Musicadentro

第137号 (05/05/2015)

早くも初夏のような日々が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 今回はこの春にリリースされた新譜を中心にお送りします。(今回から CD-Textの区別は省略します)

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

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Dodi Battaglia & Tommy Emmanuel / Dov'è andata la musica (2015) In Alto, 95453455-2. (全12曲)

来年の50周年に向けて現在充電中の Pooh の不動のギタリスト Dodi Battaglia の約12年振りとなる最新ソロ・アルバム。今回はオーストラリア出身のアコースティック・ギターの名手 Tommy Emmanuel とのコラボレーション作となっています。アレンジとキーボードは近年の Pooh でもお馴染の Danilo Ballo が担当しています。むせび泣くような Dodi のギターで始まり、テクニカルな Tommy のアコギと交錯していくオープニングの "Mediterranean girl"  などの技巧的なインスト・ナンバー4曲を挟みながら、メンバーのコーラスが入れば Pooh の作品と言ってもいいようなポップな先行シングル曲 "Grazie" などのヴォーカル・ナンバー8曲が収録されています。Dodi らしい人懐こいメロディが印象的な "Io non so amare a metà" や、ギターを弾きまくりながら歌われる軽快な "Tu resti qui"、Tommy のアコギ・ソロを前面に出したインスト曲 "Louis and Clark"、オーディション番組出身の若手ヴォーカリスト Beatrice Ferrantino とのデュエット曲 "Ti lascio andare via" などバリエーションに富んだ楽曲で構成されています。ラストはシンフォニックなアレンジによる叙情的なインスト曲 "Vale" で壮大なエンディングを迎えます。初回盤のパッケージはCDケースサイズでスリット・イン・タイプの3面開き紙製ジャケット仕様になっています。
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Paola Turci / Io sono (2015) Effeppì Sas, 5054196590727. (全15曲)

既にベテランの域に達しているカンタウトリーチェ Paola Turci の約3年振りとなるニュー・アルバム。本作は未発表曲3曲を含む自叙伝な選曲による新録アルバムとなっています。 囁きかけるようにしっとりと歌われるオープニングの "Volo così" を始めとし、どの曲もジャケット・デザインから想起されるようなシンプルでありながら陰影に富んだ精緻なアレンジが施され、作品に統一感を生んでいます。 軽快なフォーク・ロックを聴かせるタイトル曲 "Io sono" や、叙情的なメロディをしっとりと歌い上げる "Questa non è una canzone"、切々と訴えかけるように歌われる "Quante vite viviamo" といった未発表曲の完成度の高さもさることながら、静謐な世界観を感じさせる "Ringrazio dio" や、しっとりとしたアレンジで叙情的な曲に変貌した "Bambini"、カラフルなアレンジから陰影に富んだ哀愁を帯びたフォーク・ロックへと変化を遂げた "Lettera d'amore d'inverno" など旧曲も絶妙のアレンジで生まれ変わっています。全体的に地味な感じは否めませんが、彼女のこれまでの活動の集大成的な作品に仕上がっています。
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Luca Madonia / la monotonia dei giorni (2015) Narciso Records, 4727987. (全10曲)

Mario Venuti も在籍していた Denovo 出身のカンタウトーレ Luca Madonia の約3年振りとなる最新アルバム。ほぼ全曲自身の作詞・作曲で、アコースティック・ギターやエレピなども自分で演奏しています。また、Carmen Consoli がエレキ・ギターやベースなどで全曲に参加しています。リズミカルなアコギに乗せて呟くように歌われるオープニングの "In questa vita" で始まり、くねるような歌い回しが印象的なタイトル曲 "La monotonia dei giorni" への続きます。ゆったりとしたリズムに乗せて爽やかに歌われる "Tu non sei più con me" や、レゲエのリズムに乗せて軽やかに歌われる "L'ultima persona al mondo"、牧歌的な雰囲気を漂わせた "Se mi allontano da te" など彼の穏やかなヴォーカルを生かした楽曲が続きます。また、Carmen Consoli がヴォーカルで彩りを添える "La mia condizione" や 言葉遊びを歌詞に使った "Non è finita"、女優の Donatella Finocchiaro とのデュエット曲 "Mi Solleverai" などアクセントになる楽曲を各所に配するなど単調にならないような工夫が感じられます。ラストは囁きかけるような穏やかなヴォーカルが印象的な "La paura del buio" で締め括っています。
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Erica Boschiero / Caravanbolero (2015) Dasè Sound Lab, DSLCD020. (全11曲)

Veneto 州北部の Pieve di Cadore 出身のフォーク系カンタウトリーチェ Erica Boschiero の最新アルバム。全曲共作を含めて彼女自身が作詞・作曲しており、アコースティック・ギターも自身で演奏しています。 囁きかけるように始まり次第に軽快な歌声を聴かせるオープニングの "Galassia Express" から透明感のあるキュートなヴォーカルを堪能できます。 彼女の出身地の Belluno 方言のトラッドを引用した "Gane, agane, longane" や、フランスの Yves Duteil を思わせる舞踏曲風のフォークを聴かせる "Le cose che non puoi vedere"、リズミカルな演奏をバックにアンニュイなヴォーカルを聴かせる "Il reverendo e la credenza" など一口にフォークと言っても多彩なバリエーションの楽曲が収録されています。 穏やかなヴォーカルで囁きかけるように歌われるタイトル曲の "Caravanbolero" や、軽快なリズムに乗せてシアトリカルに歌いあげる "Sullo spago"、ギターの爪弾きをバックに早口で語りかけるように歌われる "Papavero di ferrovia" などヴォーカル・スタイルも単調にならず好印象です。 初回盤のパッケージはCDケースサイズの見開き紙製ジャケット仕様になっています。

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Matia Bazar / DVD Live 40th Anniversary Celebration (2015) Bazar Music, 4704789. (CD全20曲, DVD本編全24曲) 2DVD+CD

かつては国内盤もリリースされていた人気ポップ・バンド Matia Bazar の結成40周年を記念したライブDVD&CD。3代目歌姫 Silvia Mezzanotte が復帰しての第1作となる "Conseguenza logica" を携えて行われたツアーの模様を収録しています。その他のメンバーはオリジナルの Giancarlo Golzi (ds), Piero Cassano (key, ac-g, vo) に Fabio Perversi (key, vln) を加えた再編後の盤石の体制となっています。DVD1はミーティングやインタビュー映像を随所に挟んだライブ本編を、 DVD2はドキュメンタリー映像やヴィデオ・クリップ等を、CDはライブ本編から収録時間のリミットまで収録しています。 選曲はどの時代の曲も違和感なく歌える Silvia の特性を生かしたオール・タイム・ベスト的なものになっており、日本でも人気のあったエレポップ時代の "Electrochoc 〜 Aristocratica 〜 Il video sono io" のメドレーや "Vacanze Romane"、ダイナミックな初代 Antonella Ruggiero に迫る歌唱を聴かせる "Ti sento"、2代目 Laura Valente 時代の代表曲 "Dedicato a te" など聴き所満載です。また、ツイン・キーボード+ドラムという編成による華やかなアレンジとテクニカルな演奏も彼らの特徴の1つで、 ライブならではの疾走感も味わえます。初回盤のパッケージはCDケースサイズでスリット・イン・タイプの4面開き紙製ジャケット仕様になっています。

 
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