Musicadentro

第32号 (27/12/2000)

 いよいよ年の瀬も押し詰まってまいりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。今回はプログレ系バンドの新譜とライブアルバムを中心にお送りします。来年は日本におけるイタリア年なので、ポピュラー系のアーティストの来日公演も期待できるかもしれません。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

Acoustico

Claudio Baglioni / "Acoustico" SOGNO DI UNA NOTTE DI NOTE (2000) Columbia, COL 499911 2. (全36曲)

Baglioni の新譜はかねてから噂にあったように今年の夏に行なわれたアコースティックセットによるツアーの模様を収録した2枚組のライブアルバムとなりました。メドレーを含む全36曲、約150分の模様が収められており、ファンにはうれしいクリスマスプレゼントとなっています。選曲は昨年のアルバム "Viaggiatore sulla coda del tempo" からの曲は4曲と少なく、彼の代表曲を幅広く網羅したベストアルバム的なライブ盤に仕上がっています。聴き所の1つは "Canzoniere del tempo" と名付けられた15分に及ぶメドレーで、"Questo piccolo grande amore" "E tu" "Sabato pomeriggio" "Solo" といった'70年代の代表曲を中心とした8曲が巧みなアレンジによって一気に演奏されています。その他の曲も、アコースティック編成による幾分シンプルなアレンジによって彼の歌がより強調される出来となっており、スケール感はあまりないもののリラックスした雰囲気のライブの模様が伝わってきます。20ページに及ぶ同封のブックレットには各会場の写真が収められており、その雰囲気の一端を垣間見ることができます。初回生産分はフォールドオープンタイプの3面開きのCDケースサイズの紙ジャケ仕様となっています。また、少し遅れて同名のライブビデオ(VHS/PAL方式)が発売されています。

Stagioni

Il Castello di Atlante / ...Come il seguitare delle Stagioni (2000) Electromatic Music, ART402. (全7曲)

'70年代から活動を続けるプログレバンド Il Castello di Atlante のオリジナルとしては3枚目となるニューアルバム。メンバーは前2作と変わらず、Aldo Bergamini (g, vo), Massimo Di Lauro (vln), Paolo Ferrarotti (ds, vo), Dino Fiore (b), Roberto Giordano (Key, p, vo) の5人編成となっています。サウンドの方は典型的なイタリアンシンフォニックロックで、今回は以前に増してバイオリンの比重が高くなっており、それが彼らのオリジナリティの核となっているように感じられます。小品を間に挟みながら10分を越える大曲を3曲含むアルバム構成も堂に入ったもので、演奏水準・録音ともに充実しており彼らの最高傑作と言って間違いないでしょう。艶やかなバイオリン、迫力のあるドラム、曲を壮大に盛り上げるキーボード群とどれをとってもあの'70年代の熱いシーンを想起させるに十分な出来となっており、近年のシンフォニックロックに不満のある方でも充分満足のできる作品に仕上がっています。CDケースサイズの紙製ダブルジャケット仕様となっています。

Murales

Arti & Mestieri / murales (2000) Electromatic Music, ART401. (全15曲)

'70年代を代表するシンフォニックジャズロックバンド Arti & Mestieri がオリジナルメンバーで再結成されてニューアルバムをリリースしました。編成は Furio Chirico (ds), Beppe Crovella (p, key), Gigi Venegoni (g), Marco Gallesi (b) のオリジナルメンバーに Marco Cimino (key) を加えた5人編成で、ゲストでバイオリンの Corrado Trabuio が参加しています。さすがに以前のような異常なほどのスピード感とテンションは感じられませんが、高度な演奏技術に支えられた緻密なアレンジによるメロディアスかつテクニカルなサウンドは健在です。Crovella の持つシンフォニック色と Venegoni のエスノ・ジャズ色が見事に溶け合い、初期の2枚のアルバムに見られたようなオリジナリティが復活しています。全編インストながら全く飽きさせることなく一気にアルバム1枚通して聴かせる力量は見事としか言いようがありません。アルバムラストにファーストアルバムの1曲目の "Gravità 9.81" のニューバージョンが収録されています。CDケースサイズの紙製ダブルジャケット仕様となっています。

Stilelibero

Eros Ramazzotti / STILELIBERO (2000) BMG Nederland, 74321 792232. (全12曲)

今やイタリアを代表するスーパースターに成長した中堅カンタウトーレ Eros Ramazzotti の最新オリジナルアルバム。彼の場合、それまでのカンタウトーレにはなかった軽やかさと、イタリア的というよりもヨーロッパ的なしなやかなメロディに特徴ありますが、今回もそれがよく出ている仕上がりとなっています。また、彼の声は非常に特徴があり、他人の曲を歌うとかなり違和感があったりしますが、自作曲ではそれが非常に強いオリジナリティとなっています。全曲共作を含め彼自身が作詞・作曲しており、数曲で Maurizio Fabrizio が作曲で参加しています。1曲目の "L'ombra del gigante" からアップテンポで軽快な歌声と艶やかなストリングスが印象的です。"Più che puoi" では Cher とのデュエットを披露していますが、2人の声質がうまくマッチしており、叙情的な曲が一層盛り上がっています。全体的にストリングスを大幅に導入したとても華やかなアレンジが施され、非常にゴージャスな1枚となっています。"Fuoco nel fuoco" "Più che puoi" " Per me per sempre" のビデオクリップを含むCD-ROMトラックを収録したエンハンスドCD仕様。

Mobile

Stadio / STADIO MOBILE LIVE (1993) EMI Italiana, 7243 82 7204 2 3. (全15曲)

Lucio Dalla のバックバンドからそのキャリアをスタートさせた Stadio の今のところ唯一のライブアルバム。以前紹介したアルバムがバラード集だったのに対して、このアルバムではアップテンポでロック色の強い曲が含まれているのでかなり印象が異なります。Giovanni Pezzoli (ds), Andrea Fornili (g), Roberto Drovandi (b), Gaetano Curreri (vo, key) の4人のメンバーに加え、キーボードやホーンセクションなど4人のサポートメンバーを従えての演奏が収録されています。彼らの演奏水準は数あるイタリアのバンドの中でもトップクラスに当たるもので、その安定したテクニックに裏打ちされたポップかつメロディアスなサウンドが堪能できます。サウンド的にはそれほどイタリア色を感じさせないものの、Cocciante タイプともいえるしゃがれ声のヴォーカルによってイタリアらしい熱い歌を聴くことができます。メドレーで演奏される "C'è" "Vorrei" "Chi te l'ha detto" などの叙情的な曲でその本領が発揮されていると思いますが、オープニングの "Un disperato bisogno d'amore" や "Acqua e sapone" といったアップテンポの曲での熱唱も捨て難いものがあります。当時の代表曲がずらりと並んでいるので入門編にも最適です。新作もリリースされているのでいずれ紹介したいと思います。

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