アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Nicola Randone / Morte
di un amore (2002) Nicola Randone, NR001. (全9曲)
新人カンタウトーレ Nicola Randone
のデビュー・アルバム。とは言っても自主レーベルからのリリースです。共作を含め全曲の作曲と作詞を自身で手掛けています。ヴォーカルスタイルは元
Van Der Graaf Generator の Peter Hammill
の若い頃のようなシアトリカルでエキセントリックなタイプで、曲調は初期
Franco Battiato
を想起させるアバンギャルド色を感じさせます。オープニングの
"Visioni" では Mauro Pelosi
を思わせる悲壮感漂うヴォーカルと美しいピアノの調べに絡みつく電子音などの効果音が独特の音空間を演出しています。続く
"Il pentimento di Dio"
では一転してレゲエのリズムに乗せた軽快でありながらシアトリカルなヴォーカルを聴かせてくれます。"Tutte
le mie stelle"
ではまくし立てるようなヴォーカルが印象的で、包み込むようなストリングスのバッキングが曲に彩りを添えています。波の音に導かれる
"Un cieco"
は起伏に富んだメロディを哀愁漂うヴォーカルが盛り上げる曲です。"Strananoia"
ではアップテンポな曲の上を彼のシアトリカルなヴォーカルが水を得た魚のように縦横無尽に駆け回るのが印象的です。ラストのタイトル曲
"Morte di un amore"
は哀感のあるギターに導かれて彼のヴォーカルが炸裂する前半部と心臓の鼓動に導かれ様々な効果音を配した実験的なサウンドコラージュを取り入れた後半部の対比が素晴らしい大作に仕上がっています。。アバンギャルド色が強いために一般受けはしないかも知れませんが、デビュー作としては格段に完成度が高い優れものです。
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Veruska /
Veruska (2002) Stella del Clan, SDC 2002 2.
(全10曲)
新進女性ヴォーカリスト Veruska
の待望のファースト・アルバム。作詞・作曲陣には Gianni Bella
や Mogol
が名を連ね、イタリアらしい叙情的なポップスを聴かせてくれます。1曲目の
"Gli anni"
からギターの爪弾きに乗せて彼女の切なげな歌声が哀愁漂うメロディを表情豊かに歌い上げるのを楽しむことができます。続く
"Free time" では R&B
の影響を感じさせるダンサブルな曲調に彼女のダイナミックなヴォーカルが上手くはまっており、表現の幅の広さを伺わせます。"Un
fatto immenso"
は語りかけるようなヴォーカルが染み入るように心に響く叙情的なバラードになっています。"Non
ci sono più"
では中低音部を生かしたヴォーカルが艶やかな雰囲気を醸しだしており、大人の女性の魅力に溢れた曲に仕上がっています。"L'infinito"
ではゆったりとしたリズムに乗せて囁くようなヴォーカルが気だるい雰囲気を演出しています。"Non
mi arrendo"
はきらびやかな音色のアコースティク・ギターに導かれて始まり、リズミカルで軽やかなヴォーカルを聴かせる佳曲です。ラストの"Prego"
は語りかけるようなヴォーカルとそれに絡みつくコーラスが印象的な重厚なバラードです。Laura
Pausini
に続く世代の正統派女性ヴォーカリストとしては頭一つ抜け出た存在だと思います。
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Nek / LE COSE DA
DIFENDERE (2002) Don't Worry, 092746127 2.
(全11曲)
そろそろ中堅の域に達した人気カンタウトーレ Nek
の2年ぶりのニュー・アルバム。今作でもほとんどの作曲は彼自身が手掛けており、曲によってはアコースティック・ギターやベースも弾いています。1曲目のタイトル曲
"Le cose da difendere"
から内省的なロックサウンドに乗せて彼の男性的なヴォーカルが力強く歌い上げる様が小気味いいです。イタリアではテレビでビデオクリップが頻繁に流れていた
"Sei solo tu" には Laura Pausini
がコーラスで参加しており、人気者2人によるスケール感のあるヴォーカル・コラボレーションを楽しむことができます。"Parliamo
al signolare"
はゆったりとしたリズムに乗せて哀愁のあるメロディを歌い上げる叙情的な曲になっています。"Quando
non ci sei"
は一歩一歩踏みしめるようなリズムの上を彼の力強いヴォーカルが熱唱する格好のいい曲に仕上がっています。ラストの
"Cielo e terra" では Dante Thomas
とのイタリア語と英語によるデュエットによるダイナミックなロック・バラードを聴かせてくれます。同世代の
Gianluca Grignani
などと較べるとより英米指向が強いためにあまりイタリア色はないものの完成度の高い作品に仕上がっています。
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Renoir /
ovunquealmeno (2002) Urlo Music, 3002902.
(全12曲)
新人ロック・バンド Renoir
のデビュー・アルバム。メンバーは Paolo Coppetta Calzavara
(vo & g), Fortunato Cacco (g & cho), Giovanni
Rodighiero (b), Andrea Bertoldo (ds) の4人で、詞は主に Paolo
が担当し、曲はバンドの共作となっています。プロモ・オンリーのシングル曲となった1曲目の
"Risvegli"
からノイジーなギターを中心にした硬質な演奏に乗せたスピード感のあるロック・サウンドを聴かせてくれます。"Insonnia
paranoica"
では重苦しい雰囲気に包まれたヘビィな演奏が印象的なオルタナ系のサウンドを披露しています。重苦しいベースのリフに乗せた
"I tuoi capelli"
では金属質のギターの音色と哀愁漂うヴォーカルとの対比が印象的です。"Le
verità violate"
は歪んだギターに乗せたスピード感のあるロックン・ロールで、勢いのある曲に仕上がっています。タイトル曲の
"Ovunque almeno"
では沈み込むような重厚なギターのリフの上をヴォーカルが呟くように歌うのが印象的です。イタリア色はほとんどないものの勢いのあるロックアルバムとしては結構完成度も高いです。
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Susanna Parigi /
Susanna Parigi (1995) RTI Music, RTI 1079-2.
(全13曲)
個性派カンタウトリーチェ Susanna Parigi
のファースト・アルバム。日本の Avantz Records
から出ていたものと収録曲自体は同じですが、曲順が異なりカバーデザインも違っています。デビュー・アルバムながらほとんどの曲の作詞・作曲を自身で手掛けており、さらにほとんどの曲のアレンジにも名を連ねています。プロデュースは彼女を見いだした元
Il Volo の Vince Tempera とMassimo Luca
が共同で行なっています。そして、その Massimo Luca
がギターで、Vince Tempera
がキーボードで演奏に参加しており、彼女自身もピアノとキーボードを弾いています。初期
Kate Bush
を思わせる演劇的なヴォーカルスタイルはイタリアでは珍しいもので、非常に個性的な魅力を発揮しています。オープニングの
"Se amare è impossibile"
からドラマチックな曲に乗せて表情豊かなシアトリカルなヴォーカルを披露しています。Pat
Metheny の曲にイタリア語詞を付けた "Last train home
(Salomé)"
では囁くような優しいヴォーカルが印象的です。ラストを飾る
"Reverie"
はドビュッシーの曲で、彼女のヴォイス・パフォーマンスが曲を静かに締めくくっています。パッケージはフォールド・オープン・タイプのデジパック仕様になっています。
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