年も明けますます寒さが深まってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?今回はマイナー系のカンタウトーレの新作を中心にお送りします。今年もよろしくお願いします。
アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Alessandro Grazian /
Indossai (2008) Trovarobato, TRB 012. (全11曲)
CD-Text
1977年 Padova 生まれの若手カンタウトーレ Alessandro
Grazian の約3年振りとなるセカンド・アルバム。カバー曲である
Umberto Bindi の "E' vero"
以外は全曲彼自身の作詞作曲の作品で占められています。また、演奏面でもギターやピアノなどをこなし、アレンジにも名を連ねています。前作同様、低音楽器を中心としたアコースティック・アンサンブルによるチェンバー・ロック風のアレンジと突き放したような歌い回しが融合した独特の作風が全開しています。アコースティック・ギターの爪弾きに導かれて始まるオープニングのタイトル曲
"Indossai"
ではハープや鉄琴などを効果的に配しながら沈み込むようなメロディを淡々と歌い上げています。カバー曲の
"E' vero"
では切りつめられたヴォーカル・パートに続くバスクラリネットと激しいアコースティック・ギターのコードカッティングの掛合いが印象的です。緻密なアコースティック・アンサンブルをバックに囁きかけるように歌われる
"Diteci che siamo sani"
は終盤での爆発的な盛り上がりを見せる展開の大きな曲です。また、トラディショナルな響きを湛えた
"A San Pietroburgo"
や軽快で牧歌的なメロディをフランス語で歌い上げる "Sainte
Epine"、中世的なメロディが印象的な "Fiaba rossa"
などノスタルジックなイメージを持った楽曲が多いのも特徴になっています。アルバム・ラストはアコースティック楽器によるインストの小品
"Tema di Suena" で締め括られています。
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Anna Tatangelo / Nel
mondo delle donne (2008) GGD Productions,
88697425392. (全11曲)
若手実力派ヴォーカリスト Anna Tatangelo
の約2年振りとなる4thアルバム。今回も前作同様 Gigi D'Alessio
と Adriano Pennino のプロデュースで、アレンジも主に Adriano
Pennino
が担当しており、ここ数作と同じスタッフによる制作となっています。ボサノバ調の
オープニング曲 "Profumo di mamma"
から幾分セクシーさを増した安定した歌唱を聴くことができます。続く
"Adesso"
では囁きかけるように始まり徐々にリズミカルに乗って盛り上がっていくダイナミックなヴォーカルを堪能できます。包み込むようなストリングスをバックに情熱的に歌い上げる
"Va da lei" や、師匠 Gigi D'Alessio
との息のあったデュエットを聴かせるスパニッシュ・テイストの
"Sarai"、軽やかなヴォーカルを聴かせるボサノバ調の "Quando
arriva, arriva"
などヴォーカリストとしての成長を伺わせる幅広い表現力を感じることができます。また、アルバム・ラストには
Pino Daniele のペンによる哀愁を帯びたバラード "Anna Verra'"
が収録されています。それにしてもデビューして約6年ですっかり大人の女性となり、清純派だった15歳当時と較べるとセクシー路線に大きくシフトているのには隔世の感があります
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Enrico Nascimbeni /
uomini sbagliati (2008) Moltopop, MPP012.
