第47号
(29/04/2002)
いよいよGWに突入しましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか。今回はサンレモ音楽祭関連作を中心にライブ盤3種が重なってしまいました。サンレモ関連では次回以降新人部門のアーティストを中心に取り上げていく予定です。
アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Matia Bazar / Messaggi
dal vivo (2002) Bazar Music, BZR 507686-2.
(全17曲)
2000年に再結成された新生 Matia Bazar
の3作目となるニューアルバムは今年のサンレモ音楽祭優勝曲を含む2曲の新曲(スタジオ録音)と2000-2001年のツアーからのライブ音源15曲で構成されています。アルバムのオープニングを飾るサンレモ音楽祭優勝曲
"Messagio d'amore" はいかにも Matia Bazar
といったサビでのダイナミックなヴォーカルが印象的なしっとりした曲に仕上がっており、サンレモで優勝したのが納得できる素晴らしい出来になっています。肝心のライブ音源の方ですが、Silvia
のヴォーカルスタイルが初代の Antonella
に近いこともあり大半の楽曲ではほとんど違和感なく聴くことができるのですが、Laura
時代の曲 "Dedicato a te"
では前任者がしっとりとした大人の女性といったイメージが強かっただけに若干物足りない印象を受けるのも事実です。収録曲で注目を引くのはオリジナル・アルバム未収シングル曲の
"La prima stella della sera" や "Vacanze Romane" "Queste
nostra grande storia d'amore" "E dirsi ciao"
といった過去のサンレモ音楽祭参加曲を網羅していることでしょう。アレンジ面ではサポートのギタリストを採用していないこともあり、旧曲では本来
Carlo Marrale
のギターパートだった所がキーボードなどに置き換えられているなど物足りない部分があったりしますが、"Cavallo
bianco" では Giancarlo Golzi
のドラムソロが聴けるなどライブ盤ならではの演出もあり、充分楽しめる出来になっています。それにしても何時になったら新曲のみで構成されたニューアルバムを聴くことが出来るのでしょうか?
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Michele Zarrillo / Le
occasioni dell'amore (2002) S4, 507650 2.
(全22曲)
中堅カンタウトーレ Michele Zarrillo
のニューアルバムは今年のサンレモ音楽祭参加曲などの3曲のスタジオ録音を含む2枚組のライブアルバムとなっています。オープニングのサンレモ音楽祭参加曲
"Gli angeli"
は印象的なピアノの調べに導かれたしっとりとしたバラードで、哀愁のある歌声が非常にいい感じです。ライブの方は
Lele Anastasi (ds), Roberto Gallinelli (b), David Pieralsi
(g, cho), Roberto Di Virgilio (g), Lorenzo Maffia (p, key,
cho), Anna De Francesco (per, cho)
の6人のメンバーに支えられ、彼自身も得意のギターを弾きまくっています。また、曲によっては6人編成のストリングスが加わり、アレンジの幅を広げています。"Cercandotti"
ではそのストリングス隊が曲を盛り上げ、中間部での彼のアコースティック・ギター・ソロも聴き所となっています。また、叙情的なバラード
"L'elefante e la farfalla"
では彼の手によるピアノの弾き語りと控えめなストリングスとのコラボレーションによるもの悲しい雰囲気が秀逸です。"Una
rosa blu"
はライブならではの8分を越えるアレンジが施されており、彼自身もエンディングでアコースティック・ギターを弾きまくっていてギタリストとしての魅力も堪能できます。さらに、軽快な
"La notte dei pensieri"
ではエレキ・ギター・ソロまで披露しており、かつて Semiramis
のギタリストだったことを思い起こさせます。どの曲もライブならではの長目のアレンジが施されており、演奏面での充実ぶりも聞き逃せません。
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Gianna Nannini / Momo
(Colonna Sonora) (2002) Polydor, 589 600-2.
