Musicadentro

第34号 (25/02/2001)

イタリアとは関係ない話題ですが、先日 Al Stewart (Scotland) の約5年ぶりのニューアルバム "Down in the cellar" がリリースされました。ここ数作はマイナーレーベルのMESAからのリリースだったのですが、本作では英EMIに復帰しています。イタリアを含めベテランががんばっているのは実に頼もしいものです。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

Liberi

Nomadi / Liberi di volare (2000) CGD east west, 857384543-2. (全10曲)

現存する最古参バンドの一つ Nomadi の1年ぶりとなる最新アルバム。30年以上のキャリアを誇る彼らですが、初期メンバーで残っているのはキーボードの Beppe Carletti のみとなっています。新しい血を取り入れながら確固たる Nomadi サウンドを作り上げている所はさすがです。オープニングの "Stop the world" では Augusto Daolio 亡き後メインヴォーカルを任された Danilo Sacco (vo, g) が力強いヴォーカルを聴かせ、厚めの演奏を伴ってとても格好いい仕上がりになっています。"La vita che seduce" では前々作から加入した Massimo Vecchi (b, vo) がリードヴォーカルを取り、Danilo とはまた違った魅力を見せています。"Certo che puoi" でも Massimo の高音に伸びのあるヴォーカルが生かされており、2人のヴォーカリストを曲によってうまく使い分けています。"Stella d'oriente" ではエスニック色のあるコーラスを迎え、前作から参加した Sergio Reggioli のバイオリンが活躍する叙情的な曲に仕上がっています。"La rosa del deserto" ではバイオリンとキーボードの絡みが曲を盛り上げ、Danilo の切々としたヴォーカルを引き立てています。ラストの "Salve sono la giustizia" ではここ数作でも聴かれた地中海トラッド色の強い曲で、ケルト音楽との共通点も伺えます。'90年以降の最高傑作といって間違いない作品になっており、全てのイタリアンポップス・ファンにお勧めです。

Donne

Stadio / donne & colori (2000) EMI, 7243 5 28846 2 9. (全11曲)

'80年代から活動を続けるベテランバンド Stadio の最新アルバム。本作ではカバーワークにアラビア文字があしらわれていることからも分かるように適度なエスニック色がちりばめられています。1曲目の "In paradiso con te" ではイスラム色のある女性コーラス (Amal Murkus) が大々的にフィーチャーされ、Gaetano Curreri (vo, key) のしゃがれ声のヴォーカルとの対比が印象的です。"Sei tu che mi accendi" はこれまで通りの軽快なポップロック路線の曲で、安定した演奏を伴ってセンスの良さが感じられます。"Senza amore" ではギターによるシンプルなバッキングに乗せて低音を生かしたヴォーカルが訴えかけるように歌いかけてきます。"Sono la somma" は早口のヴォーカルが独特のリズムを生み出し、不思議な雰囲気を醸し出しています。"Te lo ricordi" では以前紹介した Mariadele との息のあったデュエットを聴くことができます。そして、ラストの "Doma il mare il mare doma" では得意のアップテンポなポップナンバーでアルバムを締めくくっています。完全なオリジナルアルバムとしては久しぶりの作品ですが、相変わらず元気なところを見せてくれています。

Basta

Paola Turci / mi basta il paradiso (2000) wea, 8573828712. (全11曲)

既に10年以上のキャリアを誇る女性ヴォーカリスト Paola Turci の最新アルバム。オリジナル曲は約半分で残りは英米のカバー曲になっています。1曲目の "Questione di sguardi" はアメリカの女性シンガーソングライター風のサウンド(たぶんカバー曲)で、勢いのあるヴォーカルを聴くことができます。続く "Fai che ci sei" では落ち着きのある歌声でミドルテンポの曲を歌い上げています。"Sabbia bagnata" は Paola と Carmen Consoli との共作で、作風に共通点があるためか彼女の声質に非常にマッチしています。"Non è così che si fa" は訴えかけるようなヴォーカルが印象的なバラードで、サビの部分の盛り上がりが感動的です。"Mi basta e avanza il paradiso" はカバー曲で、軽快なロック調のリズムに Paola のヴォーカルがうまくマッチしています。ラストの "Non dirmi tutto" では詞・曲共に彼女自身が担当しており、得意のフォークロック色のあるサウンドを披露しています。全体的にイタリア色は薄いものの落ち着きのある女性ヴォーカルものとしては高水準の作品に仕上がっています。

Ust

Üstmamò / UST (1996) Virgin, 8 41366 2. (全10曲)

女性ヴォーカル Mara Redeghieri を擁する5人組バンド Üstmamò の'96年作。メンバーは前出の Mara (vo) と Luca Alfonso Rossi (b), Ezio Bonicelli (vln, g), Simone Filippi (g), Marco Barberis (ds) となっています。基本的にはクラブ系のサウンドですが、独特の美意識に裏打ちされた漂うようなサウンドは非常に魅力的です。エフェクトのかかったギターの響きに導かれて始まるオープニングの "Cuore/amore" から浮遊感のある演奏に乗せて Mara のキュートなヴォーカルが冴え渡っています。"Memobox" ではHIP/HOPの要素も取り入れ、おしゃれなクラブ系サウンドに仕上がっています。"Canto del vuoto" ではMara の気だるいヴォーカルを大々的にフィーチャーしてアンニュイな雰囲気を醸し出しています。"Indice di borsa" ではベースの Luca がヴォーカルを取っており、Europeiani をフィーチャーしアフリカ色のあるサウンドを展開しています。"Biguldun" はトラッドが基となっており、ギターの Simone がヴォーカルを取っています。曲調はバラエティに富んでいますが、どの曲も彼ら独自のカラーで統一されているのはさすがです。

Replay

Collage / Replay 12 Grandi Successi (1994) Duck Gold, DGCD 100. (全12曲)

'70年代半ばから活動を続けるラブロックグループ Collage の新録によるベストアルバム。オリジナル録音時に比べ演奏技術が向上しているために切れのある演奏が聴かれ、全体的にタイトな印象となっています。全12曲と小振りではありますが、定番の "Sole rosso" "Due ragazzi nel sole" "Donna musica" などの他、前回紹介した2枚組ベストアルバムには収録されていない "Un angelo" "Affari di cuore" "Magari" "L'amore" "La notte era alta" の6曲が収められており、選曲の意外性も含めお買い得感があります。特に "Affari cuore" は Ricordi から移籍後のアルバム "Stelle di carta" からの曲で、これがCD初収録となるので貴重です。また、"La notte era alta" は彼らには珍しくロック色の強い演奏を聴くことができます。ただ、名盤として知られる "Concerto d'amore" からは "La gente parla" 1曲しか取り上げられていないのは惜しいところです。オリジナルアルバムが1枚もCD化されていない彼らですが、いい曲がたくさんあるのでベスト盤でも是非聴いてみてください。

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