Musicadentro

第127号 (06/10/2013)

またもや更新間隔が空いてしまい、すっかり秋めいてきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 今回はこの夏に発売されたアーティストの新譜を中心にお送りします。

アルバム・カバー

アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)

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Premiata Forneria Marconi (PFM) / PFM in Classic da Mozart a Celebration (2013) Immaginifica, ARS IMM / 1019. (全14曲) CD-Text

イタリアを代表する老舗プログレ・バンド PFM こと Premiata Forneria Marconi の最新作は、数年前から企画されていたクラシックを素材にしたオーケストラとの共演盤ですが、当初噂されていた Milano の Teatro degli Arcimboldi で行われたコンサートのライブ盤ではなく、改めてスタジオで録音された作り込まれた2枚組のオリジナル・スタジオ・アルバムとなっています。モーツァルト の「魔笛」で始まる Disc 1 はクラシックの名曲にオリジナル・パートを加えてロックのダイナミズムを取り入れたクラシックのアレンジもので、マーラーの交響曲第5番やプロコフィエフ の「ロミオとジュリエット」など古典派から後期ロマン派まで幅広く選曲されています。優美なストリングスを纏った "La luna nuova" で始まる Disc 2 はPFM のオリジナル曲にオーケストラを大胆に導入したニュー・バージョンを中心に収録されており、"Dove... quando" や "Impressioni di settembre" など初期の曲だけでなく、"Maestro della voce" も取り上げています。また「イタリア組曲」と題してメンデルスゾーンの「イタリア交響曲」をオープニングに "Celebration" へとなだれ込み、ロッシーニの歌曲集から「ダンス」で締め括る新たなレパートリーも聴かせてくれます。 さらに、ボーナス・トラックとして収録されたライブでの定番曲 "Guglielmo Tell - Ouverture" は前述の Teatro degli Arcimboldi でのライブ・バージョンです。初回盤のパッケージは3面開きのデジパック仕様となっています。
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Samuele Bersani / Nuvola Numero Nove (2013) Fuori Classifica, 8883761342. (全10曲) CD-Text

1970年に Rimini で生まれた中堅カンタウトーレ Samuele Bersani のオリジナルとしては約3年半振りの8作目となる最新アルバム。共作を含め全曲自身で作詞・作曲を行なっているのみならず、 アレンジ/プロデュースも手掛け、演奏でも全曲でピアノやキーボードなどを担当しています。 キーボードのアルペジオで始まるオープニングの "Complimenti!" から一聴すると地味ながらも非常に緻密な音世界が広がっています。続く "En e xanax" では彼独特のほんわかとした歌声でノスタルジックなメロディを紡ぎ出しています。のほほんとした歌い口のコミカルな "Chiamami napoleone" やギターの爪弾きに乗せてクールな歌声を聴かせる "Desiree"、叙情的なメロディをしっとりと歌い上げる "Ultima chance" など、曲調も多彩でメロディー・メーカー振りを遺憾なく発揮しています。また、ほのぼのとした中にも哀愁を帯びたメロディが印象的な "D.A.M.S." の中間部のギター・ソロや終盤のビオラ、"Reazione umana" のバックに流れるキーボードのオブリガートやラストのシンフォニックなアレンジを施した "Il re muore" など演奏面でも凝ったものが多く、非常に手の込んだアルバムに仕上がっています。初回盤のパッケージは3面開きのデジパック仕様となっています。
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Il Tempio delle Clessidre / alieNatura (2013) Black Widow, BWRCD 160-2. (全7曲) CD-Text

