第93号
(08/06/2008)
今年は早くも梅雨入りしてどんよりした日が続いていますが皆さんいかがお過ごしでしょうか?今回はこの4月から5月に発売された新譜を中心にお送りします。
アルバム・カバー
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アーティスト名 / アルバム・タイトル (リリース年)
レーベル名, レコード番号. (収録曲数)
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Silvia Mezzanotte /
Lunatica (2008) Nar International, NAR 105082.
(全12曲) CD-Text
Matia Bazar の3代目歌姫だった Silvia Mezzanotte
のソロ独立後2枚目となるニュー・アルバム。端正なピアノの調べに導かれたオープニングのバラード曲
"Silvia che freddo"
から卓越した歌唱力による情感豊かなヴォーカルを聴かせてくれます。囁きかけるように始まる
" Ma il buio" ではサビで Matia Bazar
時代を彷彿とさせる超高音によるヴォーカリゼーションを披露しています。Goran
Kuzminac とデュエット曲 "Al di la' del mare"
ではアコーディオンと彼の弾くアコースティック・ギターとの絡みによりトラディショナルな香り漂う大人のデュエットを聴かせてくれます。Riccardo
Cocciante のカバー "Era gia' tutto previsto"
ではピアノとストリングスによるシンプルな伴奏を従えてしっとりと歌い上げています。"Lunatica
Beatrice"
は軽やかなヴォーカルで始まり、ゴスペル調のサビへと展開していくダイナミックな曲で、中間部でのボレロのリズムに乗せたハイトーン・ヴォーカリゼーションが印象的です。Ron
の代表曲のカバーである "Non abbiam bisogno di parole"
ではせっつくようなリズムをバックに可愛らしさのあるキュートなヴォーカルで軽やかに歌い上げています。アルバム・ラストは
Franco Battiato の名曲 "La cura"
を沈みゆく夕日を思わせるような淡い哀愁を漂わせてしっとりと歌い上げています。初回盤は1曲毎にイメージ・フォトを掲載したブックレットを封入したデジパック仕様となっています。
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Luca Barbarossa / Via
delle storie infinite (2008) Margutta 86, US236/CD.
(全12曲) CD-Text
すでにベテランの域に達した'80年代初頭から活躍するカンタウトーレ
Luca Barbarossa
の約5年振りとなる最新オリジナル・アルバム。全曲自身による作詞・作曲で、数曲でアコースティック・ギターも弾いています。ピアノとアコースティック・ギターを中心としたシンプルな演奏をバックに優しい歌声を聴かせるオープニングの
"Via delle storie infinite"
から彼の真骨頂である穏やかなフォーク・ロックを聴かせてくれます。ロック色の強いギターで始まる
"Invece no"
では力強いリズムをバックに爽やかなヴォーカルを披露しています。ギターの爪弾きに乗せて囁きかけるように歌われる
"Greta"
では優しい歌声により軽やかに歌い上げられるサビのメロディが印象的です。"Dio
non e'"
では力強く前進するようなリズムに乗せてトラディショナルな音色を奏でる管楽器が活躍する曲で、彼の優しげなヴォーカルと相まって力強さとノスタルジックな雰囲気が交錯したフォーク・ロックとなっています。アップテンポの
"Vai vai"
はキャッチーなサビと爽やかなヴォーカルによるポップな曲です。ピアノとギターによる軽快な演奏をバックにした
"Cose e rose"
では風が吹き抜けるようなハモンド・オルガンを効果的に用いて、彼の穏やかなヴォーカルを生かした軽やかなフォーク・ロックを聴かせてくれます。ピアノによるシンプルな伴奏により語りかけるように歌われるバラード
"Lieto fine" でアルバムは静かに幕を閉じます。
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Veronica Marchi /
L'acqua del mare non si puo' bere (2008) La
Matricula, LP013. (全13曲)
2005年にアルバム・デビューした1982年生まれの若手カンタウトリーチェ
Veronica Marchi
のニュー・アルバム。全曲自身の作詞・作曲で、アコースティック・ギターやピアノなども自分で演奏しています。アコースティク感覚を生かしたフォーク・ロックを得意としているようです。オープニングの"Fiore
di neve"
ではアンビエントな響きを湛えたギターの爪弾きに乗せてしっとりとしたヴォーカルを聴かせてくれます。続く
"Splendida coerenza"
は一転してギターによるコード・カッティングをバックに力強いヴォーカルによるロック色のある曲になっています。ファルセット気味のヴォーカルで軽やかに歌われる
"Silenzi"
では緩急の大きなメロディとカラフルなヴォーカル・スタイルが印象的です。雨だれのようなピアノの調べに導かれた
"Un giorno senza te"
ではやや鼻にかかったヴォーカルと寂しげなメロディとが相まって染み入るような哀愁を感じさせます。ハードな印象の
"Saldi di primavera"
はスピード感のあるリズムに乗せて力強く歌われるロック・ナンバーです。子供の話し声で始まる
"Il re del mondo"
は呟くようなヴォーカルによるノスタルジックな雰囲気を漂わせた曲で、ゆったりとしたメロディと穏やかな歌声が静かな哀愁を感じさせます。アルバム・ラストはギターの爪弾きに乗せた
"Ancora cinque minuti"
で、シンプルなメロディを囁きかけるようなヴォーカルで軽やかに歌っています。ちなみにブックレットの曲名および歌詞が全て手書き文字で書かれているために非常に判読しにくいのが難点です。
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Caminada /
Caminada (2007) Non Ho L'Eta', 50999-511794-2-7.
