アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年) レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Latte Miele / Marco Polo
sogni e viaggi (2009) Aereostella, 0199312AER. (全14曲)
昨年復活してライブ盤を発表した'70年代前半に活躍したプログレッシブ・ロック・バンド Latte Miele
のオリジナルとしては33年振りとなるニュー・アルバム。メンバーは Marcello Giancarlo Dellacasa (g, vo),
Oliviero Lacagnina (p, key) と New Trolls でも活躍する Alfio Vitanza (ds, vo)
のオリジナルの3人にサード・アルバム時の Massimo Gori (b, vo)
を加えた4人編成となっています。今回はオーケストラを従え、マルコ・ポーロの旅をテーマにした一大コンセプト・アルバムとなっています。重厚なオルガン
の響きと独特の音色を持ったギターが絡みつくオープニングの "San Marco" からあの Latte Miele
節が全開で全くブランクを感じさせません。軽やかで流れるようなドラミングに乗せてきらびやかな音色のキーボードと絡みつくようなギターをバックに歌われ
る "Il sogno"
などヴォーカルの比重も高く、往年の良いところを凝縮したような展開が心地よいです。シングルにしても良いような美しいメロディを持ったしっとりとした
ヴォーカル・ナンバー "Via si va'" に続いてスリリングな展開を聴かせる "I crociati"
を配したり構成もひたすらドラマティックです。また、"Il deserto del Gobi" で聴くことができるイスラム様式や
"Kubilai Kan"
での中華風のメロディなどコンセプトに合わせて新たな作風を取り入れるなど意欲作となっています。近年発売されたシンフォニック・ロック作品の中でも高い
完成度を誇る仕上がりになっていると思います。
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Susanna Parigi / L'insulto
delle parole (2009) Promo Music, PM CD0918. (全10曲) CD-Extra
かつては Claudio Baglioni や Riccardo Cocciante
のツアー・メンバーとして活躍していた個性派カンタウトリーチェ Susanna Parigi
の恒例となった約5年振りのオリジナル・アルバム。ほとんどの曲は Kaballa'
との共作を含め彼女自身が手掛けており、演奏でもチェンバロ、アコーディオン、ピアノを自分で弾いています。今回からデビュー以来の付き合いだった
Vince Tempera の手を離れており、Arke' String Quartet
をバックに従えて物悲しい響きを湛えたアコースティック色の強い作品になっています。オープニングのタイトル曲 "L'insulto delle
parole"
ではクラシカルな響きを持ったチェンバロの弾き語りを中心としたバッキングに乗せて物悲しさが染み入るようなメロディを変幻自在のヴォーカルでしっとりと
歌い上げています。端正なピアノの調べに乗せてシアトリカルなヴォーカルを聴かせる叙情的な "Non chiedermi parole
d'amore" やリズムを刻むストリングスをバックに囁きかけるように歌われる "Fa niente"
などポップの枠を越えた叙情的でアーティスティックな曲が続きます。日本でも Wilma Goich でお馴染の "In un fiore"
をイントロに配した "La fionista"
は狂おしいほどの哀愁を感じさせるメロディを切々と訴えかけるように歌い上げています。Gabriella Ferri で有名な "Sempre"
をイントロに配した Franco Battiato も取り上げた Jacques Brel の "La chanson des vieux
amants" のイタリア語バージョン "La canzone dei vecchi amanti"
では彼女の哀しみを湛えたヴォーカルが古き良きシャンソンの叙情的なメロディを際立たせています。収録されているどの曲もが完成度高く、久々の作品ながら
期待に違わぬ高水準の出来となっています。ボーナスでタイトル曲 "L'insulto delle parole"
のビデオ・クリップが収録されていて、初回盤は3面開きのデジパック仕様となっています。
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Edda / semper biot
(2009) Niegazowana, NIE003. (全12曲)
'80年代末からハード・ロック・バンド Ritmo Tribale のヴォーカリストとして活躍していた Stefano
Edda Rampoldi が Edda 名義で発表した初ソロ・アルバム。ほとんどの曲で詞は共作を含め彼自身が手掛けており、曲は Walter
Soma'と Edda で分担しています。また、プロデュースはイタリアのジャズ界で活躍する日本人 Takeo Gohara