'70年代の伝説のヘビィ・シンフォニック・ロック・バンド Museo Rosenbach のヴォーカリストだった Stefano "Lupo" Galifi (vo) を擁して話題となっていたシンフォニック・ロック・バンド Il Tempio delle Clessidre の約3年振りのセカンド・アルバム。その "Lupo" が再編 Museo Rosenbach に復帰してしまったためにオーディションにより新たなヴォーカリスト Francesco Ciapica (vo, cho) を迎え、凄腕の女性キーボーディスト Elisa Montaldo (key, vo, cho) を中心に Fabio Gremo (b, cho), Giulio Canepa (g, cho), Paolo Tixi (ds, cho)  を加えた5人編成となっています。風の音に導かれて始まるオープニングの "Kaze (cio' che il vento porta con se') では日本語のナレーションを含んだエキゾティックな導入部から怒濤の展開を聴かせる短いながらも印象的なシンフォニック・ロックに仕上がっています。 ハードなギターで始まり新任ヴォーカリストが力強く歌い上げる典型的なヘヴィ・シンフォの "Senza colori" や屈折したハード・ロックを聴かせる "Il passo"、めくるめくキーボード・ラビリンスが繰り広げられる "Fino alla vetta" など決して一本調子にならないところに好感が持てます。また、珍しく Elisa がヴォーカルを執る "Notturna" はフランスの歌曲を思わせる気品ある小品に仕上がっています。ラストはドラマティックな展開を聴かせる15分近い大作で5部構成の組曲 "Il cacciatore" で締め括っています。
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Marco Ligabue / Mare Dentro (2013) Music Overdrive Management, 65453323-4. (全9曲)

あの Luciano Libabue の実弟で、以前はロック・バンド Rio にギタリストとして所属していた Marco Ligabue のソロ・デビュー・アルバム。全曲自身による作詞・作曲となっており、プロデュースとアレンジは Corrado Rustici が手掛けています。口笛に導かれて始まるオープニングの "E' da te che dipende" では軽快でリズミカルなヴォーカルを聴かせるフォーク・ロックを披露しています。いなたいエレキ・ギターで始まる "La differenza" では低音部を生かしたロック・サウンドをバックに力強いヴォーカルを聴かせてくれます。きらびやかなギターの音色に乗せて始まる "Ogni piccola pazzia" やギターとパーカッションの紡ぎ出すリズムをバックにしっとりを歌い上げる "Casomai" など比較的シンプルな演奏をバックに彼の力強い歌声を聴かせる曲が中心ながらも、エレポップ風のリズムをバックに軽やかに歌いあげる "E' bellissimo" や金属質のギターやリズムを刻むオルガンが印象的な "Appesi a un filo" など随所にアクセントになる楽曲を挟んでいるので飽きさせません。ラストは叙情的なメロディをしっとりとしたヴォーカルで聴かせるロック・バラード "La piu' grande orchestra" で幕を閉じます。初回盤のパッケージはデジパック仕様となっています。

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Pandora / Alibi Filosofico (2013) AMS Records, AMS228CD. (全7曲) CD-Text

2006年に結成された若手シンフォニック・ロック・バンド Pandora の約2年半振りとなるサード・アルバム。前作発表後にギタリストが脱退したため Beppe Colombo (key), Claudio Colombo (ds, perc, b, g, key, cho), Corrado Grappegia (vo, cho, key) の変則3人編成となり、多数のゲストを迎えて制作されています。ノイズ音で始まるオープニングの "Il necromante, khuratsos e la prossima vittima" は力業で怒濤の展開を聴かせる典型的なヘヴィ・シンフォに仕上がっています。ゲストの女性ヴォーカルがしっとりとしたコーラスを聴かせる "Ne' titolo ne' parole" では静と動の対比を生かしたドラマティックなシンフォニック・ロックを聴かせてくれます。 短いながらも圧倒的なテクニックを聴かせるキーボード・ソロの小品 "La risalita" を挟み、ゲストの David Jackson (ex. VDGG) のサックスやフルートが暴れまくる "Apollo" と "Tony il matto" では迷宮に迷い込んだかのような錯綜した音世界を繰り広げています。風の音で始まる "Sempre con me" ではきらびやかな音色のキーボードによる静かな導入部から一気に盛り上がっていく畳みかけるような展開が印象的です。また、ラストのタイトル曲 "Alibi filosofico" はミステリアスなオープニングから力強いヴォーカル・パートへと進み、静と動の対比を繰り返しながらドラマティックに展開していく壮大なシンフォニック・ ロックに仕上がっています。初回盤のパッケージは3面開きの紙ジャケット仕様となっています。

 
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