アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Pandora / Sempre e ovunque
oltre il sogno (2011) AMS Records, AMS193CD. (全8曲) CD-Text
2006年に結成された若手シンフォニック・ロック・バンド Pandora
の約2年半振りとなるセカンド・アルバム。メンバーは前作同様
Beppe Colombo (key, vo), Claudio
Colombo (ds, perc, b, ac-g, fl, key, vo), Corrado Grappegia (vo, key),
Christian Dimasi (g, b)
の変則4人編成です。重厚なキーボードによるオーケストレーションで幕を開けるオープニングのインスト曲 "Il re degli scemi"
からクラシカルかつドラマティックな展開を見せ、"L'incantestimo del druido"
では畳みかけるリズムをバックに、きらびやかなキーボード・ラビリンスが構築され、
ハードなギターが切れ込んでくる起伏の激しいイタリアならではの展開を聴かせてくれます。
また、圧倒的な音量で迫る演奏に負けない声量を持った男性的な力強いヴォーカルの存在感も魅力です。短いながらも4部構成を持った
"Discesa attraverso lo stige"
はアコースティック・ギターの響きが印象的で、押しだけではない引きの美しさが表れた佳曲です。
初期 Genesis を想わせるフォーク・タッチの "03.02.1974"
では、アコースティックな響きを生かしたヴォーカル・パートと畳みかける演奏の対比が印象的です。
ラストは怒濤の展開を見せる23分にも及ぶ8部構成の大曲 "Sempre e ovunque"
で締めくくっています。パッケージは見開き紙ジャケット仕様となっています。
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Gianna Nannini / Io e te
(2011) Z-Music Enterprises, 88697829842.
(全12曲) CD-Text
今やイタリアのみならずヨーロッパを代表する女性ロッカーとなった Gianna Nannini
の最新アルバム。アルバム・ラストのカバー曲を除いて、共作を含め、全曲の作詞と作曲を自身で手掛けています。近作同様、ストリングスが大胆に導入され、
豊穣な音空間を作り上げていますが、独特のしゃがれ声とダイナミックなヴォーカルによってロック色も随所に感じられます。
艶やかなストリングスに導かれて始まるオープニングの "Ogni tanto"
から、絞り出すようなヴォーカルで歌い上げるドラマティックなロック・バラードを聴かせてくれます。続く "Ti voglio tanto
bene" は、表現力豊かなヴォーカルでしっとりと囁きかけるように歌われる佳曲です。また、ゆったりとしたリズムに乗せて切々と歌い上げる
"I wanna die 4 U" や、軽快なフォーク・ロックの
"Perche'"、ハードなギター・サウンドをバックに力強く歌い上げるロック色の強い "Perfetto"
や、包み込むようなストリングスをバックにしっとりとした歌声を聞かせる "Io e te"
など、曲のバリエーションも豊富で飽きの来ない構成になっています。ラストは Domenico Modugno の名曲 "Nel blu di
pinto di blu (Volare)" のカバーで締めくくっています。また、初回盤のパッケージは3面開きのデジパック仕様となっています。
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Paolo Siani & friends
feat. Nuova Idea
/ Castles, wings, stories & dreams (2011) Black Widow, BWRCD
131-2.
