アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Premiata Forneria
Marconi (PFM) / PFM canta De Andre' (2008)
Aereostella, 0194502AER. (全11曲)
CD+DVD
ここ数年は Fabrizio De Andre'
のトリビュート・ライブを定期的に行なっている PFM こと
Premiata Forneria Marconi の2008年3月29日に Sulmona の
Teatro Comunale Maria Caniglia で行なわれた De Andre'
のトリビュート・ライブの模様を収録したライブ盤。メンバーは
Franz Di Cioccio (vo, ds, per), Patrick Djivas (b), Franco
Mussida (g, vo) の3人に加え、ゲストで Lucio Fabbri (vln,
key) が、サポートで来日公演でもお馴染みの Piero Monterisi
(ds) と Gianluca Tagliavini (key)
が参加しています。選曲は以前の De Andre'
との共演ライブ盤からのもので、演奏面ではよりロック色が強調された迫力があるものにバージョン・アップされています。オープニングの
"Bocca di rosa"
からアコースティック色が強いながらもメリハリの利いた演奏に乗せて
Di Cioccio
が長年歌い込んでいるだけあって安定したヴォーカルを聴かせてくれ違和感を感じさせません。アコーディオン音色のキーボードが大活躍する
"Un giudice" や Mussida が渋い歌声を聴かせる "Giugno
73"、日本公演でも披露した軽快なバイオリンが印象的な "Volta
la carta"
など聴き所が満載です。ただ、収録曲が11曲とライブ盤としては少ない上にDVDの映像版の方で権利関係などの問題か
"Zirichiltaggia" と "Volta la carta"
の2曲が映像と音声が別々に収録されている点は少し残念です。初回盤は3面開きのデジパック仕様となっています。
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Raffaella Destefano /
filologica (2008) Universo, US254/CD. (全10曲)
Gino Marcelli とのユニット Madreblu
として3枚のアルバムを残した Raffaella Destefano
のソロ・デビュー・アルバム。Madreblu
時代は主に作詞を担当していましたが、本作では全曲彼女自身の作詞・作曲になっており、またほとんどの曲で彼女自身がアコースティック・ギターを弾いています。オープニングの
"Piccola aritmotica"
では浮遊感のあるヴォーカルでポップで躍動感溢れるメロディを紡ぎだしています。続く
"Chiudi gli occhi"
は軽快なリズムに乗せて一人多重コーラスを多用した色彩感覚豊かな曲に仕上がっています。また、Madreblu
時代を思わせる軽やかなシティ・ポップスを聴かせる "Domani"
やリズミカルなコーラスに導かれた "La fino dell ostato"
など収録されているどの曲もイタリア色はほとんどないものの高水準のポップ・ソングになっているのはさすがです。北欧のような透明感のあるメロディを爽やかなヴォーカルで聴かせるラストの
"Polaroid" の後に長い無音部分に続いて "Domani"
の別テイクが収録されています。また、ブックレットには歌詞が収録順ではなくランダムに掲載されています。
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Vittorio De Scalzi /
mandili (2008) Aereostella, 0194292AER. (全10曲)
New Trolls のリーダー Vittorio De Scalzi
のソロ名義では初となる最新アルバム。参加メンバーは彼のサイド・プロジェクト
Il Suonatore Jones
のメンバーを中心に多くのゲストを迎えて制作されています。今作は全曲
Genova
方言で歌われていて民族楽器も多数使われており、コンセプトとしては同郷の故
Fabrizio De Andre' の "Creuza de ma"
に近く郷土色の非常に強い作品に仕上がっています。1曲目の
"Vincenso" では管楽器と Mauro Pagani
のバイオリンが紡ぎ出す哀愁を帯びたメロディと Vittorio
の渋いヴォーカルが絡み合う様が印象的です。続く "Gente de
Liguria"
は厳かな雰囲気を湛えたオープニングから地中海の夕暮れを思わせる寂しげなメロディへと突入する叙情的な曲です。ハードなギターで始まる
"Aia da respia"
では民族楽器のトラディショナルな響きとエフェクトをかけ歪められたヴォーカルを含めたロック的なエネルギーの融合が感じられます。イスラム調のイントロに導かれた
"Stagiuin"
では汎地中海的なエキゾティックな旋律とロック色のある力強いヴォーカル・パートとの対比が印象的です。アルバム・ラストは軽やかなギターのコードカッティングに乗せて優しいヴォーカルを聴かせる
"L'Agua in to morta" で締め括っています。
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Barbara / Dai fucco ai
miei papaveri (2008) CMP, 300 012 6. (全12曲)
2006年にデビューした Piemonte 州 Gavi
出身の若手カンタウトリーチェ Barbara こと Barbara Montecucco
のファースト・アルバム。共作が多いもののほとんどの曲作りに参加しています。また、演奏面でもバイオリンを数曲で弾くほか全曲のコーラスも自身で担当しています。畳み掛けるようなピアノの調べに乗せて始まるオープニングの
"Urlo profondo"
ではロック色の強いスピード感のあるヴォーカルと終盤での本人による太い音色のバイオリン・ソロが印象的です。続くハードなギターがフィーチャーされたリズミカルな
"L'essenza"
では中低音部を生かしたグルーブ感のあるヴォーカルを聴かせてくれます。一方、アコースティック色の強いしっとりとしたバラードの
"Sono"
では高音部によるチャーミングな歌声を堪能できます。他にも正統派イタリアン・ポップスとも言えるダイナミックで叙情的なヴォーカルを聴かせる
"L'uomo aquila"
や、シングルにもなったスピード感のあるロック・ナンバー
"Tentami"、語りかけるようなセクシーなヴォーカルを堪能できる
"Meteora"
など収録されているどの曲も水準が高いです。今後の活躍が楽しみなオールラウンド・タイプの若手カンタウトリーチェだと思います。
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Franco Battiato /
Fleurs 2 (2008) Mercury, 0602517883819. (全12曲)
イタリア音楽界の巨頭 Franco Battiato
の新作はカバー曲集の6年振りとなる第3弾ですが、タイトルは前回飛ばした2になっています。オープニングの
"Tutto l'universo obbedisce all'amore" は Battiato
らしいクールな叙情性を感じさせる新曲で、同じシチリア島出身の
Carmen Consoli とのデュエットを聴かせてくれます。Sergio
Endrigo のカバー曲 "Era d'estate"
では包み込むようなオーケストラをバックに淡々と歌い上げ、彼独自の静謐な美意識に裏打ちされた美しい曲に仕上がっています。
Aphrodite's Child のヒット曲 "It's five o'clock"
ではトラッド色のある女性コーラスを従えて軽やかな歌声を聴かせてくれます。Gilbert
Becaud の "Et maintenant"
ではシャンソンらしいシアトリカルなヴォーカルで物語を紡ぎだしています。旧友
Roberto Camisasca の "Il carmelo di Echt"
では静謐な音世界をしっとりと語りかけるように歌い上げています。Simon
& Garfunkel の "Bridge over troubled water"
でも淡々としていながらも消え入りそうな叙情性を感じさせるヴォーカルを堪能することができます。どの曲も
Battiato
色に染められてまるで彼のオリジナルであるかのように聴くことができることから原曲を知らなくても充分楽しめる作品に仕上がっています。
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