アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Roby Facchinetti / ma che
vita la mia (2014) Carosello Records, 8034125843923. (全10曲) CD-Text
イタリアの国民的ロック・バンド Pooh の 中心人物 Roby Facchinetti
が、2016年の50周年への準備のためにバンド活動を休止したことを受けて、前作から約20年の時を経て発表されたサード・ソロ・アルバム。
冒頭とラストのインスト曲以外は2013年1月に急逝した盟友 Valerio Negrini
の最後の作品となる詞が使われています。また、アレンジは最近の Pooh の作品でも活躍している Danilo Ballo
が手掛けています。オープニングを飾るドラマティックなインスト曲 "IL volo di Haziel"
で始まり、ストリングス系のキーボードが飛び交う軽快なタイトル曲 "Ma che vita la mia" や Roby
らしいシンフォニックなバラード "Un mondo che non c'è"
など収録されている各曲も粒ぞろいです。また、きらびやかな音色のキーボード群を駆使した "Ieri oggi e per sempre" や
叙情的なピアノに導かれたドラマティックなバラード "Gocce nel mare"
などソロならではのアレンジが施された曲も多く楽しめます。ブックレットには各曲で使用されたキーボード群の機材の詳細が記載されていて、
これまでになく鍵盤奏者としてのこだわりを感じさせる作品となっています。また、初回盤は3面開きの紙製ジャケット仕様となっています。 |
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Susanna Parigi / Il
Saltimbanco e La Luna Un Omaggio a Enzo Jannacci
(2014) Nicipic Records, INC 175. (全15曲) CD-Text
アーティスティックな作風で知られる孤高のカンタウトリーチェ Susanna Parigi
の約3年振りの最新アルバム。今回は2012年10月30日に Milano の Teatro Barrio's
で行われたコンサートを収録したライブ・アルバムで、2013年に亡くなった Enzo Jannacci
の曲を数多く取り上げていることから彼に捧げられています。Enzo Jannacci の名曲 "Mamma che luna che c'era
stasera"
で始まり、ほとんど全ての楽曲を自身の奏でるピアノと歌のみというシンプルでありながら力強いアレンジで聴かせます。途中、彼女の楽曲
"Liquida" や "L'insulto delle parole"、"L'attenzione" を挟みつつ、Enzo Jannacci
の幅広い年代の楽曲を次々と歌い上げています。"Il cane con i capelli" ではコンサートを企画した Andrea
Pedrinelli との演劇的な掛け合いを聴くことができます。また、コンサートのラストを飾る "El portava i scarp del
tennis" では Enzo Iacchetti
による詞の朗読をピアノによる伴奏でしっとりと聴かせてくれます。企画性の高いコンサートなので好みが分かれるとは思いますが、
彼女のファンならば必聴でしょう。 初回盤のパッケージはデジパックサイズの紙製化粧箱仕様となっています。
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Francesco Renga / Tempo
reale (2014) RCA, 88843039862. (全14曲)
CD-Text
今や元 Timoria という肩書きが必要もないほどの人気カンタウトーレとなった Francesco Renga
のオリジナル・アルバムとしては約3年振りとなる今年の Sanremo 音楽祭参加曲を含むニュー・アルバム。オープニングを飾る Sanremo
参加曲の "A un isolato da te"
は彼らしいスケールの大きなバラードで、しっとりとした導入部からの瞬発力のある歌い上げが印象的です。HIP・HOP調ながら叙情を感じさせる
"Il mio giorno più bello nel mondo" や、切々と訴えかけるように歌われる "Un lungo
inverno"、もう1曲の Sanremo 参加曲で軽やかなヴォーカルを聴かせる "Vivendo adesso"
など今回は自作曲が少ないものの、彼の個性が生かされた楽曲が並んでいます。また、ポップで力強い "L'impossibile" や
Alessandra Amoroso とのデュエット曲 "L'amore altrove"
などヒット性の高い楽曲も多数収録されていて、Sanremo
での成績は振るわなかったもののアルバムの完成度は高いです。さらに彼の王道とも言うべきスケールのの大きなヴォーカルを聴かせる "In
equilibrio senza te" や、軽やかなフォーク・ロック "Si... be'... ma... non
so?!"、リズムを強調したロック・ナンバー "Dovrebbe essere così"
など曲のヴァリエーションも豊富で飽きさせません。アルバム・ラストはドラマティックなロック・バラード "Mai" でしっとりと締め括っています。
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Latte e Miele / Passio
Secundum Matthæum - The Complete Work (2014) Black Widow, BWRCD
165-2. (全19曲)
2008年に再結成した'70年代前
半に活躍したプログレッシブ・ロック・バンド Latte e Miele
が名作と名高いファースト・アルバムをリメイクし、新たなパートを加えて再構成した完全版としてリリースされた約4年半振りとなるニュー・アルバム。
今回は再結成後の Latte Miele ではなくオリジナルの Latte e Miele 名義でのリリースとなっています。メンバーは
Marcello Giancarlo Dellacasa (g, vo), Oliviero Lacagnina (p, key),
Alfio Vitanza (ds, vo) のオリジナルの3人にサード・アルバム時の Massimo Gori (b, vo)
を加えた再編後の4人編成となっています。オリジナルと同様に混声合唱団やパイプ・オルガンを導入し、
さらに弦楽四重奏を加えてよりクラシカルで荘厳なシンフォニック絵巻を展開しています。
また、曲の導入部や曲間のナレーションに Giorgio D'Adamo (New Trolls), Aldo De Scalzi
(Picchio dal Pozzo), Alvaro Fella (Jumbo), Lino Vairetti
(Osanna) など往年のイタリアン・ロックを彩った面々が参加しているのも話題の1つです。
当初は演奏技術の甘さが指摘されていた彼らですが、40年の時を経てかつての名作がより完成度を高めて現代に甦った完成形となっています。
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Riccardo Sinigallia / per
tutti (2014) Sugar, 8033120984884 (全9曲) CD-Text
バンド編成だった頃の Tiromancino の主要メンバーの一人だった Riccardo Sinigallia
の約8年振りのソロ3作目となる今年の Sanremo 音楽祭参加曲を含む最新アルバム。プロデュースは Laura Arzilli (b,
vo), Filippo Gatti (ac-g, b, cho) Andrea Pesce (key, p), Fabio
Patrignani (mix, g) らと供に行ない、彼ら4人と Daniele Sinigallia (g)
を中心に多数のゲストを迎えて録音されています。オープニングの叙情的なピアノの調べに導かれた7分を超える "E invece io"
から彼の優しげなヴォーカルと Tiromancino 時代から培った音響系の幽玄なサウンドがいい具合に融合しています。続く Sanremo
で失格した曲 "Prima di andare via"
ではアンビエントな響きを湛えたフォーク・ロックという彼ならではの作風が感じられます。Sanremo 参加曲の "Una
rigenerazione" でもおよそ Sanremo
には似つかわしくない夢想的なエレクトリック・サウンドが繰り広げられています。アルバム・タイトル曲の "Per tutti"
ではさらにアヴァンギャルド色が進行し、曲の終盤では混沌としたインスト・パートが盛り込まれています。個性的なサウンドを標榜するアーティストなので
Sanremo での成績は全く振るわなかったものの、音響系に興味がある人にはお薦めです。 初回盤のパッケージはデジパック仕様となっています。
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