Musicadentro

第30号 (22/10/2000)

イタリアから帰ってきて初めての更新となりますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。今回の目玉は何と言っても Pooh の新譜です。PFM の新譜も出来は非常にいいのですが、それ以上に Pooh の作品は素晴らしく、まさにマストアイテムといっていい傑作となっています。これらの作品が国内盤としてリリースされない現状が残念でなりません。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

Cento

Pooh / cento di queste vite (2000) CGD east west, 857384532-2. (全11曲)

前作から1年半というハイペースでリリースされた大御所 Pooh のニューアルバム。今回は前作以上に彼ら特有のヴォーカルアンサンブルのバリエーションと Dody の多彩なギタープレイを堪能できます。ありふれていそうで実は彼らにしかできないオリジナリティ溢れるエバーグリーンな楽曲が連なっており、まさに彼らにとっての2000年代の幕開けにふさわしい傑作に仕上がっています。静かなイントロから一転して畳みかけるように曲が展開していくオープニングの "Un grande amore" ではメンバー全員によるコーラスが曲をリードしていく様が圧巻で、この手の曲としては近年最高の出来となっています。シングルカットされた "Stai con me" はドライブ感溢れるアップテンポの曲で、コーラスの付け方や Dody によるギターのバッキングにセンスの良さを感じます。"Padre a vent'anni" ではRed のフレットレスベースが印象的で曲に独特の彩りを添えており、エンディングでの 華やかな Dody のギターソロで幕を閉じます。"I respiri del mondo" ではメンバーが次々リードをとり、コーラスパートのフォーメーションを変化させていく彼らならではの妙技を堪能できます。Dody によるアコースティックギターが印象的な "Buona fortuna e buon viaggio" もリードヴォーカルの受け渡しに特徴のある曲となっています。ラストを飾る "Puoi sentirmi ancora" は2部構成になっており、ピアノによる導入部に導かれた美しいバラードの第1部と、キーボードオーケストレーションと Dody のギタープレイが絶妙にマッチした第2部との対比が感動的です。

Scherzando

Franco Fasano / Scherzando Scherzando (2000) NIKTO, NIK CD 02. (全11曲)

Franco Fasano の久々のニューアルバムは新曲は4曲(うち1曲は'98年のシングル曲)のみと控えめで、あとはこれまでにリリースされた3枚のオリジナルアルバムなどからの曲が収録されたアンソロジー的な作品となっています。とはいえファーストアルバムから2曲、セカンドから1曲、サードからも2曲と若干少なめですが、その他にも貴重な音源が収録されているので良しとしましょう。タイトル曲の "Scherzando scherzando" は前述のように'98年のシングル曲で、彼のさわやかなヴォーカルが印象的です。"Batti cinque (4/4 di silenzio)" は子供のコーラスグループ "Mariele Ventre" dell' Antoniano di Bologna との共演となっています。また、Ivano Fossati 作の "Mio fratelle che guardi il mondo" は Gatto Panceri とのデュエットで、アルバム "Fatto per un mondo migliore" からの収録とのことですが、このアルバムがどんなものかは私は知りません。アルバムラストはファーストアルバムからの "Da fratello a fratello" のリミックスバージョンですが、これがなぜかクラブ・ミックスとなっており、ダンサブルに生まれ変わった彼の曲に少し違和感を覚えます。どういう意図でこういったリミックスを施したのかは分かりませんが、彼の作風には合わない気がします。早い時期に全曲新曲のアルバムのリリースを期待したいと思います。

Serendipity

Premiata Forneria Marconi (PFM) / serendipity (2000) S4, 498901 2. (全11曲)

イタリアンロックのベテランバンド PFM の再始動後2枚目のオリジナル作となるニューアルバム。今回は 元 Cervello, Nova の Conrrado Rustici をプロデューサーに、 また作詞陣に Daniele Silvestri, Franco Battiato などの豪華メンバーを迎え、気合いの入りようが伺われます。作風は前作 "Ulisse" よりもさらにハードになり、職人芸的な大人のロックに仕上がっています。1曲目の "La rivoluzione" は強力なリズムセクションに乗せて Franz Di Cioccio の力強いヴォーカルが冴え渡るオープニングにふさわしいナンバーです。シングルカットされた "KNA (Kaleidoscope neutronic acceletor)" はエフェクトのかかったヴォーカルとバイオリン音色のキーボードの絡みが印象的です(まるで Mauro Pagani の弾くエレクトリック・バイオリンのようなフレーズ!)。Franco Battiato 作詞の "Nuvole nere" はベンチャーズのようなイントロから一転してシンフォニック色のある力強いヴォーカルナンバーへと展開していくのが興味深いです。"Polvere" では久々に Franco Mussida のアコースティックギターが大々的にフィーチャーされており、派手さはないものの彼の「ギターの父」と呼ばれる妙技が堪能できます。ラストの "Exit" ではプロデューサーの Conrrado Rustici のギターソロを聴くことができます。彼らに'70年代の幻影を追い求めさえしなければ十分満足のいく作品になっていると思います。今回こそは是非とも来日公演を実現して欲しいものです。

Film

Gerardina Trovato / non è un film (1997) Sugar, SGR D 77905. (全11曲)

若手カンタウトリーチェ Gerardina Trovato の完全なオリジナル作としては最新作となる1997年の作品。現在までに数枚アルバムをリリースしていますが、この作品のジャケ写が一番チャーミングなのでこれをピックアップしてみました。全曲彼女自身の作詞で、曲も共作を含め3曲書いています。基本的にはフォークロックスタイルですが、ブルースなどの多種多様の音楽要素を内包しています。オープニングの "Non è un film" からサビの部分で唸るなどの迫力満点の特徴あるヴォーカルスタイルを聴くことができます。"Se fossi un uomo" はブルース色の濃い曲で、ハモンドオルガンと彼女の中低音域を生かしたヴォーカルが非常にマッチしています。"Vivire" では同じ Sugar 所属の Andrea Bocelli とのデュエットを披露しています。ジャケットにもあるようにライブではギターを弾きながら歌うなど、Paola Turci との共通点も見られます。最新作がサンレモ参加曲を含むベスト盤だったので、そろそろ新曲による新譜に期待がかかります。

Squerez

Lùnapop / ...squerez? (1999) San Marino Performance, US 001/CD. (全12曲)

Bologna 出身でメンバー全員が20歳前後という非常に若いバンド Lùnapop のファーストアルバム。発売以来、9月の半ばまでアルバムチャートのトップを独走し続けていたメガヒットアルバムとなっています。このバンド、外見から想像するよりロック色が薄く、かなりポップ色が強い所に意外性があります。1曲目の "Qualcosa di grande" はこの夏にシングルカットされヒットしていて、哀愁のあるヴォーカルとキメやブレイクを含んだ演奏が一体となって曲を盛り上げています。"50 special" はリズムを刻むピアノの上をユニゾンのコーラスを含むヴォーカルが勢いよく絡むビートルズからの影響を感じさせる曲です。"Niente di più" ではピアノの端正なアルペジオに乗せて切々と訴えかけるようなヴォーカルが印象的です。"Zapping" では一転してギターを中心とした畳みかけるようなロック色の強い演奏を聴くことができます。ラストの "Silvia stai dormendo" は5分ほどで一旦終了し、その後3分ほどの無音部分の後にうめき声のようなヴォーカルで再開し、子供の声で幕を閉じるという意表を突く構成になっています。現在、セカンドアルバムの準備に入っていると言うことなので非常に楽しみです。

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