Musicadentro

第42号 (18/11/2001)

日増しに寒くなってきていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。今回の目玉は元 New Trolls の Vittorio De Scalzi の "Concerto Grosso live" です。当初は入手困難との話があったのですが、日本では結構色々なショップに入荷しているようなので紹介することにしました。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

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Vittorio De Scalzi la storia dei New Trolls / Concerto Grosso live (2001) LA STAMPA (全13曲)

New Trolls のリーダー Vittorio De Scalzi (vo, key, g, fl) 率いる la storia dei New Trolls が2000年11月9日に Cuneo で行なったオーケストラとの共演コンサートの模様を収録した実況録音盤。メンバーは'90年代の New Trolls のドラマーで元 Latte e Miele の Alfio Vitanza (vo, ds) の他、Andrea Maddalone (vo, g), Mauro Sposito (vo, g), Roberto Tiranti (vo, b) といった若手に加え、'70年代初期のキーボーダー Maurizio Salvi (key) がトリノ・フィルハーモニー・オーケストラの指揮をしています。オーケストラとのコラボレーションで有名な "Concerto Grosso n. 1 & 2" を全曲再現しているほか、ライブでは珍しい "In St. Peter's day" (Searching for a land 収録) や Queen ばりのコーラスを披露する "Le roi soleil", 定番の名曲 "Una miniera" "Signore, io sono Irish" といった曲を演奏しています。さらにラストには新曲の "Wings" まで収録しており、今後の活動に期待を持たせる充実の作品となっています。このアルバム、新聞社 LA STAMPA が読者向けに限定販売した物で、一般の音楽流通に乗らなかったために当初は入手困難だったのですが、現在では輸入盤店に結構入ってきているようです。

Ricordatevi

Valeria Rossi / ricordatevi dei fiori (2001) Ariola, 74321894512. (全12曲)

期待の新人女性ヴォーカリスト Valeria Rossi の待望のファーストアルバム。大部分の曲で彼女自身が作詞または作曲で参加しており、詞曲共に自身のペンによる曲も数曲あるのでカンタウトリーチェといった方がいいかも知れません。語尾を引きずるような特徴のある歌い回しとキュートな歌声が印象的で、アイドル・ポップとしてのツボをきちんと押さえた上に完成度の高さが光ります。セカンド・シングルとなったイントロなしで始まる "Tutto fa l'amore" では、軽快なリズムに乗せて話しかけるようなキュートで少しセクシーなヴォーカルが印象的です。"Tre parole" は今夏イタリアのヒットチャートを独走していた彼女のデビュー・シングルで、キュートなヴォーカルが全開した彼女の魅力が凝縮された佳曲です。ラストの "Denso" は名目上11分弱の曲ですが、冒頭1分半ほどのヴォーカリゼーションの後延々と沈黙が続き、その後に再びヴォーカリゼーションが浮かび上がって終焉を迎える実験色のある試みがなされています。バラード系の曲がないのが少し残念ではありますが、勢いのあるアーティストなので次回作での更なる飛躍を期待したいです。

Arlecchino

Pino Mango / Arlecchino (1979) Dischi Numero Uno, 74321860132. (全10曲)

Mango こと Giuseppe Mango が愛称の Pino Mango 名義で1979年に発表したセカンドアルバムのCD化再発盤(2001年リリース)。作曲は全て彼自身で、作詞は実兄の Armando Margo が手掛けています。独特のファルセットを生かした柔らかい歌声に特徴があり、イタリアらしい叙情を感じることができるフォーク・ロックに仕上がっています。1曲目の "L'acquazzone" から軽快なリズムに乗せて軽やかな歌声を聴かせています。タイトル曲の "Arlecchino" はコーラスが美しい叙情的な曲で、彼の語りかけるようなヴォーカルがタイトな演奏と相まって染みいるような哀愁を感じさせます。"Un Tocco di sogno" はアレンジを含めてユーモラスな雰囲気の曲に仕上がっており、アルバム全体中でのアクセント的な曲になっています。"Verde mare verde mente" はリズムが変わっている曲で、その上をファルセットを多用した彼のヴォーカルが乗ると独特の雰囲気が漂います。"Strada del sud" は典型的なフォーク・ロック調の曲で、Luca Barbarossa と共通するものが感じられます。このアルバム、何故か彼のオフィシャル・ホームページのディスコグラフィから漏れている作品だったりします。

Galileo

Galileo / Galileo (2001) Cosmonote, cms 01/5010 cd. (全10曲)

'90年代初頭から活動していたロック・バンド Rockgalileo が Galileo と改名してから2枚目、フルアルバムとしては1枚目となる通算7枚目(ミニアルバムを含む)の最新アルバム。メンバーはSaverio Lanza (g, vo), Alfredo Cappelli (b), Gian Marco Colzi (ds) の3人編成で、全作詞作曲は Saverio が手掛けています。オープニングの "1+1" は深淵から沸き上がってくるようなギターに乗せて、Saverio の気怠さを含んだヴォーカルが歌い上げる重厚感のある曲です。続く "Siamo noi" では一転して攻撃的なギターと畳み掛けるようなリズムセクションが一体となったハード・ロック色の強い曲を披露しています。"Déja vu" は呟くようなヴォーカルを低音部を生かしたバッキングがサポートする渋めの曲です。有名な映画俳優をタイトルにした "Robert De Niro" では破壊的なエネルギーに満ちたノイジーなロック・アンサンブルを聴かせてくれます。"E penserò anche a te" はスピード感のある幾分ポップな曲で、切れのある演奏がバンドの勢いを感じさせてくれます。ラストの "Nelle onde" は9分近い大作で、気合いの入った演奏を聴くことができます。イタリア色はあまりありませんが、単なる英米もののフォロワーに終わっていない個性を感じさせる所に好感が持てます。

Ferradini

Marco Ferradini / Marco Ferradini (1986) Spaghetti, 74321746452. (全8曲)

ベテラン・カンタウトーレ Marco Ferradini の'86年制作の7thアルバムのCD化再発盤(2000年リリース)。本作でも全曲共作を含め彼自身が作詞・作曲しています。1曲目の "Strada di fuoco" から高音部を生かした彼のヴォーカルが冴え渡る、軽快なフォーク・ロックを聴かせてくれます。"Piove piove" は叙情的な導入部から始まり、情感溢れる曲をファルセットを多用したヴォーカルが盛り上げています。"Paese che vai" ではカリビアンなリズムに乗せて南国情緒溢れる楽しげな曲を披露しています。続く "Mario" は一転してブルース色の強い曲で、ヴォーカルスタイルの多様性を楽しむことができます。"Forse non lo sai" では語りかけるような導入部から一転して、サビではファルセットを多用して一気に盛り上がる典型的な彼のヴォーカル・スタイルを聴くことができます。ラストの "Cronache di viaggi" は切々と訴えかけるようなヴォーカルが印象的な曲で、盛り上がりのある情感豊かなエンディングを聴かせてくれます。きらびやかなキーボードの音色が時代を感じさせますが、そういった'80年代のテイストをいい意味で消化した作品になっています。

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