第25号
(14/05/2000)
今回も前回に引き続きサンレモ音楽祭関連作品を中心にお送りします。
アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Gianni Morandi / Come
fa bene l'amore (2000) Mormora Music, 74321742552.
(全11曲)
今年のサンレモ音楽祭入賞曲を含む Gianni Morandi
のニューアルバム。プロデュースは Eros Ramazzotti
が担当しており、作詞作曲でも1曲を除き Ramazzotti
が共作を含み手掛けています。1曲目のサンレモ入賞曲
"Innamorato"
はスケールの大きいバラードで、56歳とは思えないほど若々しい彼のヴォーカルを堪能できます。続く
"Così vanno le cose"
ではアップテンポな曲に乗せて軽やかな歌声を聴かせてくれます。また、"Frasi
d'amore"
はピアノとオーケストラのバッキングが印象的なスローバラードで、彼の歌のうまさを実感できる曲となっています。タイトル曲の
"Come fa bene l'amore"
はリズミカルな演奏に乗せて楽しげなヴォーカルが聴かれ、アルバムの中で一つのアクセントになっています。ラストの
"Non ti dimentichero'"
は女性ヴォーカル(英語)とのデュエットとなっているバラードで、アルバムの最後を締めくくるにふさわしいスケール感のある曲になっています。Morandi
がイタリアで幅広い年齢層に支持されていることが納得できる作品に仕上がっています。
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Marco Masini /
Raccontami di te (2000) Ricordi, 74321743422.
(全11曲)
今年のサンレモ音楽祭参加曲を含む Marco Masini
のニューアルバム。プロデュースは彼自身が手掛けており、ピアノ・キーボードも担当しています。冒頭のタイトル曲
"Raccontami di te"
から独特のしゃがれ声で熱唱しており、ピアノとオーケストラのバックも相まって非常に情熱的なバラードに仕上がっています。ギターのストロークで始まる
"Protagonista"
は中間部から爆発的に盛り上がるヴォーカルが印象的で、イタリア色の強いサウンドが聴かれます。"C'è
qualcosa di piu'"
はしゃがれ声を生かしたムードある曲で、時々聴かれるファルセットも曲にアクセントを付けています。"Ancora
vita è"
はアップテンポな曲で、軽快な中にもかすかな哀愁を感じさせるヴォーカルを聴くことができます。"Se
potessi rinascere"
はピアノに乗せて切々と訴えかけるような歌を聴かせる曲で、ヴォーカルの盛り上がりがとても印象的です。前作がロック色が強く、一部で不評だったのに対して、今作では非常にイタリア色が強く打ち出されており、従来からのファンも納得できる作品になっていると思います。
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Dario Baldan Bembo /
il meglio (1999) MR Music, MRCD 4192. (全15曲)
Dario Baldan Bembo
の最新アルバムは新録によるベストアルバムとなっています。彼の代表曲が概ね収録されているので聴き応えがあります。リリース元が
D.V. More Record
なので一抹の不安もあったのですが、内容はしっかりしています。
1曲目の "Tu cosa fai stasera"
は日本ではどちらかというと国内盤も出た Riccardo Fogli
の歌唱で知られている曲ですが、本人のヴォーカルも独特の味があって楽しめます。Amico
è"
は言わずと知れた彼の代表曲の一つですが、今回は女性ヴォーカルとのデュエットバージョンと女性コーラスとのバージョン(タイトルは
"Falo'")
と2曲収録されています。しっとりとしたピアノに乗せた "Non mi
lasciare" や鳥のさえずりで始まる
"Gabbiani"、イージーリスニンググループに取り上げられた
"Aria" など、定番の曲が続くのがうれしいです。ラストは Renato
Zero との共作の "Più su"
が収録されています。今回は彼の再録物の中でもアレンジが一番しっくりくる出来になっているので非常にお勧めです。
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Delta V /
[psychobeat] (1999) Ricordi, 74321690012.
(全10曲)
前号でも紹介した3人編成のグループ Delta V
の最新アルバム。女性ヴォーカリストが Francesca Touré から
Luana Heredia
に交代しています。前任者がコケティッシュな歌声を聞かせていたのに対して
Luana はどちらかというと落ち着いた声質をしています。1曲の
"Il primo giorno del mondo"
からリズムを利かせながらもメロディアスでロマンティックなイタリア流のクラブポップスを聴くことができます。"Non
sei solo tu"
ではキーボードオーケストレーションに乗せてセクシーさを備えた
Luana のヴォーカルが冴え渡る佳曲です。"Marta ha fatto un
sogno"
はデジタル感覚溢れるアレンジが印象的な曲で、コーラスも効果的に配されています。"Silenzi"
ではゲストヴォーカルの Angela Baraldi のハスキーな歌声と
Luana のヴォーカルとの対比がいい効果を出しています。"La mia
cosa" は Carlo
のヴォーカルによるナンバーで、語りを交えたR&B色の強い曲です。ラストの
"Quanti anni hai?" ではゲストヴォーカルで Garbo
が参加しています。
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Agricantus /
Faiddi (1999) Compagnia Nuove Indye, CNDL11139.
(全10曲)
南イタリアのコンテンポラリー・トラッド・バンド Agricantus
の最新ライブアルバム。Tonj Acquaviva, Mario Crispi, Giuseppe
Panzeca, Mario Rivera, Rosie Wiederkehr
の5人のメンバーにツアーサポートメンバーを加えた布陣で録音されています。オリジナルサウンドトラックからの曲が2曲あり、どちらも元
Picchio dal Pozzo, New Trolls の Aldo De Scalzi
のクレジットがあり、交流があるものと思われます。オープニングの
"Li vuci di l'omini"
から男女のツインヴォーカルによる力強いトラディショナルサウンドを聴くことができます。O.s.t.
からの "Istanbul uyurken"
ではタイトル通りトルコ色のある演奏の上を Rosie
による女性ヴォーカルが乗るエスニック色のあるナンバーです。"Weltweit"
は HIP HOP
の要素を取り入れた曲で、伝統色と現代感覚が融合した珍しい例を聴くことができます。"Hala
hala"
では中東から北アフリカを思わせる雰囲気の曲で、ベースによるリズムパターンに乗る浮遊感のある女性コーラスが印象に残ります。現代的な音楽要素を大幅に取り入れたトラッド系グループとして非常に興味深い音楽性を擁しています。
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