(全13曲)
新人ロック・バンド Caminada
のデビュー・アルバム。クレジットでは2007年となっていますが、実際に発売されたのは2008年4月です。メンバーは
Mauro Caminada (g, cho), Massimo Franzosi (vo, b), Francesco
Bianconi (ds, perc) の3人編成で、Mauro と Massimo
は13歳のころから活動を共にしていて曲は全曲この2人が手掛けています。歪んだギターのリフで始まるオープニングの
"Anni 80"
ではタイトル通り'80年代に通じるポップでハードなロック・サウンドを聴かせてくれます。続く
"L'eterna lotta (tra di noi)"
は力強いリズムに乗せてスピード感のある演奏を聴かせる軽快なロック・ナンバーで、バンドの勢いを感じさせます。ベースによる重厚なリフをバックにした
"Gemma" では軽快な音色のギターと力強いリズムの間を Massimo
の男性的なヴォーカルが歌い上げています。ギターの爪弾きによるウェスタン調の
"Mille coriandoli"
では循環するリズムに乗せて囁きかけるようなヴォーカルを聴かせてくれます。畳み掛けるようなリズムをバックに歪んだ音色のギターが疾走する
"S21"
は早口のヴォーカルも印象的な豪快なロック・ナンバーです。ピアノとロングトーンのギターが絡み合う
"Mondo immaginario"
は哀愁のあるメロディをしっとりと歌い上げるロック・バラードに仕上がっています。最新シングル曲にもなっているアルバム・ラストの
"Abitudine"
はほのかに哀愁を感じさせるメロディをややファルセット気味のヴォーカルで歌い上げている佳曲です。この手のバンドとしては曲のバリエーションも多く聴きやすいと思います。
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Valeria Vaglio / Stato
Innaturale (2008) Columbia, 88697271952. (全11曲)
今年のサンレモ音楽祭の新人部門に参加した1980年生まれの若手カンタウトリーチェ
Valeria Vaglio
のファースト・アルバム。共作を含め全曲自身による作品となっています。オープニングのサンレモ音楽祭参加曲
"Ore ed ore"
はピアノとギターを中心としたシンプルなバッキングに乗せて切々と訴えかけるように歌われるしっとりとした曲で、曲調が地味過ぎるためサンレモ音楽祭では成績が振るわなかったようです。続く
"Fuego"
はボサノヴァ調のリズムに乗せて官能的に歌われるラテン・フレーバーに溢れた曲で、落ち着きのある中低音を生かしたヴォーカルが印象的です。リリカルなピアノの調べに導かれて囁くように歌われるタイトル曲の
"Stato innaturale"
はさざ波のようなピアノによるリズムに乗せて静かな哀愁を感じさせるヴォーカルを堪能できます。ボサノヴァ調のリズムをバックにしっとりと歌われる
"Fotografia"
では呟くようなややセクシーな歌声を聴かせてくれます。ラテン調の軽快なリズムに乗せた
"Aria"
では大人の色香を感じさせる中低音を生かした官能的なヴォーカルを楽しむことができます。"Molto
di piu'"
はピアノとギターの爪弾きをバックに囁くように歌われる佳曲で、ほのかな哀愁を感じさせるメロディをしっとりと歌い上げています。ボーナス・トラック扱いの
"Oggi sono io"
ではギターの弾き語りによるブルース色のあるヴォーカルを聴かせてくれ、シンプルながら彼女の原点を感じさせる曲になっています。
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