アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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La Nuova Raccomandata
con Ricevuta di Ritorno / Il Pittore Volante (2010)
AMS Records, AMS170CD. (全9曲)
'72年に唯一のアルバムを残した Raccomandata Ricevuta
Ritorno (RRR) がバンド名を La Nuova Raccomandata con
Ricevuta di Ritorno
とマイナー・チェンジして38年振りに発表した復活作。参加メンバーは
Luciano Regoli (vo, g), Nanni Civitenga (g, b, key), Roberto
Gardin (g, b), Walter Martino (ds)
といったかつて在籍していたメンバーを中心に、Goblin の
Claudio Simonetti (key)、Fabio Pignatelli (b) や Osanna の
Lino Vairetti (harmonica)
といった多数のゲストを迎えて制作されています。かつてのイメージそのままに邪悪な雰囲気を漂わせた重厚なヘビィ・シンフォを繰り広げるオープニングの
"Il cambiamento"
に始まり、クラシカルなピアノのイントロに導かれて端正なクラシカル・ロックを披露する
"Il Vecchio"
へと展開するなど静と動の対比が印象的です。また、Cristina
Cioni
とのデュエットにより消え入るような哀愁を漂わせる叙情的なバラード
"Il fuoco" や Roberto Gardin のギターによる "Le note
semplici" をイントロに配したハード・ロック・ナンバー "Eagle
Mountain" など曲調のバリエーションも豊かです。Claudio
Simonetti が演奏面で全面的にバックアップしている "L'uomo
nuovo"
ではミステリアスな雰囲気を押し出したカラフルなシンフォニック・ロックを展開しており、Fabio
Pignatelli のうねりのあるベースをフィーチャーした "Raoul"
はファンキーなロックン・ロールと哀愁溢れるブルース・ロックが融合した印象的な楽曲となっています。パッケージは画家でもある
Luciano Regoli
の手によるオリジナルのイラストを多数掲載したブックレット付きの紙ジャケ仕様となっています。
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Federica Camba /
Magari oppure no (2010) Atlantic, 5051865821021.
(全10曲) CD-Text
Laura Pausini や Alessandra Amoroso
などへの楽曲提供で知られる若手カンタウトリーチェ Federica
Camba
のファースト・アルバム。アレンジとプロデュースを共同で担当している
Daniele Coro と全曲共作しています。オープニングの "Mal di
vivere"
からハスキーというよりはしゃがれ声といった方がいいような独特の歌声で絞り出すように哀愁を感じさせるメロディを紡ぎだしています。そういった意味で'70年代の
Claudio Baglioni や Riccardo Cacciante
にスタイルが近い感じです。続く "Come siamo in tanti"
では囁きかけるような導入部から一気に盛り上がっていくドラマティックな展開が印象的で、しゃがれ声で叙情的なメロディを熱唱するタイトル曲の
"Magari oppure no" やロック色の強い "Tutta un'altra storia"
での絞り出すようなヴォーカルなど聴き所が満載です。しっとりとした叙情的なメロディをドラマティックに歌い上げる
"Incantevole incoerenza"
や囁きかけるようなヴォーカルが印象的な "Uno piu' uno fa
mille"
などメロディがしっかりとした曲が多く、リズムにギミックが少ないため非常に聴きやすいです。語りに近い導入部から一気に情熱的に歌い上げる
"Mi viene cosi'"
や囁くように軽やかに歌われるフォーク・ロック調の "Cosi'
tanto"
などヴォーカル・スタイルも多様で、今後が楽しみのアーティストです。
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Randone / linea di
confine "una favola d'amore" (2010) Electromantic
Music, ARTPQ 1912. (全16曲)
CD-Extra
カンタウトーレとしても活躍する Nicola Randone (vo, p,
key, g) を中心に Marco Crispi (g), Riccardo Castone (ds)
のトリオで活動を続けるプログレ・バンド Randone
の最新アルバム。Arti & Mestieri の Beppe Crovella (key)
