前回から約2ヶ月振りの更新となりましたが、皆さん如何お過ごしでしょうか? 今回は遅ればせながら Pooh, PFM, Angelo Branduardi の新譜を中心にお送りします。
アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数) Pooh
/ Pinocchio (2002) CGD east west, 5050466-0050-2-1.
(全12曲) 2003年2月から Milano
で公演が始まるオリジナル・ミュージカルのサウンド・トラックとしてリリースされた
Pooh
の最新アルバム。サントラということもあり、ストリングスやバックヴォーカルも大々的にフィーチャーされており、通常のアルバムとは一味違ったアレンジが施されています。雄大なストリングスに導かれて始まる1曲目の
"C'era una volta"
はスケールの大きなバラードで、艶やかなストリングスと Dodi
の多彩なギターワークとの絡みが最高です。続く "Gatto &
Volpe SPA"
は普段の彼らでは聴けないようなリズミックな曲に仕上がっています。昨年の
"Best of the best" にも収録されていた "Figli"
は壮大なシンフォ・バラードで、シンプルなピアノによるバッキングを包み込むようなストリングスが切ないほどの美しさを湛えています。先行シングルにもなった
"Il paese dei balocchi" は Pooh
らしいヴォーカル・アンサンブルが楽しめる軽快なナンバーになっています。"Galleggiando"
は彼らには珍しくラテン・フレーバーに溢れた曲で、情熱的なリズムに乗せて4人のヴォーカルが見事なアンサンブルを奏でています。ミュージカルの為に書き下ろされた24曲の中からヴォーカル入りの11曲とオープニングナンバーのインスト・バージョンを収録していることからサントラという制約を感じさせないオリジナル・アルバムとしての完成度を誇る作品となっています。 Premiata Forneria
Marconi (PFM) / Live in Japan
2002 (2002) S4, 505106 2.
(全27曲) 今年5月に26年振りに来日公演を行なった PFM こと Premiata
Forneria Marconi の5月12日の Club Città
川崎での公演の模様を収録したライブ盤2枚組。Disc 1
の冒頭には元 Van Der Graaf Generator の Peter Hammill
が作詞とヴォーカルで参加している "Sea of memory" と Franco
Battiato の "Bandiera bianca"
のカバーが新曲として収録されています。ライブ本編では Franz
Di Cioccio (vo, ds, per), Patrick Djivas (b), Franco Mussida
(g, vo), Flavio Premoli (key, vo)
に加え、'80年代の正規メンバーだった Lucio Fabbri (vln, key,
g) とサポート・ドラマーの Piero Montelisi (ds)
の6人による白熱した演奏がほぼコンプリートで収録されています。選曲もデビューアルバム
"Storia di un minuto" 収録の "La carrozza di Hans"
に始まり、世界進出盤の "Photos of Ghosts" の大部分の曲や
"L'isola di niente" といった初期のアルバムや"Chocolate
kings" "Jet lag"
の中期のアルバムからの曲だけでなく、'80年代の "Suonare
suonare" や最新アルバム "Serendipity"
からの曲まで披露しています。そしてラストは当日2回演奏された
"La luna nuova (Four holes in the ground)"
のアンコール・バージョンで締めくくっています。ライブ本編は映像版のDVD
(PAL)もイタリアでは既にリリースされています。また、国内盤のCD/DVDは2003年2月5日にリリース予定となっています。 Angelo Branduardi /
Futuro Antico III (2002) EMI Classics, 5 57420 2.
(全6曲) 吟遊詩人タイプのベテラン・カンタウトーレ Angelo
Branduardi
が自身のルーツの1つである中世音楽を再現したシリーズの3年振りとなる第3弾。今回は
7人編成の古楽アンサンブル Scintille di Musica
との共演で、リュート奏者でもある Francesca Torelli
が指揮をしています。内容はイタリア北部の都市 Mantova の
Gonzaga 家の宮中音楽を中心とし、有名どころとしては C.
Monteverdi
の曲などを取り上げています。いくつかの小曲を組み合わせて6つの組曲を作り上げているため、インデックスでは31曲が収録されていることになっています。古楽の弦楽器とフルートによる典雅な演奏の上を柔らかい彼のヴォーカルが軽やかに歌う様はある種のファンタジーを感じさせ、非常にノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。素材が限定されているためにオリジナル作品と較べると幾分インパクトは薄いものの、気楽に古楽に触れ合うことのできる優れた作品として評価できます。 Pupo / Lo devo solo a
te (1981) RCA, 74321910482. (全10曲) BMG Ricordi の廉価盤再発シリーズの Gli Indimenticabili
Series からCD化再発された Pupo こと Enzo Ghinazzi
の'81年制作の4枚目のアルバム
(2002年リリース)。他のアーティストに多数楽曲提供をしていることでもよく知られている彼ですが、本作でも共作を含め全曲自身の作品で占められています。オープニングのタイトル曲
"Lo devo solo a te"
からとびきりポップでありながら哀愁を感じさせる独特のヴォーカルを聴かせてくれます。軽快なリズムに乗せた
"Nashville"
はカントリー風の曲で、アメリカンな感じに仕上がっています。"Non
mi arrendevo mai"
は控えめなストリングスをバックに囁くような彼のヴォーカルが哀愁を漂わせている佳曲です。全体的にポップ系カンタウトーレ全盛期の'80年代初頭の勢いを感じさせる弾けるようなポップス作品に仕上がっています。今となってはアレンジを含め多少古くさい感じは否めないものの、楽曲に力があるためにアルバム1枚さらりと聴き通せる飽きの来ない作品だと思います。 Schola Cantorum / Le
tre campane (1975) RCA, 74321952112. (全10曲) BMG Ricordi の廉価盤再発シリーズの Gli Indimenticabili
Series からCD化再発された男女混声ヴォーカル・グループ Schola
Cantorum の'75年制作のアルバム
(2002年リリース)。彼らのオリジナル・アルバムとしては初のCD化となります。アレンジを手掛ける
Sergio Randine
に率いられた10人編成のグループで、この時点のメンバーは
Marina Arcangeli, Alberto Cheli, Edoardo De Angelis, Aldo
Donati, Mimi Gates, Gianna Giovannini, Chico Fusco, Luisella
Mantovani, Annie Robert, Eddy Viola
となっています。オープニングのタイトル曲 "Le tre campane"
からオーケストラをバックに10人による壮大なヴォーカル・アンサンブルが繰り広げられており、ラブ・ロックにも通じる哀愁溢れるコーラスを聴かせてくれます。続く
"Dimmi come fai" では Marina Arcangeli
がソロを執り、キュートな歌声とトレモロ奏法のマンドリンとの絡みが絶妙です。John
Denver の "Annie's song" (緑の風のアニー) のカバー曲
"Caterina"
ではオリジナルに通じる爽やかなコーラスが情感を盛り上げています。全体的に叙情的な曲が多く、歌ものとして魅力溢れる作品に仕上がっています。これを機に他のオリジナル・アルバムもCD化再発されることを望みます。
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