Musicadentro

第136号 (05/04/2015)

気温が乱高下する不安定な日々が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 今回はこの冬から春先にリリースされた新譜を中心にお送りします。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

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Gianni Togni / Il Bar del Mondo (2015) Acquarello, ACQ 0006 (全12曲) CD-Text

ここ数年はミュージカルやプロデュースなど裏方としての活躍が多かったベテラン・カンタウトーレ Gianni Togni の実に8年半振りとなるニュー・アルバム。全曲彼自身の作曲で、詞も大部分が本人の手によるものです。オープニングを飾る "L'arco e la freccia" から艶やかなオーケストラを配し、彼独特の声と歌い回しによるドラマティックなヴォーカルがブランクを感じさせない会心の出来となっています。 リズミカルなヴォーカルが'80年代後半を思わせる "La cosa piu normale" や、囁きかけるように歌われるしっとりとしたバラード "Chi sono io"、絞り出すようなヴォーカルが印象的な "E mentre a Roma piove" など要所にアコースティック楽器を配した Gianni Togni 節全開の楽曲が並びます。ギターの爪弾きに導かれた小品 "Oh grande musica" に挟まれた "Nel '66" は先行シングルとして配信された楽曲で、初期作品を思わせる躍動感溢れるポップな仕上がりとなっています。 クラシカルな演奏をバックに語りかけるように歌われる "La comparsa" や、フォーク・ロック色の強い "Tazza di thè"、艶やかなストリングスをバックに切々と歌いかける序盤から一気に盛り上がる "Il giocatore" などアレンジも多彩です。'80年代終盤の路線をアップデートしたようなリズムを強調しながらもアコースティック色を導入した "Hey vita" やラストの叙情的なバラード "Invisibli ma eroi" を含め、彼の活動を総括するような集大成的な会心作となっています。初回盤のパッケージはデジパック仕様となっています。
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Grazia Di Michele / IL MIO BLU (2015) Amarenta Music, NAR 101152. (全13曲) CD-Text

ほのかにトラッドの香りが漂う作風とアンニュイな歌声で人気のカンタウトリーチェ Grazia Di Michele の今年のサンレモ参加曲を含む約2年振りの最新アルバム。全曲共作を含め彼女自身が作詞・作曲しています。アレンジは前作で共演した Paolo Di Sabatino が担当しています。端正なピアノに導かれて始まるオープニングの "Colori" から彼女の囁きかけるような可憐なヴォーカルを堪能できます。続くジャージーなタイトル曲 "Il mio blu" は前作で共演した Paolo Di Sabatino が曲作りにも参加しています。ジャズ・トリオをバックに軽やかに歌い上げる "Paolo e Francesca" や、サックスが活躍する "Come dondola" など前作に引き続きかつてのトラッド色は後退していますが、陰影のあるメロディをしっとりと歌い上げる "Notturno" やラテン色のある "Rumba indigo" など彼女のアンニュイなヴォーカルを生かした楽曲が続きます。サンレモ参加曲である "Io sono una finestra" は Mauro Coruzzi とのデュエット曲で、明らかにサンレモ向きではないもののムーディーなヴォーカルの対比が楽しめます。Mario Venuti とのデュエット曲の "L'amore è uno sbaglio" でもジャズ色の強い演奏をバックに2人の息の合った掛け合いが堪能できます。 付属のブックレットには各曲をイメージしたイラストがイラストが掲載されています。初回盤のパッケージは3面開きのデジパック仕様となっています。
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La Coscienza di Zeno / La notte anche di giorno (2015) Fading Records, FAD-017. (全10曲) CD-Text