など多数のゲストを迎えてオリジナル・ストーリーを元にしたロック・オペラを繰り広げています。叙情的な導入部から一転してハードなキーボード・ロックへとなだれ込むオープニングの
"S.I.B. (Prologo)"
に始まり、ギターの爪弾きに乗せて叙情的なヴォーカルを聴かせる
"Primo dell'anno"
へと続く冒頭からドラマティックな展開を予感させる作りとなっています。曲のつなぎの部分に語りを挿入したり、サウンド・コラージュを配したり、叙情的なヴォーカル・ナンバー
"Promesse"
の終盤でホーミーを取り入れたりと色々な試みを聴くことができます。メロトロン音色のキーボードをバックにしっとりと歌い上げる
"Emanuella" や曲の後半の Federica Davola
のヴォーカルがかわいらしい "Buona notte"
など曲調にも工夫が感じられ、曲毎のバリエーションは大きいものの全体的な統一感が保たれています。あくまでも
Nicola Randone
のシアトリカルなヴォーカルを主体としながらも、押し寄せる波のようなキーボード群を生かしたシンフォニックなアレンジにより、非常にドラマティックな作品に仕上がっています。
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Enrico Nascimbeni /
Il serpente tonto (2009) Moltopop, MPP022. (全13曲)
CD-Text
'70年代後半から活動を続ける Verona 出身のカンタウトーレ
Enrico Nascimbeni
の約1年振りのニュー・アルバム。今回はカバー曲が4曲にオリジナルが9曲ととおよそ1/3がカバー曲となっています。オープニングのタイトル曲
"Il serpente tanto"
はタンゴのリズムに乗せて情熱的に歌い上げるヨーロッパ然とした曲で、続くボサノヴァ調の
"Come una goccia di latte nel the"
では軽やかなメロディをリラックスしたヴォーカルで聴かせてくれます。ピアノやアコーディオンを主体としたシンプルなバッキングに乗せて切々と訴えかけるように歌われる
"La mia vita" や Veronica Marchi
との息のあったデュエットを聴かせるポップで軽やかなメロディが印象的な
"Mare che fa rima con mare"
など曲のバリエーションも豊富です。端正なピアノに導かれてしっとりと歌い上げるキューバのビッグネーム
Pablo Milanes のカバー曲 "Mi unicornio azul (L'unicorno
blu)" やスペインの Joaquin Sabina のカバー曲 "Contigo (Con
te)"
などスペイン語圏のアーティストの作品も取り上げています。また、曲を提供した
Massimo Di Via とのデュエット曲 "Brest"
では声質の異なる2人のヴォーカルの対比が印象的です。その他、Bruno
Lauzi のカバー "L'ufficio in riva al mare" や Roberto
Vecchioni のカバー "Piccolo pisello (a Ghigo)"
を収録しており、カンタウトーレとしてだけでなくヴォーカリストとしての可能性も感じさせる作品となっています。
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Xela / Venere di
cenere (2009) Sunrise Music Production, SMP 09003.
(全10曲) CD-Text
Varese 出身の若手ロック・バンド Xela
のデビュー・アルバム。メンバーは Alex (vo, g, key, p),
Luciano (b), Alessio (g), Fiamma (ds)
の4人で、ロック・バンドには珍しい女性ドラマーのバンドとなっています。オープニングのタイトル曲
"Venere di cenere"
は直線的なノリのパンキッシュなロック・ナンバーで、畳み掛けるリズムをバックに勢いのあるヴォーカルを聴くことができます。また、端正なピアノに導かれた
"Baciami"
は叙情的なメロディをしっとりと歌い上げるロック・バラードとなっています。歪んだ音色のギターが活躍するロック・ナンバー
"Alieno" やスピード感溢れるロックンロールの
"Controotempo"、哀愁漂うフォーク・ロック調の "L'estasi"
など曲のバリエーションもあり、アルバムを通して色々楽しませてくれます。大きなノリを持った
"Ritratti e framenti"
のようにファルセットを交えたヴォーカルを披露している曲もあり、シャッフルのリズムに乗せた
"Spam"
では軽やかでリズミカルなヴォーカルを聴かせてくれるなど、勢いだけではない味わい深いヴォーカルも楽しむことができます。アルバム・ラストはリリカルなピアノの調べに乗せて哀愁漂うメロディをしっとりと歌い上げる
"Il tuo stesso carnefice" で締め括っています。
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