が担当しています。基本的なスタイルは彼自身が弾くアコースティック・ギターによる弾き語りに若干の楽器が加わるというシンプルなもので、オープニングの
"Io e te" では Mauro Pagani の太い音色のバイオリンとリズムを刻むコントラバスを従えて Peter Hammill
を思わせるシアトリカルで感情を吐き出すようなヴォーカルを聴かせてくれます。続く "Milano"
は囁きかけるようなオープニングから徐々に感情が高ぶって大きな展開を聴かせる小品です。"L'innamorato"
ではアコースティック・ギターのコードカッティングをバックに起伏の激しいメロディを感情をぶつけるように歌い上げています。オルゴールの音に導かれた
"Snigdelina" や テルミンを思わせる電子音が響き渡る "Amare te"
など単調になりがちな作風に様々な工夫をしているのにも好感が持てます。非常に癖のある作風とヴォーカル・スタイルを持ったアーティストなので好き嫌いが
はっきりと分かれるとは思いますが、ハード・ロック畑出身とは思えない個性的なスタイルは一聴の価値があると思います。初回盤は3面開きのデジパック仕様
となっています。
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Grazia Di Michele /
Passaggi segreti (2009) Rai Trade, 0199322RAT. (全13曲) CD-Extra
ほのかにトラッドの香りが漂う作風とアンニュイな歌声で人気のカンタウトリーチェ Grazia Di Michele
の約4年振りの最新アルバム。全曲共作を含め彼女自身が手掛けています。オープニングの "Anja del settimo cielo"
ではうっすらと包み込むようなストリングスを従えて Teresa De Sio
を想わせるようなトラッド色の強いメロディをしなやかなヴォーカルで軽やかに歌い上げています。続く "L'amore va in scena"
では胸を締めつけるような叙情を感じさせる哀愁のメロディを Massimo Ranieri とのデュエットで聴かせてくれます。"Fino
all'ultima carezza"
は伝統的なイタリアン・ポップスの叙情的なメロディとほのかなトラッドの香りが融合したしなやかなメロディが印象的な曲です。後ろにアクセントを置いたリ
ズムを刻むギターをバックに舞うように歌われる "L'ultimo dolore"
やギターの爪弾きと包み込むようなストリングスを従えて哀愁のメロディをしっとりと歌い上げる "Il diritto di mare"
など美しいメロディを持った曲が多く、彼女の落ち着きのあるヴォーカルを堪能できる作品に仕上がっています。アルバム・ラストは "Fino
all'ultima carezza"
のヴォーカル・バージョンでパーカッション以外のパートをコーラスで置き換え、ジャズ色の感じられるアレンジでしなやかなメロディを聴かせてくれます。
ボーナスで "Anja del settimo cielo" と "Il diritto di mare"
のビデオ・クリップが収録されていて、初回盤は3面開きのデジパック仕様となっています。
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La Fame di Camilla / La
Fame di Camilla (2009) Universal Music Italia, 0602527058603.
(全12曲) CD-Text
2007年に Bari で結成されたロック・バンド La Fame di Camilla のファースト・アルバム。メンバーは
Ermal Meta (vo, g, p), Giovanni Colatorti (g), Lele Diana (ds), Dino
Rubini (b) の4人編成です。オープニングの "Globuli"
では軽快なリズムを刻むギターに乗せてファルセットを含むハイトーン・ヴォーカルで囁きかけるように歌い上げ、プログラミングされたキーボードが醸し出す
ミステリアスな雰囲気と相まって叙情的な音世界を作り出しています。続く "Pensieri e forme"
ではアコースティック・ギターのストロークをバックにしっとりとしたメロディを切々と訴えかけるように歌い上げています。"Storia di una
favola" はベースが活躍するリズミカルな曲で、ファルセットと地声を駆使しスピード感のあるメロディを軽快に紡ぎ出しています。"Come
il sole a mezzanotte"
はやや歪んだギターをバックに哀愁を感じさせるメロディをしっとりと歌い上げる内省的なロック作品に仕上がっています。畳み掛けるようなリズムに乗せて軽
やかに歌われる "Non amarmi cosi'" やフォークロック色の強い
"28-03-1997"、端正なピアノの調べに乗せてしっとりと歌い上げる "Nuvole di miele"
など曲のバリエーションも豊富で、アルバム一枚を通して聴かせる力があります。最近の若手バンドの中ではポップさと叙情性を併せ持った貴重な存在だと思い
ます。
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