2011年にデビューした Genova 出身の若手シンフォニック・ロック・バンド La Coscienza di Zeno の約1年半振りとなるサード・アルバム。メンバーは Gabriele Guidi Colombi (b), Andrea Orlando (ds, perc), Alessio Calandriello (vo), Stefano Agnini (key, org), Davide Serpico (g), Luca Scherani (p, key) に今回から Domenico Ingenito (vln) が加わった7人編成になっています。本作は6部構成の "Giovane Figlia" と4部構成の "Madre Antica" の20分を超える2つの組曲が収録されています。"Giovane Figlia" は 爽やかなヴォーカルと新加入のバイオリンが活躍する "A ritrosso" で始まり、叙情的なメロディをしっとりと歌い上げる "Il giro del cappio" や 煌びやかなキーボード群を中心にドラマティックに盛り上がる "Libero pensatore" などクラシカルな色彩を湛えた叙情派シンフォニック・ロックを展開しています。一方の "Madre Antica" は妖しげな音色のキーボードを中心に混沌とした演奏を繰り広げる "Il paese ferito" で始まり、リズミカルなヴォーカル・ナンバー "Cavanella" や 畳みかけるキーボード群をバックに力強く歌い上げる "La staffetta"、怒濤の展開を見せる "Come statua di dolore" などヘヴィ・シンフォ色の強い楽曲で構成されています。初回盤のパッケージは3面開きのデジパック仕様となっています。
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Nina Zilli / Frasi & Fumo (2015) Universal Music Italy, 0602547199850. (全14曲) CD-Text

レトロな雰囲気を湛えた作風で人気の 1980年生まれのカンタウトリーチェ Nina Zilli (本名 Maria Chiara Fraschetta) の今年のサンレモ参加曲を含む約3年振りとなるサード・アルバム。大部分の曲は共作を含め彼女自身が作詞・作曲しています。 アンニュイなヴォーカルを聴かせるオープニングの "INTRO (Cirronembi)" からゴージャスな演奏をバックにレトロ感たっぶりの楽曲に仕上がっています。囁きかけるようなヴォーカルが印象的なR&B色のあるタイトル曲 "Frasi & Fumo" や、'60年代を彷彿とさせるムーディーな "Luna spenta"、ブルース色のあるサンレモ参加曲の "Sola" など、中低音域に伸びのある彼女のヴォーカルを生かした楽曲が続きます。ゆったりとしたリズムに乗せて軽やかに歌いあげる "Cadevo piano" や、レゲエのリズムを取り入れトロピカルな雰囲気を湛えた "Lei dice"、軽快なクラリネットを従えた Neffa とのデュエット曲 "Schema libero" など曲のバリエーションも幅広く、'70年代を思わせるゴージャスなアレンジで聴かせる "Se bruciasse la città" やピアノやオルガンがしっとりと盛り上げる "Dicembre" のようにアレンジ面でもレトロ感を演出している楽曲が多いです。ラストは静謐なピアノをバックにしっとりと歌い上げる "Dormi, dormi" で締め括っています。初回盤のパッケージはCDケースサイズの見開き紙製ジャケット仕様になっています。

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Verdena / Endkadenz Vol.1 (2015) BlackOut, 0602547175762. (全12曲) CD-Text

Bergamo 出身のハード・ロック・バンド Verdena の約4年振りとなるニュー・アルバム。メンバーはデビュー以来不動の Alberto Ferrari (vo, g, p, key), Luca Ferrari (ds, key), Roberta Sammarelli (b, key) の3人体制になっています。全曲、作詞は Alberto が、作曲はバンドが担当しており、プロデュースは Alberto が行なっています。地を這うようなヘヴィなリズムをバックにストリングス系のシンセが妖しい雰囲気を醸し出す "Ho una fissa" に始まり、メロトロンが唸りを上げる "Puzzle" など意外にキーボード類が活躍する曲が多いのが特徴の1つです。ざっくりとした演奏で聴かせるロックン・ロール "Un po' esageri" や、重たいリズムをバックにエレポップ風のキーボードが絡む "Sci desertico"、アコースティック・ギターを効果的に配した爽やかなヴォーカル・ナンバー "Nevischio" など曲のバリエーションもあり飽きさせません。重厚なリズムと煌びやかなキーボード群をバックに切々と歌われる "Diluvio" や、ドラマティックな展開を見せる "Vivere di conseguenza"、ブラス・セクションを導入した "Contro la ragione" など、ハード・ロックを逸脱したような曲も散見され、新たなステージへ向かって進んで行く様子が記録されています。ラストはメロトロンが響き渡る叙情的な "Funeralus" で締め括っています。

 
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