Musicadentro

第134号 (30/11/2014)

昼夜の寒暖差の激しい季節になってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 今回はこの秋にかけてリリースされた女性ソロ・アーティストの新譜を中心にお送りします。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

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Alice / Weekend (2014) Arecibo Edizioni Musicali, 019270. (全10曲) CD+DVD

ベテラン女性ヴォーカリスト Alice の約2年振りとなるオリジナル・アルバム。オープニングを飾る "Tante belle cose" は Françoise Hardy の名曲 "Tant de belles choses" のカバーで、アンビエントな響きを湛えたアレンジをバックに中低音域を生かした彼女らしい堂々としたヴォーカルを披露しています。続く "L'umana nostalgia" は Claudio Rocchi のカバーで、しっとりとした歌声を包み込むような夢想的なアレンジが印象的です。Paolo Fresu の情感的なトランペットのオブリガートを伴った "Da lontano" では Luca Carboni との息の合ったデュエットを聴かせてくれます。Franco Battiato が手掛けた "Veleni" では往年のコンビによる王道が復活したかのような'80年代を思わせる Alice 節を、Claudio Rocchi のカバーの "La realtà non esiste" では Battiato とのデュエットを楽しむことができます。エレポップ風のアレンジをバックに重厚なヴォーカルを聴かせる Soerba による "Un po' d'aria" や、セルフカバーとなる "Viali di solitudine" での切々と訴えかけるようなヴォーカル、唯一の自作曲 "Aspettando mezzanotte" など、純粋なオリジナル曲こそ少ないものの聴き所満載のアルバムとなっています。 初回盤のパッケージはデジパック・サイズの三面開き紙製ジャケットとなっています。
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Marian Trapassi / bellavita l'arancia e altri viaggi (2014) Adesiva Discografica, ADIS0016. (全10曲) CD-Text

2002年にアルバム・デビューした Palermo 出身のカンタウトリーチェ Marian Trapassi の約6年半振りの4作目となる最新アルバム。今回もほぼ全曲彼女自身の作詞作曲ですが、ピアノは弾かずにヴォーカルに専念しています。 オープニングのタイトル曲 "Bellavita" では前作までとは異なりアメリカン・ポップスを思わせるファンキーなノリを聴かせてくれます。続く "L'arancia" でもほのかにブルース色を湛えた楽曲を囁きかけるようにしっとりと歌い上げています。シャッフルのリズムに乗せて軽快に歌われる "Giovanni" ではクラリネットによるオブリガートが活躍し、リズムを刻むギターをバックに切々と訴えかけるようなヴォーカルを引き立てるようなサックスが印象的な "Le formiche"、ノスタルジックなメロディに絡みつくクラリネットが郷愁を誘う "My love" など、管楽器を生かしたオールド・アメリカンなアレンジを施された楽曲が続きます。やさぐれ感のあるブルージーな "L'attesa" や、幻想的な Concha Buika のカバー曲 "Por el amor de amar" といったこれまでとは印象の異なる楽曲を多数収録した意欲作となっています。 初回盤のパッケージは三面開きのデジパック仕様となっています。
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Serena Finatti / Serena più che mai (2014) Folkest Dischi, DF96. (全10曲) CD-Text

'90年代後半から Andrea Varnier (g) とのユニット Deja として活動していた Serena Finatti のカンタウトリーチェとしてのファースト・ソロ・アルバム。ほぼ全曲彼女自身の作詞作曲で一部楽曲では自身でピアノも弾いています。 ファルセット生かしたオープニングの "Incantata dal cielo" では包み込むようなストリングスをバックに浮遊感のあるヴォーカルを堪能できます。Deja 時代から得意とする一人多重コーラスを多用した "Homeless" では、主旋律をゲストの Matt Epp に任せて多彩なコーラスを披露しています。可憐な歌声でドラマティックに歌われる "La camera dei strafonici" や、艶やかなストリングスをバックに囁きかけるようなヴォーカルが印象的な "La ballerina azzurra"、大道芸的な展開が楽しい "Le cirque des animaux" など、ヴォーカル・スタイルも多彩で飽きさせません。リズム・パートを含めた一人多重コーラスが楽しめるタイトル曲の "Serena più che mai" や、幻想的なアレンジをバックに舞いように歌われる "Sospesi qui"、Susanna Parigi を思わせるピアノの弾き語りの "Divenire" など様々な工夫の施された楽曲も多く、各曲の完成度も非常に高いです。ラストは艶やかなストリングスをバックにシアトリカルに歌われる "Bês di Diu" で締め括っています。初回盤のパッケージはデジパック仕様となっています。
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Chiara / Un giorno di sole (2014) RCA, 8875009932. (全11曲) CD-Text

人気オーディション番組 X Factor 出身で1986年 Padova 生まれの若手女性ヴォーカリスト Chiara こと Chiara Galiazzo の約1年半振りとなるセカンド・アルバム。オープニングを飾るタイトル曲 "Un giorno di sole" から Laura Pausini にも通じる中音域に伸びのある確かな歌唱力によるドラマティックな正統派イタリアン・ポップスを聴くことができます。続く "Siamo adesso" では叙情的なメロディをしっとりと歌い上げ、端正なピアノをバックに切々と歌い上げるバラード "Il rimedio la vita e la cura" では包み込むようなストリングスと熱のこもったヴォーカルのコラボレーションが印象的です。リズミカルなヴォーカルを披露する "Che valore dai" や、 スピード感のある楽曲をダイナミックな歌声を聴かせる "La vita è da vivere"、静謐なピアノの調べに乗せて情感溢れるヴォーカルを聴かせるバラード "Il moglio che puoi dare" など様々なヴォーカル・スタイルを高い完成度で聴かせる実力には感心させられます。 ギターのコード・カッティングをバックに高らかに歌い上げるフォーク・ロック調の "Nomade" や、哀愁を感じさせるメロディをしっとりと歌い込んでいく "Amore infinito"、端正なピアノをバックに切々と歌い上げるラストを飾る壮大なバラードの "Qualcosa resta sempre" など曲のバリエーションも豊富です。

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Martina Campagna / Leggera (2014) Incipit Records, INC 173. (全10曲) CD-Text

1998年生まれの新人女性ヴォーカリスト Martina Campagna のファースト・アルバム。オープニングの "Il vento, un lampo" ではまだあどけなさの残るキュートなヴォーカルが印象的ですが、続く Remo Anzovino による端正なピアノに導かれたバラード "Leggera" では胸を締め付けるような叙情的なメロディを堂々と歌い上げています。正統派のイタリアン・ポップスを聴かせる "Il senso di un viaggio" や、Gergo のラップをフィーチャーした Hip-Hop 調の "Un cielo che non c'è"、叙情的なメロディを囁きかけるように歌い上げる "Mi hai rubato l'amore" など曲のバリエーションも豊富です。また、Cristian Imparato と息の合ったデュエットを聴かせる "Stiamo liberi" や ドラマティックなヴォーカルが印象的なイタリアン・ポップスの王道 "Buona fortuna"、Giosuè Amato との掛け合いを生かしたデュエット曲 "Se sapessi amare" や、若い頃の Marcella を思わせるパンチのあるヴォーカルを聴かせる "Effetto sorpresa" などヴォーカリストとしての今後の可能性を感じさせる楽曲が多数収録されています。 ラストは消え入るような叙情を感じさせるバラード "Sul treno della sera" でしっとりと締め括っています。

 
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