(全13曲)
Michael Ende (ミヒャエル・エンデ) 原作の「Momo
モモ」がイタリアでアニメーション映画化され、そのサウンドトラックを
Gianna Nannini
が担当しています。作品の性格上、ほとんどの曲は劇伴のインストルメンタルですが、数曲で彼女のヴォーカルを聴くことが出来ます。オープニングの
"Intro" は "Momo intro" と "Aria Carillon"
の2部構成になっており、続くヴォーカル曲 "Epica"
では彼女のドスの利いた歌声が重たいリズムの上を響き渡り、ロック色の強い仕上がりになっています。"Aria
preludio" では Gabriele Mirabassi
によるバスクラリネットがとても印象的なメロディを奏でています。一転して
"Uomini grigi"
ではヘビィメタルを思わせる金属質の演奏で、緊迫感のある場面を盛り上げているようです。"Meravigliosa
creatura" ではラジオからかすかに流れる彼女の "Bomboloni"
がフィーチャーされています。続く "Sultana"
では深いリバーブのかかったシタールの音色が印象的です。シングル発売されたスケールの大きいヴォーカル曲
"Aria" ではあの Jeff Beck
がゲスト参加しており、魅力的なギター・ソロを聴かせてくれます。"Romantica
guerriera"
ではリバーブのかかったハープによるイントロと金属質の演奏に乗せた絞り出すような彼女のヴォーカルとの対比が印象に残ります。本来ならば映像を伴って完成とされる作品なので、できれば劇場またはDVDなどで見る方がベストだと思いますが、Gianna
Nannini の多才さを確認できる作品にはなっています。
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Francesco De Gregori /
fuoco amico (live 2001) (2002) Serraglio Edizioni
Musicali, SER 505035 2. (全13曲)
ローマ派カンタウトーレのベテラン Francesco De Gregori
の新作は前作 "Amore nel pomeriggio"
を引っさげたツアー音源を基にしたライブアルバムとなっています。バンドメンバーは
Greg Cohen (contrabass), Alessandro Svampa (ds), Paolo
Giovenchi (g), Toto Torquati (org), Alessandro Arianti
(key), Guido Guglielminetti (g, b), Marco Rosini (mandolin)
の7人からなり、彼自身もギターを弾いています。観客の歓声から始まるオープニングの軽快なナンバー
"Bambini venite parvulos"
から客席と一体となった盛り上がりを見せ、彼の人気の程が伺い知れます。前作からは
"Spad VII S2489" と "Condannato a morte"
の2曲しか選曲されていないものの、彼の主だった代表曲が万遍なく取り上げられているので全13曲と曲数こそ少ないもののベスト選曲と言えましょう。また、基本的には地味な印象のある彼の楽曲がライブならではのダイナミックなアレンジが施され、特に
Toto Torquati
の奏でるハモンド・オルガンが唸りを上げるなど迫力のある演奏が彼のヴォーカルを盛り上げており、メリハリのある展開を見せています。ラストを飾る
"L'attentato a Togliatti"
は作者不詳の伝承曲で、3拍子の楽しげなリズムに乗せたのどかなヴォーカルが印象的です。ちなみにパッケージはデジパック仕様となっていますが、前作同様ブックレットなどは付いていません。
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Mario Castelnuovo /
Mario Castelnuovo (1984) RCA, 74321894462.
(全9曲)
BMG Ricordi の廉価盤再発シリーズの Gli Indimenticabili
Series からCD化再発された中堅カンタウトーレ Mario
Castelnuovo
の1984年発売のセカンド・アルバム(2001年リリース)。1曲目の
"Buona stella" はフランスの Yves Duteil
を想わせる彼の語りかけるような歌声と女性ヴォーカルとの対比が印象的なほのぼのとした小曲です。"Amore
impossibile"
ではオーケストラをバックにシンフォニックなアレンジで聴かせ、力強さが感じられる曲になっています。"Fiore
di mezzanotte"
は地味ながらも彼の囁きかけるようなヴォーカルと女声コーラスが物悲しい雰囲気を漂わせている佳曲です。"Lo
schiaffo del soldato"
は静かな導入部から一気にサビに向かって盛りあがる彼にしてはメリハリのはっきりした展開を持つ曲です。"...Nina...Nina..."
はストリングスと女性コーラスによる間奏曲で、続く "Nina"
のイントロの役割を果たしています。その、"Nina"
はきらびやかなギターの爪弾きに導かれた叙情的な中にも力強さを合わせた彼の本領が発揮された美しい楽曲に仕上がっています。"Halley"
ではキーボード主体のミステリアスなアレンジの上を囁くような彼のヴォーカルが乗り、女性コーラスと効果的に配するなど工夫が感じられます。"L'uragano
e la rondine"
はかすかにトラッドの香りが感じられる印象的なフレーズが繰り返される特徴のある曲で、中間部のヴィブラフォーンも曲にアクセントを付けています。アルバムラストは
Mogol-Battisti の "Vento nel vento"
のカバーで、ストリングスによる中間部からの盛り上がりが彼らしさを演出しています。当時では普通のこととはいえ収録時間が約30分と短いのが唯一の欠点と言えましょう。
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