notte non dormo mai Live on Tour 2002 (2003) S4,
510746 2. (全30曲)
Genova 出身の中堅カンタウトーレ Francesco Baccini
の2002年のツアーの模様を収録した2枚組ライブ・アルバム。Disc
1 は Firenze 他でのバンド編成でのライブの模様を、Disc 2 には
Torino
他でのアコースティック編成での模様を収録しています。また、スタジオ収録の新曲が
Disc 1 の冒頭3曲と Disc 2
のラストに1曲の計4曲収録されています。新曲でアルバム・タイトルにもなっている
"La notte non dormo mai"
はギターのコード・カッティングをバックに早口でまくし立てるようなヴォーカルが印象的です。きらびやかなピアノに乗せて始まる
"Amore disordinato"
では切々と訴えかけるようなヴォーカルを聴かせてくれます。"Ginger
e Fred"
は彼の得意とするジャズっぽい感じの曲で、サックスやトロンボーンなどの管楽器やビブラフォーンが雰囲気を作り上げています。続くライブ・パートでは
"Nostra signora degli autogrill" や "Forza francesco!"
といった近作からの曲を中心にまさに彼の代表曲の連発といった構成で、エンターティナーとしての
Baccini
の本領発揮といった感じのシアトリカルなステージが繰り広げられています。本当なら映像作品として発表してもらった方が遙かに楽しい作品に仕上がったのではないかという感じがしないでもないのですが、音だけでも充分ステージの模様が伝わってきます。
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Mietta / per
esempio...per amore (2003) WEA, 5050466412324.
(全11曲)
既に10年以上のキャリアを誇る女性ヴォーカリスト Mietta
のニュー・アルバム。一時はクラブ・ミュージックに傾倒していた彼女ですが、今回は
Mango の実兄の Armando Mango
がほとんどの曲の作詞・作曲、アレンジにプロデュースを手掛けているため、メロディを重視した比較的オーソドックスな作りとなっています。オープニングの
"Abbracciati e vivi"
では機械的で軽快なリズムをバックに伸びやかな中低音を生かしたヴォーカルがソウルフルに歌い上げる曲です。"Disordine
perfetto"
はクラブ・ミュージック寄りのダンス・チューンに仕上がっていますが、ダイナミックなヴォーカルが歌唱力の高さを感じさせます。"La
febbre nel cuore"
ではミステリアスな雰囲気のキーボードに乗せて切なさを感じさせる歌声を聴かせてくれます。アルバムタイトルにもなっている
"Per esempio... per amore"
ではキーボード・オーケストレーションに乗せてスケール感のあるメロディを歌い上げ、表情豊かなヴォーカルを聴くことができます。ブックレットにはチャーミング(ちょっと小悪魔的)な彼女の写真が満載されています。
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