アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Carmen Consoli /
Elettra (2009) Polydor, 0602527232089. (全10曲)
ロック系中堅カンタウトリーチェ Carmen Consoli
の最新スタジオ・アルバム。初期に見られた内省的なロック・サウンドとコケティッシュなヴォーカルは影を潜め、全体的にトラッド色の感じられるアプローチと中低音域を生かしたヴォーカルが魅力の作品となっています。オープニングの
"Mandaci una cartolina"
からアコースティックな響きを生かしたギター・ストリングス・フルートが絡みつくバッキングに乗せて囁きかけるように歌う様が格好良いです。続く
"Perturbazione atlantica"
ではリズムを刻むギターをバックに切々と訴えかけるように歌われるしなやかなヴォーカルが魅力的です。"Mio
zio"
では彼女自身がブズーキなどを手掛け、パーカッシブな演奏をバックにトラッドからの影響を感じさせるダイナミックな歌唱を披露しています。"Marie
ti amiamo" では同じシチリア出身の巨匠 Franco Battiato
とのデュエットでイスラム色の強い北アフリカを想起させるトラッド系の音世界を構築しています。また、"'A
finestra" は Teresa De Sio や Ginevra Di Marco
を想わせるトラッド色の強い中低音域を生かした下世話な歌い回しが特徴的です。タイトル曲の
"Elettra"
では初期の頃に通じるファルセットを駆使した内省的なロック・サウンドを披露しています。
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Le Mani / Anno
luce (2009) Music Solutions, 3000241. (全14曲)
若手ロックバンド Le Mani
の約2年半振りとなるセカンド・アルバム。メンバーは前作同様
Luigi Scarangella (vo), Antonio Marcucci (g), Marco
Pisanelli (ds), Angelo Perna (key), Francesco Stoia (b)
の5人編成で、作詞作曲は全曲バンド名義になっていてます。1曲目の
"Goccia dopo goccia"
から重厚なリズムセクションをバックに切れのいい演奏に乗せて力強いヴォーカルを聴かせるノリのいいロック・ナンバーを披露しています。続く
"Il giorno migliore"
ではきらびやかな音色のギターをバックに軽やかなヴォーカルを聴かせるポップ色の強い曲に仕上がっています。"Il
tuo ventre"
ではミステリアスな雰囲気を湛えるギターのロング・トーンを従えて切々と歌われるロック・バラードとなっています。歪んだギターに導かれて始まる
"Lentamente"
は畳み掛ける演奏をバックに豪快に歌い上げるスピード感溢れるロック・ナンバーです。切々と訴えかけるようなヴォーカルで始まる
"Fingere di ridere"
では起伏の激しいメロディに特徴のある展開の大きな曲に仕上がっています。全体的に前作同様、曲調のバリエーションが豊富で、同傾向の他のバンド作品と較べて起伏のある構成になっていると思います。
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Alessio Longoni /
Cose distanti (2009) Ritmica, RTM0509. (全9曲)
CD-Extra
Cagliari 出身の若手カンタウトーレ Alessio Longoni
のファースト・アルバム。全曲自身の作詞作曲で、ギター・ベース・ピアノ・シンセサイザーを演奏し、アレンジとプロデュースも
Andrea Piraz
と共同で手掛けています。オープニングのタイトル曲 "Cose
distanti"
は哀愁を帯びたメロディを低音域に特徴のある渋めの歌声で囁きかけるように歌われる叙情的な曲に仕上がっています。続く
"E' facile sorprendersi"
では一転してリズミカルな演奏をバックに突き放したようなクールなヴォーカルを披露しています。"Ora"
ではうっすらとした叙情を感じさせるメロディを呟くようなヴォーカルで歌い上げ、終盤でのやや神経質そうな音色のバイオリン・ソロが一層哀感を醸し出しています。ファースト・シングルとなった
"Vorrei"
は独特のリズム感を持ったメロディが特徴的な曲で、肩の力の抜けた緩やかな歌声で囁きかけるように歌い上げています。"La
tua linea personale"
ではヒップ・ホップからの影響も感じられるリズミカルなヴォーカルとキーボード・オーケストレーションによるバッキングの対比が印象的です。"Tutto
sembra inutile"
ではほのぼのとしたメロディを軽やかに歌い上げ、違った一面を披露しています。フォーク・ロック色の強い
"Passera'"
では時にドラマチックに盛り上げるキーボードをバックに叙情的なメロディをしっとりと歌い上げています。また、CD-EXtra
仕様になっていて "Vorrei" と "Passera'"
のビデオクリップが収録されています。
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Paola Turci /
Attraversami il cuore (2009) On The Road, 3000198.
(全8曲)
既にベテランの域に達しているカンタウトリーチェ Paola
Turci の約4年振りとなるニュー・アルバム。オープニングを飾る
"Sono io"
から胸を締めつけるような哀愁を感じさせるメロディを中低音域を生かした落ち着きのあるヴォーカルでしっとりと歌い上げています。続く
"La mangiatrice di uomini"
は唸りを上げるオルガンを中心としたバッキングに乗せて切々と歌い上げるドラマチックな曲に仕上がっています。タイトル曲の
"Attraversami il cuore"
は叙情的なメロディを暖かみのある落ち着いたヴォーカルで囁きかけるように歌い上げるしっとりとしたバラードです。フォーク・ロック色の強い
"Nel nome di chi"
ではスライド・ギターの艶やかな音色に乗せて軽快な歌声を披露しています。Domenico
Modugno のカバーである "Dio come ti amo"
ではギター・ピアノ・コントラバス・フリューゲルホルンといったシンプルな編成をバックに大人の女性の魅力を存分に発揮した哀愁漂う妖艶なヴォーカルを堪能することができます。"E
intanto mi sorprendo"
ではホルンやチャランゴによって紡ぎ出されるうっすらと浮かび上がる叙情を湛えたメロディを内面から絞り出すように歌われる様が印象的です。また、"Piccola
canzone d'amore"
は消え入るような叙情を感じさせるメロディを囁くようにしっとりと歌い上げる小品です。収録曲が実質7曲と少ないのが難点ですが、全曲完成度が高く非常に充実した作品になっています。
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Miura / 3
(2009) Prismopaco, PRSMPC-002. (全11曲)
Timoria
のリズム・セクションを中心に結成されたオルタナ系ロック・バンド
Miura
の約1年半振りとなる最新アルバム。メンバーが大幅に変更になった前作同様、元
Timoria の Diego Galeri (ds) に Killa (g) と Max Tordini
(vo) のトリオ編成になっていますが、ベースなどを担当する
Marcello Todde と Giacomo Fiorenza
の2人も準レギュラー扱いのようです。オープニングの "Io, nella
capusula del tempo"
から重厚なリズムセクションをバックに沈み込むようなヴォーカルで囁きかけるように歌われる重苦しい音世界が繰り広げられています。続く
"Normale"
では重厚なリズムセクションはそのままに、緩やかな叙情を感じさせるメロディアスなヴォーカル・ラインが印象的なロック・サウンドを披露しています。"Andiamoci
piano con le emozioni"
は畳み掛けるリズムをバックに力強いユニゾンのコーラスが曲を押し進める重厚なロック・ナンバーです。ハードなギターのリフをバックに軽快に歌われる
"Il solista" や艶やかな音色のギターが活躍する "Stimola"
といった趣向の変わった曲もあるものの曲調が似通っているものも多く、イタリア色もほとんどないですがオルタナ系のバンドとしては聴き所が多い作品に仕上がっていると思います。
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