第36号
(29/04/2001)
移設後初めての更新となりましたが、皆さん如何お過ごしでしょうか。前作が国内盤発売された
Matia
Bazarですが、秋には来日の噂もあるようです。今年はせっかく日本におけるイタリア年なのですから、ポピュラー系アーティストの来日公演を1組でもいいから実現して欲しいものです。
アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Matia Bazar / Dolce
Canto (2001) BAZAR MUSIC, COL 501929 2. (全11曲)
新生 Matia Bazar
の第2弾となる今年のサンレモ音楽祭参加曲を含むニューアルバム。今回も前作同様、新曲が8曲に旧曲のリメイクが3曲という構成になっています。再始動直後だったためか準備不足の感が否めなかった前作に比べるとバンドとしての一体感が出てきています。オープニングの
"Questa nostra grande storia d'amore"
はサンレモ音楽祭で3位に入賞した曲で、Piero Cassano
の得意な初期タイプのユーロポップス調の曲で、Silvia
の力強く歌い上げるヴォーカルと時折聴ける Fabio
のエレクトリック・バイオリンのフレーズが印象的です。ピアノに乗せて囁きかけるようなヴォーカルに導かれて始まる
"Via da me"
では叙情的なヴォーカルラインと中間部の軽快なキーボードソロの対比が特徴的です。リズミカルなピアノに導かれる
"Cambiera'" ではストリングスのサポートを受け、 Silvia
のダイナミックなヴォーカルを堪能できます。旧曲のリメイクの方はヴォーカルスタイルが初代の
Antonella
に酷似しており、オリジナリティという意味では多少問題はありますが、現代的なアレンジが施されており、充分楽しめる出来に仕上がっています。しかしながら、最も印象に残るのが旧曲のリメイクというのもどうかと思うので、そろそろ新曲のみのアルバムを制作してもいいのではないでしょうか。
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Gianni Bella / Il
profumo del mare (2001) Stella del Clan Celentano,
SDC 20012. (全11曲)
実妹 Marcella Bella
などへの楽曲提供で知られるベテランカンタウトーレ Gianni
Bella
の今年のサンレモ音楽祭参加曲を含むニューアルバム。サンレモ音楽では12位と振るわなかった彼ですが、本作は大部分の曲が作詞
Mogol, 作曲 Gianni Bella
のゴールデンコンビによるもので、曲の水準は保証付きです。オープニングの
"Un airone"
から彼の少ししゃがれた声が生かされたミドルテンポの情感溢れる曲を聴くことができます。続くサンレモ参加曲
"Il profumo del mare"
はピアノのアルペジオに乗せてしみじみ歌い上げる曲で、派手さはないもののしっとりした叙情を感じることが出来ます。"Giurai
prudenza"
はボサノバ調の曲で、リズムを紡ぎ出すギターとパーカッションの間を彼のヴォーカルが心地よく漂っています。"Una
rosa sull'acqua"
はアップテンポでリズミカルな曲で、アルバムの流れの中で1つのアクセントになっています。"Paso
doble" はラテンのリズムが強調された曲で、Fio Zanotti
の弾くアコーディオンと彼のヴォーカルの絡みが印象的です。全体として彼のメロディメーカーとしての魅力が十分発揮された作品に仕上がっており、どの曲も彼の特徴であるうっすらとした叙情を感じることができます。
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Rovescio della
Medaglia (RDM) / Vitae (2000) VM 2000 Records, CD
069. (全9曲)
'70年代に活躍したハードロック〜プログレッシブロックバンド
RDM の再結成アルバム。とは言っても1993年に発売された "Il
Ritorno"
をタイトルとジャケットを差し替えて1曲削って再発した物のようです。オリジナルメンバーで参加しているのは
Enzo Vita (g) のみで、その他に Eric Daniels (sax), Piero
Mariani (ds), Stefano Galante (key), Salvatore Flauto (vo),
Eugene Rutherford (b)
の6人編成で、その他ゲストで3人ほどコーラスで参加しています。音の方は以前のものとは多少異なり、割とストレートなロックになっています。1曲目の
"Randy"
からハードロック色のあるギターが全開で、コンパクトながら小気味いい曲に仕上がっています。"Bella
come il peccato" では Bryan Adams
を彷彿とさせるロック・バラードを聴かせてくれます。"Un amore
di colore"
はドライブ感のあるロックン・ロールで、中間部のサックス・ソロが曲にアクセントを付けています。全体的にアメリカン・ロックを思わせる曲調が多いのですが、メロディにはイタリア色が垣間見られ、ヴォーカルもかなりしっかりしているので結構楽しめる出来になっています。ただ、何故プログレ専門レーベルの
VM 2000
から再発されたのかは理解ができない内容だったりします。
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Alberto Fortis /
Angeldom (2001) SELF Distribuzione, AD 01/505 CD.
(全15曲)
'70年代末から活動を続ける中堅カンタウトーレ Alberto
Fortis の約7年ぶりとなるニューアルバム。デビューアルバムでは
PFM
のバックアップを受けて結構話題になったりしましたが、その後はわりと地味に活動しているようです。本作は全曲彼自身の作詞・作曲で、演奏の方もピアノ、ギター、ドラム、キーボードからオーケストラアレンジに至るまで幅広くこなしています。彼の場合はその声と歌い回しに特徴があり、ファルセットを多用したヴォーカルスタイルはフランスのシンガーソングライター
Jean-Jacques Goldman (元 Tai Phong)
との共通点があります。1曲目の "Sitar"
から特徴的なヴォーカルスタイルが全開で、多少実験的なエレクトロニクス音を含んだアレンジと相まって勢いのあるオープニングナンバーになっています。"Cercherò
di te" では語りかけるような叙情的なヴォーカルを聴かせ、続く
"I feel fine"
は一転してスピード感のあるロックナンバーを披露しています。また、アルバム終盤は短い間奏曲を間に挟みながら曲を繋いでいくなどの構成上の工夫も見られます。アルバムラストにはクレジットにはないものの4曲目の
"Un prato a rovescio"
の別ヴァージョンが収録されています。
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Ennio Morricone /
Cinema Concerto - A Santa Cecilia (1999) Sony
Classical, SK 89054. (全21曲)
イタリア映画音楽界の巨匠 Ennio Morricone
が自ら指揮を担当した1998年11月の Santa Cecilia
でのコンサートの模様を収録した実況録音盤。演奏は地元の Santa
Cecilia
国立音楽院のオーケストラとコーラス隊が担っています。タイトルからも分かる通り、彼の手掛けた映画音楽の代表的なものを取り上げており、入門編としても最適です。オープニングの
"Uccellacci uccellini" では何と Angelo Branduardi
がヴォーカルを取っています。また、彼は "Ricordare"
でも歌っています。日本では馴染みのない曲も多いのですが、"Tema
del cinema" や "Tema d'amore"
といった「ニュー・シネマ・パラダイス」からの曲や、"Il buono,
il brutto, il cattivo" "C'era una volta il west"
といった「マカロニ・ウェスタン・シリーズ」の曲なども収録されています。前出の
"Il buono, il brutto, il cattivo" "C'era una volta il west"
及び "Giù la testa" ではソプラノヴォイスで Gemma
Bertagnolli
が参加しており、美声を聴かせてくれます。また、"La ballata di
sacco e vanzetti" "A brisa do coracao" ではポルトガルの歌姫
Dulce Pontes が哀愁のある歌声を披露しています。Ennio
Morricone
ならではの豪華共演陣との見事なコンサートの模様が充分に楽しめます。
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