(全9曲) CD-Text
'70年代に3枚のアルバムを残したプログレ・バンド Nuova Idea のオリジナル・メンバー Paolo
Siani (ds, vo) のソロ・プロジェクトのファースト・アルバム。Nuova Idea 時代の同僚 Ricky Belloni (g)
や Giorgio Usai (key) をはじめ、多数のゲスト・ミュージシャンを迎えて制作されています。Vittorio Pedrali
の語りによる "Un dono" で幕を開け、畳みかける展開を見せる "Wizard intro"
へとなだれ込んでいくオープニングから期待が高まります。King Crimson を想わせる展開が印象的な "Madre africa"
では、Mauro Pagani がフルートで、元 The Trip の Joe Vescovi がハモンド・オルガンで参加し、New
Trolls
のメンバーとして来日した経験のある Roberto Tiranti がリード・ヴォーカルをとっています。きらびやかな音色のアルベジオに乗せて
Paolo 自身が淡々と歌い上げる "Questa penombra e' lenta" では、ゲスト・ヴォーカルの Ottavia
Bruno が華を添えています。また、4部構成の組曲 "The
game" では、前述の Ricky Belloni (g), Giorgio Usai (key) の Nuova Idea
組が全面参加し、クラシカルかつドラマティックなシンフォニック・ロックを繰り広げています。最後はバロック調の "C'era una volta"
で静かに幕を下ろしています。また、初回盤のパッケージは3面開きのデジパック仕様となっています。
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Verdena / Wow
(2011) Black Out, 0602527613536. (全27曲)
Bergamo 出身のハード・ロック・バンド Verdena
の約4年振りとなる2枚組のニュー・アルバム。前作から再びトリオ編
成に戻って、デビュー以来の Alberto Ferrari (vo, g, p, key), Luca Ferrari (ds, key),
Roberta Sammarelli (b, key) の3人体制になっています。全曲、作詞は Alberto
が、作曲はバンドが担当しており、プロデュースと録音は Alberto
が行なっています。前作は10分を超える大曲が2曲含まれていましたが、今回は4分未満の曲が大部分を占め、
短い曲をつなぎ合わせて全体の構成で聴かせる作品となっています。
ヘビィなリズム・セクションと押し寄せるメロトロンをバックに歌い上げるオープニング "Scegli me (Un
mondo che tu non vuoi)" で始まるCD 1では、沈み込むような重たいリズムに乗せて、
はっきりとしたメロディ・ラインを持ったヴォーカル曲が大部分を占め、"Razzi arpia inferno e fiamma"
のように美しいメロディを持った曲も散見されます。また、ワルツのリズムに乗せた "Castelli per aria"
や、ピアノの響きを生かした "Sorriso in spiaggia (pt 1
& 2)" など、ポップ感覚溢れる曲も含まれています。一方、ハードなギターが暴れまくる "Attonito"
で始まるCD
2では、メロディアスな部分がやや後退し、ヘビィなリズムを主体としたアバンギャルド色が強い混沌とした音世界を繰り広げています。以前に較べるとギター
の比重がやや低くなっているものの、現代的な重厚なハード・ロック作品となっています。
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Stefano D'Orazio / Aladin
(2010) SDO, 10.01. (全18曲) CD-Text
Pooh を脱退した Stefano D'Orazio が音楽監修したミュージカル "Aladin"
のオリジナル・キャストによるサウンド・トラック。作詞は全て Stefano が担当しているものの、曲は全曲 Pooh の面々が書いているので
"Pinocchio - Il Grande Musical"
と同様の制作陣となっています。題材が題材のため、多少エキゾティックな要素が含まれていますが、メロディの随所に Pooh
らしさが見え隠れしているところがご愛敬です。メイン・キャストには "Pinocchio" に出演していた Lena Biolcati と
Stefano の娘である Silvia Di Stefano が名を連ねています。オープニングを飾る "Noi siamo
principi" から、Pooh 節全開のメロディをキャストの面々が歌い上げ、女性2人の掛け合いによる "Soltanto donna,
solamente mia" では Silvia
が若手ながらもがんばっています。また、もう一人の女性キャストである Valentina Spalletta
のキュートな歌声も魅力的です。アルバム・ラストには、エンディングに向けたヴォーカル・パートのメドレーが収録され、
ダイジェスト的なまとめ方をしています。
ただ、ブックレットにも舞台の写真が多数掲載されてはいますが、本来は映像があってこその作品だと思うので、
DVD版の発売を期待したいところです。それにしても、ジャケット下部に堂々と Pooh のロゴが掲載されているのはどうなんでしょうか?
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