(全14曲)
'70年代後半から活動を続ける Verona 出身のカンタウトーレ
Enrico Nascimbeni
の約2年振りのニュー・アルバム。カバー曲を除いて全曲彼自身の作詞作曲の楽曲で占められています。オープニングを飾る
"Modigliani"
ではギターとピアノを中心とした演奏に乗せてほのぼのとしたメロディを紡ぎ出す暖かみのあるヴォーカルが印象的です。穏やかなフォーク・ロック調の
"Ho paura"
は優しい歌声でしっとりと歌い上げています。早口でまくし立てるように歌われる
"Io sono bambino"
ではラップに近いリズミカルな歌声を楽しみことができます。Roberto
Vecchioni と共演している "L'ultima notte di un vecchio
sporcaccione"
では語りと歌が交互に配され、終盤では会話のような掛合いを聴くことができます。アコースティック・ギターの爪弾きをバックに語りかけるように歌われるカバー曲の
"La canzone piu' belle del mondo"
や軽快なリズムに乗せてポップなメロディを紡ぎ出す "Non fate
pettegolezzi (Cesare Pavese)"
、主旋律に続いて低音による合いの手が入る "Il Lupo della
steppa"
など曲調も多様で、大きな展開こそないものの飽きの来ない構成になっています。最後はリリカルなピアノを中心としたインスト曲
"Angels" で幕を閉じます。
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Giusy Ferreri /
gaetana (2008) Ricordi, 88697408072. (全13曲)
1979年 Palermo 生まれの若手女性ヴォーカリスト Giusy
Ferreri のファースト・アルバム。半分近くの曲は Tiziano Ferro
の手によるもでですが、4曲ほど曲作りに参加しているのでカンタウトリーチェといってもいいかも知れません。Tiziano
Ferro とのデュエットを聴かせるオープニングの "L'amore e
basta!"
から中低音部を中心とした特徴のある歌声による安定感のある歌唱を聴くことができます。リズミカルな演奏をバックにややハスキーなヴォーカルで歌い上げる
"Novembre"
では粘りけのあるメロディをセクシーな歌声で聴かせてくれます。リズムを刻むピアノをバックにダイナミックなヴォーカルを聴かせる
"Non ti scordar mai di me" や HIP HOP
調のリズミカルな歌声が印象的な "Passione
positiva"、フォーク・ロック色の強い Linda Perry のカバー曲
"La scala (The ladder)"
など、様々なタイプの曲も歌いこなせる歌唱力は魅力的です。ボーナス・トラック扱いの
"Il party"
ではクラブ・ミュージックの王道を行くアップテンポでダンサブルなナンバーを軽快に歌い上げています。主にアメリカのアーティストの曲を聴いて育ったという背景もありイタリア色はあまりなく、R&Bタイプの曲中心の作風と中低音域を中心としたざらつきの感じられる個性的な声質が好みを分けると思いますが、実力派の若手ヴォーカリストの成長株だと思います。
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Marco Notari /
:Babele (2008) Artes Records, ART002. (全12曲)
1979年 Torino 生まれのロック系若手カンタウトーレ Marco
Notari
の約2年振りとなるセカンド・アルバム。全曲共作を含め彼自身の作詞・作曲しています。前作同様、バックには
Ghego Zola (el-g, e-bow), Lorenzo Serra (el-g, e-bow),
Roberto Sburlati (b), Pax Caterisano (ds) の4人組のバンド
Madamを従え、彼自身もコーラス/アコースティック・ギター/エレピなどを担当していて、実質的にはリード・ヴォーカリスト
Marco Notari
を擁する5人編成のバンド作品といった趣になっています。内省的なロック・サウンドを聴かせるオープニングの
"Crisalide (ora che ci sei)"
から高音域を生かしたやや線の細い特徴的なヴォーカルを楽しむことができます。続く
"Piuma"
ではオルタナ系のヘヴィーな演奏としなやかなメロディを歌い上げるハイトーン・ヴォーカルとの対比が印象的です。タイトル曲の
"Babele"
は歪んだギター・サウンドをバックに絞り出すように歌われるロック色の強いナンバーです。スピード感のあるロック・ナンバー
"Io non mi riconosco nel mio stato"
や、叙情的なギターに導かれた哀愁を帯びたバラード "Amore e
psiche"、ロングトーンのギターのバッキングに乗せて囁きかけるように歌われるアルバム・ラストの叙情的な
"Arrivederci"
など前作に較べ曲調の幅も広がっており、成長の跡が感じられる作品に仕上がっています。初回盤は3面開きのデジパック仕様となっています。
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